テレビ試写室:「先に生まれただけの僕」 櫻井翔がぶつかる「学校」という異世界

ドラマ「先に生まれただけの僕」第1話のワンシーン=日本テレビ提供
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ドラマ「先に生まれただけの僕」第1話のワンシーン=日本テレビ提供

 ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組について、放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、人気グループ「嵐」の櫻井翔さんが主演する連続ドラマ「先に生まれただけの僕」(日本テレビ系)だ。

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 連ドラの鉄板ジャンルといえる学園もの。生徒や学級担任の先生を主人公にした作品が大多数だが、櫻井さんが演じる今回の主人公は商社マン出身の校長先生。学校のトップとは名ばかりで、教師と生徒との間で思い悩む私立高校の校長先生を演じている。

 家庭と社会の間に位置する「学校」という独特の世界。大多数の人々がたどり着き、そして文字通り「卒業」していく世界だが、生涯をかけた仕事として、そんな世界にずっと身を置く「先生」という職業は、やはり独特だといえる。一方、櫻井さん演じる鳴海涼介は、生き馬の目を抜く総合商社から出向してきたというキャラクターなので、合理的なビジネスの論理を持ち出して、蒼井優さん演じる真柴ちひろをはじめとした、そんな先生たちと相対していく。

 もちろんドラマ的な表現にはなっているが、コストカットをはじめとして、劇中で鳴海がしゃべる内容はいちいち正論だ。一方で鳴海の案に反発する真柴をはじめとした先生たちの態度はどこか浮世離れしているように「社会人」の筆者からは見える。しかし、鳴海は思わぬしっぺ返しを受けてしまう。正しいこと、合理的なことがきちんと通用するのは、成熟した「社会」だから。未熟な子供たちを相手にする先生には、また別の尺度が必要なのだ。

 一見ありきたりの学園ドラマのようだが、とても考えさせられる。「容疑者Xの献身」などの福田靖さんが脚本、「ゆとりですがなにか」の水田伸生さんが演出ということもあって、しっかりとしたつくりで安心して見られる。多部未華子さん、風間杜夫さん、高嶋政伸さんといったキャスト陣も豪華で重厚。さらにキャスターを務めているという主演の櫻井さんのバックボーンも、ドラマとしてのクオリティーに貢献しているのではないか。

 年齢や立場の違いで、見たときの印象や感想が大きく変わるはず。親子や家族でお互いの意見や思いをぶつけ合ってみては。

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