熊本県民テレビ:ローカル局の“お化け番組”発イベント 驚異の6年連続10万人動員

タレントの勝俣州和さんと「テレビタミン」レギュラー陣が出演した「テレビタミンDX」
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タレントの勝俣州和さんと「テレビタミン」レギュラー陣が出演した「テレビタミンDX」

 熊本のローカル局「熊本県民テレビ」が熊本市内の繁華街を舞台に展開するイベント「夢まちランド」が28、29の両日、一帯で開かれた。バラエティー番組「ダウンタウンDX」(日本テレビ系)を“ローカライズ”した「テレビタミンDX」などの番組や、ハロウィーン要素を取り込んだ仮装コンテスト、番組とのコラボで開発したスイーツの発売などさまざまな企画が開かれた。20%に近い最高視聴率を記録した大人気情報番組「テレビタミン」(熊本県民テレビ)の企画から発展したイベントが、6年連続で10万人以上を動員する「ローカル局では異例の大イベント」となった秘密を探った。

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 「夢まちランド」は、2002年に番組の企画から始まったイベント「テレビタ感謝祭」をベースに、開局30周年となる12年に熊本市中心部の商店街などを舞台にした大イベントに発展した。今回は、熊本地震から1年半、復興への思いを込めて「共に一歩前へ」をテーマに、「ダウンタウンDX」の実際のセットを用いて、制作している読売テレビのスタッフが参加した「テレビタミンDX」の公開生放送が行われ、「ダウンタウンDX」に200回以上出演しているタレントの勝俣州和さんや、お笑い芸人の椿鬼奴さんをゲストに、「テレビタミン」メインMCの本橋馨、村上美香の両アナウンサーらレギュラー陣が「視聴者は見た!」などのおなじみの企画に挑戦した。

 また、新企画として本橋アナが番組で募集した視聴者の夢の実現をサポートする「アナタの夢叶(かな)えます!」や、村上アナが企画に参加して、コメディー要素もあるお化け屋敷アトラクション「おぱけやしき」などハロウィーンの要素を取り込んだ催しも開かれた。さらに“ギョーザの街”宇都宮をはじめ全国の名店が出店する「餃子(ぎょうざ)フェス」が九州初開催された。

 なぜローカル局がこうしたイベントを開くのか。イベント実行委員会の古庄剛リーダーは「地震から1年半、ローカル局が地域と県民を巻き込んで、日常と違う空間を街の中に出現させ、熊本の元気をつくる。ローカル局としての存在意義がそこにあると思う」と話す。「アナウンサーやタレントがイベントのコンテンツづくりに参加するテレビ局ならではの企画ができる」といい、実際に本橋アナの企画では「“ショッピングモールの歌姫”や“泣かせ歌の女王”などの異名を持つ歌手の半崎美子さんの歌に癒やされたい」という視聴者の夢の実現のため、本橋アナ自らが名古屋まで出向いて出演交渉を行った。

 成功の秘訣(ひけつ)について古庄さんは「多くのテレビ局のイベントは社屋やホールなどで開かれ、自社のみで開催しているが、『夢まちランド』は商店街など地域の多くの方と一緒に作り上げてきたのが最大の特徴であり強み。そのおかげで一テレビ局のイベントではなく、熊本の恒例イベントとして定着したと思う」と語る。「ただ、5年やってきたものをそのまま続けては飽きられる。今回はそれをいい意味で壊すことに挑戦した。スタッフの世代交代を含めて、新たな一歩を踏み出した」と話す。

 会場周辺は19年を目標に、日本最大級のバスターミナルと、商業施設、ホールなどの再開発が進められており、古庄さんは「完成に向けて、新たな熊本のイベントとして根ざすように地域の人たちと作り上げていきたい」と意気込む。熊本のローカル局の挑戦がどこまで広がるか、注目だ。

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