ミニ四駆やポケットモンスター、ベイブレードなど数々のブームの火付け役となり、小学生男児の心をつかみ続けてきたマンガ誌「コロコロコミック」が今年、創刊40周年を迎えた。近年も「妖怪ウォッチ」のブレークのきっかけを作り、出版不況の中、100万部を突破するなど長年愛されている。2005年から約12年にわたって「コロコロ」の編集に携わってきた和田誠編集長は、同誌について「ブームを作るのが使命。ブームがないと、終わってしまう」と話す。“小学生のバイブル”として君臨し続ける「コロコロ」の編集の裏側とは……。和田編集長に聞いた。
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「コロコロ」は、「小学一年生」など小学館の学年誌に掲載されていたマンガ「ドラえもん」をまとめて読めるマンガ誌として1977年に誕生した。和田編集長は「『週刊少年サンデー』の読者層の年齢が上がったことによって、小学生向けのマンガ誌が必要という声もあった。『コロコロ』によって『ドラえもん』の人気がさらに拡大したところもあります。最初から『コロコロ』はブームを作るのが使命。ブームがないと、終わってしまう」と話す。
和田編集長は「コロコロ」のコンセプトを「小学生の男の子が好きなものを取り上げる」と説明する。同誌では「ドラえもん」ブームを先導した後、玩具、ゲームなどと積極的にコラボしてきた。マンガや誌面企画と連動しながら、アーケードゲーム、ミニ四駆、ビックリマン、ファミリーコンピュータ、ポケモン、ビーダマン、ハイパーヨーヨー、ベイブレードなどブームの火付け役になった玩具は枚挙に暇(いとま)がない。近年は、「妖怪ウォッチ」の限定メダルが付録の2014年9月号が人気となり、約4年ぶりに100万部の大台を突破したことも話題になった。
「コロコロ」が、玩具やゲームなどを取り上げる判断基準はシンプルだ。編集部が、独自の嗅覚(きゅうかく)で「面白い」「子供が好きになりそう」と嗅ぎつけたものを取り上げる。中には、発売の2年以上前からメーカーと組み、一緒にコンセプトから考えることもあるという。「マインクラフト」のように、子供の間で既にブームになっているものがあれば、後追いになっても積極的に紹介する。編集部は読者のアンケートはがき、全国で行っているリアルイベントでの反応などを参考に、嗅覚を鍛えているという。
「コロコロ」といえば、古くは「超人キンタマン」「おぼっちゃまくん」、連載中の作品では「でんぢゃらすじーさん」「ケシカスくん」など下ネタを連発するマンガも人気を集めてきた。和田編集長は「少し前に『うんこ漢字ドリル』もヒットしましたが、男児はうんこ、ちんちんが好きですよね。あいさつ代わりのギャグのようなもの。常識的な人から見ると、口に出すことをためらうかもしれないけど、そこに爽快感があるのかもしれません。一方で『ドラえもん』もあるわけで、下ネタばかりではないんですよ」と語る。
下ネタのイメージもあるため、子供に読んでほしくない……と感じる親もいるかもしれない。しかし、和田編集長は「親のことはあまり意識していない。もともと、親が買い与えるのが学年誌で、『コロコロ』は子供が自分の意志で買うもの」と明かす。また「最近はお小遣い制の子供が減っている。ただ、「『コロコロ』で育った世代が親になってきたので、印象が昔とは変わってきている。2世代で楽しんでいただいています。また、町の書店が減っている中で、親子でショッピングモールで購入するケースも多いようです」と購入スタイルも変化しているようだ。
子供の遊びも変化している。最近は子供もインターネットを利用するようになり、YouTuber(ユーチューバー)も人気の職業になっている。和田編集長は「現状では、急激に勢いに押し込まれているわけではない。『コロコロ』のYouTubeのチャンネルも開設しているし、共存できる世界」と考えている。また、子供の遊びがデジタル化する中で、「コロコロ」もゲームのシリアルコードが付録になるなどデジタル化している。しかし、「子供はやっぱり形があるものを喜ぶ。その意識が変わらないようにしたい。アナログな付録を途絶えさせたくない」という思いがある。
和田編集長は今後の雑誌の基本方針について「あまり変えるつもりはない」と話す。出版不況の中でもブレない姿勢で、まだまだブームを作っていくのか。今後も「コロコロ」の展開に目が離せない。
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