女優の蒼井優さんが28日、東京都内で開かれた映画「彼女がその名を知らない鳥たち」(白石和彌監督、10月28日公開)のジャパンプレミアに登場した。“全員が最低”という触れ込みの映画で、クレーマーで自分勝手な女性、十和子を演じた蒼井さんは、共演者の中で「一番最低な役は誰か」と質問され、「松坂(桃李)さん」と即答。妻子がありながら十和子と関係を持つゲスな男を演じた松坂さんの名を挙げ、「水島(松坂さんの役名)は本当に最低でした」と断言した。
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それを聞いた松坂さんは、周りから最低と言われることに「もう、ちょっとダメだ、これ」と反論。「もうすぐ(NHKの)朝ドラ(『わろてんか』が)始まるから……朝ドラが始まっちゃうから」と悪いイメージがこれ以上つかないよう、火消しに躍起になっていた。
舞台あいさつには蒼井さん、松坂さんのほか、阿部サダヲさん、竹野内豊さん、白石監督も登場。不潔で下劣な男性、陣治を演じた阿部さんは、撮影時に苦労ははなかったと言い、「まず(撮影現場に)行ったらすぐ汚されるので、もうどうでもいいかな。落ちているものも食べていた」と話して笑いを誘い、「細かいところまでこだわりがあって、足の指の間にもゴミが入ってる。毎朝つけられるんですよ」とエピソードを明かした。
十和子の昔の恋人で、別れるときにも彼女の心と体に傷が残る仕打ちをしたクズ男役の竹野内さんは、初共演の蒼井さんの印象を聞かれ、「いつかご一緒できたらと思っていた女優さんで、蒼井さんのさまざまな表情がこの映画に映し出されている。本物の女優さんだなって感じた」とベタ褒め。それを聞いていた蒼井さんは「すいません、ありがとうございます」と深々とお辞儀をし、照れ笑いを浮かべていた。
映画は作家の沼田まほかるさんの同名小説(幻冬舎文庫)が原作。8年前に別れた男・黒崎(竹野内さん)を忘れられない十和子(蒼井さん)は、今は15歳上の男・陣治(阿部さん)と暮らしている。下品、貧相で地位もお金もない陣治を嫌悪しながらも、彼の稼ぎで働きもせず日々を過ごす十和子。ある日、十和子は黒崎の面影を感じさせる妻子ある男・水島(松坂さん)と関係を持つ。そんな時、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明」と知らされる。「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が、執拗(しつよう)に自分をつけ回していることに気付いた十和子は、黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑い、水島にも危険が及ぶのではないかとおびえ始める……というストーリー。
また、今作が「第12回ローマ国際映画祭」(10月26日~11月5日)に出品されることが正式に発表された。映画祭には白石監督が参加する予定。
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