俳優の玉木宏さんの主演映画「悪と仮面のルール」(中村哲平監督)が13日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開される。芥川賞作家、中村文則さんの同名小説が原作。特殊な環境で育ってしまった男が、愛する人を守るために葛藤しながらも罪を重ねていく姿を描く。
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絶対的な悪=“邪”になるために“つくられた”ことを父親に告げられた11歳の久喜文宏(玉木さん)。自分を完全な邪とすべく、初恋の女性・香織(新木優子さん)に父が危害を加えようとしていることを知り、文宏は父を殺して失踪する。十数年後、文宏は顔を変えて新谷弘一という別人になりすまし、香織を守るために罪を犯すことを決意するが……というストーリー。ほかに吉沢亮さん、光石研さん、柄本明さんらが出演している。
愛する女性を守ることに存在意義を見いだし、その愛ゆえに悪に手を染めていく主人公を熱演する玉木さんの姿に、これまでの演じてきた爽やかさや清潔感あふれる役のイメージとがらりと変わり、その悪のたたずまいにドキリとさせられた。
難解なせりふや全編を通して陰鬱とした雰囲気が漂う独特の世界観ながら、実は恋愛ものとしても楽しめる側面もあり、手段を選ばない文宏の行動にどこかシンパシーを感じる部分もある。
善と悪という答えがあるようで正解がないという文学的な要素に考えさせられつつも、クライマックスでの文宏の出した一つの答えに胸がキュッと締め付けられた。玉木さんや吉沢さんらイケメンがダークな役を演じると、妖艶さに思わず見とれてしまう。(遠藤政樹/フリーライター)
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