ライオンの隠れ家
最終話 僕たちの新しい始まり
12月20日(金)放送分
1990年代前半に多くの若者を魅了した新井英樹さんの名作マンガを実写化した連続ドラマ「宮本から君へ」(テレビ東京ほか)が4月期の深夜ドラマとして放送されている。主人公・宮本浩役の池松壮亮さんの熱演が早くも評判になっているが、なぜ今、実写ドラマ化なのか。「宮本は常に自分の誠実さと向き合い、負け続けていく。でも妥協を受け入れない。そこに巻き込まれていく人間模様が最大の見どころ」と話す松竹撮影所の清水啓太郎さんとテレビ東京の藤野慎也さんの両プロデューサーに、制作の裏側を聞いた。
あなたにオススメ
来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹” 朝ドラヒロインまで手が届くか
「宮本から君へ」は、1990~94年に「モーニング」(講談社)で連載され、92年に第38回小学館漫画賞青年一般部門を受賞した名作マンガ。当時バブル崩壊といわれながらも、まだまだ世間は浮ついていた時期で、宮本の「暑苦しさ」「熱量」「誠実さ」はすでに時代遅れだったはず。さらに20年以上がたった今、実写ドラマを通して何を伝えようとしているのだろうか。
ドラマは文具メーカー「マルキタ」の新人社員で、恋と仕事に不器用な宮本浩が営業マンとして、人間として、成長していく青春ストーリー。すでにドラマを見た人ならお気づきだろうが、練りに練ったプロットや凝った設定、洗練された会話劇、SNSをにぎわすような小ネタも、このドラマにはない。ある意味、原作を忠実に映像化した作品にはなっているようだが……。
連載当時を知る“宮本世代”の清水さんは「僕たちが新入社員だったころって、地に足が着いていないような人たちが結構いて(笑い)。それに比べると、自分自身と向き合い、常に自問自答しているような人が、今の若い世代にはたくさんいると思っていて。今、『宮本から君へ』のドラマを作ったときに、主人公の『熱量』『誠実さ』はどう響くのだろうか。今の時代の誠実さとは、自分自身と向き合う誠実さとは何かっていうのをもう一度、提案したいというのはありました」と説明する。
2、3年前に原作を読み「衝撃を受けた」と明かす藤野さん。「社会人になって10年以上たって、挫折や失敗を繰り返し、昔は持っていたはずの熱い思いをなくしかけていたんですけど……。宮本って社会のしがらみに関係なく、自分が納得するまで突き詰める。分からないことは分からないって言ってしまう。僕らテレビ局にいて、自分が作りたい作品を作れる環境にはあるのに、選択肢として消してしまっていたりする。そういう意味でも若い人たちにもっとアピールしてほしいし、この作品をドラマ化することで、何か受け取ってくれるんじゃないかって。その思いだけで企画を通しました」と話す。
さらに「原作の魅力は宮本というキャラクターと生きざまに尽きる」と言い切る藤野さんが、自信を見せているのが今回のキャスティングだ。特に主演の池松さんに関しては「原作を読んだとき宮本役は池松さんしかいないと思っていました」と思い入れも相当強い。
「俳優としての素晴らしさはいろいろな作品を見て感じていて、いつかご一緒したいと思っていましたし、池松さんだったら強烈な宮本のキャラクターを演じ切ってくれると思いました。池松さんはクールでカッコいいイメージでしたが、撮影初日に髪を切られて宮本の衣装を着た池松さんを一目見て、『宮本だ!』と感じました。表情や雰囲気も新入社員の宮本そのものだったので、とにかく驚かされました」と振り返る。
ドラマは、商業映画デビュー作「ディストラクション・ベイビーズ」(2016年)で高い評価を得た真利子哲也監督が全話で脚本と演出を手がけているのも話題だ。清水さんは「『ディストラクション・ベイビーズ』の試写を見て、『よし、彼にお願いしよう』って決断した。とにかく画(え)が疾走していて、大いなる熱量があって、この熱量こそが『宮本から君へ』に必要だなって」としみじみと思い返す。
藤野さんも「『宮本から君へ』を撮るにはベストな監督。いくつかの象徴的なシーン、宮本の頭を刈るシーンや土下座をするシーン、避けては通れない重要な場面を描くにあたって、僕も『ディストラクション・ベイビーズ』を見て、この人が撮ったら素晴らしいものになると思いましたね」と清水さんと思いは同じだ。
すでに松山ケンイチさんや蒼井優さんが後半のキャストとして発表されているが、藤野さんは「個人的に好きなのは宮本と(同期の)田島の関係性。池松さんと柄本時生さんにしかできないんだろうなっていう素晴らしいものになっている。あとは、小田課長役の星田英利さんが、こんな上司がいたらいいなって思うような、愛情を持った接し方を宮本たちにしていて。今回2部構成というか、前半の恋愛から後半はガラっと変わって仕事の話になって、先が気になって、ストーリー上の面白さも加速していく」と見どころを熱く語る。
一方、清水さんは「一人一人、原作の熱量と役に向き合って伝えたいという思いがあってこそ」と前置きし、「宮本は常に自分の誠実さと向き合い、負け続けていく、でも妥協を受け入れない、そこに巻き込まれていく人間模様が最大の見どころ。これもドラマにしたかった理由で、そこをスタッフ、キャスト全員が理解している」と話した。
「ドラマ25『宮本から君へ』」は毎週金曜深夜0時52分~同1時23分にテレビ東京、テレビ大阪ほかで放送。
集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で連載中の松本直也さんの人気マンガが原作のテレビアニメ「怪獣8号」の第2期が、2025年7月からテレビ東京系ほかで放送されることが…
集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で連載され、話題となったタイザン5(ファイブ)さんのマンガが原作のアニメ「タコピーの原罪」のメインキャストが発表され、間宮くるみさ…
花沢健吾さんのマンガが原作の映画「アンダーニンジャ」(福田雄一監督、2025年1月24日公開)の新キャストが発表された。津田健次郎さんが、謎の存在「アンダーニンジャ(UN)」の声…
三浦糀さんの人気マンガが原作のテレビアニメ「アオのハコ」の第2クールのビジュアルが公開された。第2クールでは、キャラクターたちの心の変化を含め物語が大きく動き出すといい、ビジュア…
「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された堀越耕平さんのマンガが原作のテレビアニメ「僕のヒーローアカデミア」のイベントが12月22日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催中の「ジャン…