菅野美穂:「ひよっこ」世津子役は「宿題」 岡田惠和作品の魅力…対峙シーン秘話も!  

NHK連続テレビ小説「ひよっこ」で川本世津子役で出演している菅野美穂さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「ひよっこ」で川本世津子役で出演している菅野美穂さん (C)NHK

 有村架純さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ひよっこ」に、女優の川本世津子役で出演している菅野美穂さん。脚本を手掛ける岡田惠和さんとは約25年の付き合いで、岡田さんから「戦友」と呼ばれるなど絶大な信頼を寄せられている菅野さんは、「今までの岡田さんの脚本の中で一番すてきだなって思っている」と「ひよっこ」への印象を語る。また、今回の役どころを「岡田さんからの“宿題”と感じた」という菅野さんに、これまでの撮影の日々を振り返ってもらった。

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 ◇一視聴者として何度も涙「何、そのハンドルの切り方!」

 「ひよっこ」は96作目の朝ドラで、奥茨城の農家に生まれて、のんびりした少女に育った谷田部みね子(有村さん)が、出稼ぎで東京に行っていた父が行方不明になったことをきっかけに、集団就職で上京する……というストーリー。高度経済成長期に集団就職で上京した“金の卵”が、殻を破って成長していく姿を描く。

 これまで「イグアナの娘」(1996年、テレビ朝日系)、「君の手がささやいている」(97年、同)、「ちゅらさん」(2001年、NHK連続テレビ小説)といった岡田さんが脚本を手がけた作品に出演してきた菅野さん。最初の接点は15歳のときに出演した「ツインズ教師」(93年、テレビ朝日系)で、以来その付き合いは25年にも及ぶ。菅野さんの目にも今回の「ひよっこ」は、「今までの岡田さんの脚本の中で一番すてき」と映っているようで、「本当に優しい気持ちになる、涙が出てくるような朝ドラだなって。“親戚のおじさん”の気持ちです」と優しくほほ笑む。

 視聴者からも「見ていて心が温まる」「なぜだか分からないが、泣けてくる」という意見は多く寄せられているというが、菅野さんも一視聴者として「何度も涙が出た」と告白。「みね子さんがやっと(ラジオ工場の作業を)1回も失敗せずに終えたとき、すごく感動しましたし、愛子さん(和久井映見さん)が(“乙女”たちに)お菓子をあげているシーン、ただお菓子あげているだけなのに泣けてきて……。あと『トロイカ』の合唱も、最初すごく爆笑しちゃったんですけど、何か見るたびに『あれ、泣けてくる』となって、『何、そのハンドルの切り方!』ってなりましたね」と楽しそうに話す。

 ◇美代子との対峙「どう演じていいのか…」 暗中模索も本番は1発撮り

 岡田さんが今回、菅野さんに与えたのは“昭和の人気女優”という役どころ。課せられた使命は決して小さくなく、第17週「運命のひと」の最後で世津子は、みね子の記憶喪失の父・実(沢村一樹さん)と誰にも知らせず一緒に住んでいたことが判明した。父と娘の“悲しい再会”シーンを生み出すと、第18週「大丈夫、きっと」では、実の妻・美代子(木村佳乃さん)と世津子との対峙(たいじ)も描かれた。

 菅野さんは自身の役どころや物語の大きな分岐点になった対峙シーンについて「どう演じていいのか分からない、岡田さんからの“宿題”と感じた」と明かす。一方で「信頼して委ねてくれているんだって感じました。20代、30代で一緒にお仕事をしたときとは“違うボール”を投げてもらっているような感じはしました」と振り返る。

 また「はっきりと“こういうところ”って目指せるものがなかった」と言い、「それぞれの受け取り方が違うから……。ただ世津子としては、いつか実さんを返さなくちゃいけない、でも『明日にしようか、あさってにしようか』って、そんな小さな積み重ねが一つの家庭を本当に追い込んでいた。『そんなつもりじゃなかったのに、なんて罪深いことを』って、驚きと後悔というシーンになっている」と話す。

 さらに菅野さんは「美代子さんが木村佳乃さんだったっていうのは大きい。私も素直にぶつかることができた」と語ると、「沢村さんは『世津子さんと実さんは男女の関係じゃなかったと思う』と言っていて、『なるほど』って思った。本当にあのシーンは、リハーサルのときから異様な、特殊な雰囲気で粛々と進めて、本番は“1発撮り”だったし……。みんなでただ『呼吸を合わせよう』っていうのが良かったんでしょうね」としみじみと思い返す。

 ◇世津子を嫌われものにしない「岡田マジック」 今後の見どころは?

 真実が明らかになったあとも、世津子を擁護する声が視聴者から上がったことについては、「分からないですね。どう考えても美代子さんが正しい。でも、これが“岡田マジック”なんですかね」と話す菅野さん。「『ひよっこ』を4月から見てきた者としては“美代子派”じゃないですか(笑い)。『一緒にいる時間が楽しかった』とか奥さんの前で言うのも、もうダメですよ」と世津子の言動をいさめる一方、「世津子さんにとって実さんは精神的なよりどころで、それは素直な気持ちだろうし……」といまだ整理できない胸の内を明かした。

 22週目では、そんな世津子をあるスキャンダルが襲う。菅野さんは「みね子さんの勇ましいシーンがあって、あのほんわかしたみね子さんが“ジャンヌ・ダルク”になる」と予告。また世津子と愛子とのプロレスシーンもあるといい、「普通だったらぶっとんでいる設定なんですけれど、朝ドラではできてしまう。『60年代はプロレス!』みたいな。和久井さんの足とか触るの、前の日からドキドキして、変な緊張しちゃって。でもうれしかったです(笑い)」と話すなど、世津子とあかね荘の人々との関わり合いにも注目だ。

 「ひよっこ」はNHK総合で月~土曜午前8時ほかで放送。全156回を予定。

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