高畑勲監督お別れの会:鈴木敏夫プロデューサー「『平家物語』実現できず残念」

報道陣の取材に応じた鈴木敏夫プロデューサー
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報道陣の取材に応じた鈴木敏夫プロデューサー

 今年4月5日に肺がんのため82歳で亡くなったアニメーション映画監督の高畑勲さんのお別れの会が15日、三鷹の森ジブリ美術館(東京都三鷹市)で営まれ、主催者を務めた鈴木敏夫プロデューサーが報道陣の取材に応じた。劇場版アニメ「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」など五つの作品を手掛けた鈴木プロデューサーは「監督とプロデューサーという立場で40年。(両者の立場は)必ず敵対するもの」と話し「『じゃりン子チエ』(1981年放送のテレビアニメ)の頃から毎日のようにいろいろと話し合ってきた。どうしてもやりたいと思っていた『平家物語』が実現できなかったのが残念」と肩を落としていた。
 お別れの会で、別れの言葉を涙ながらに語った宮崎駿監督については「(別れの言葉を書くのに)1カ月くらいかかったみたい。そういうことで言うと、あれがすべて。予行演習やってるときから泣いてるから、本番大丈夫かなって思っていたら、やっぱり泣いていましたね」と振り返り、「宮さん(宮崎監督)が『みっともなかった』って言うから『あれでよかった』って声を掛けました」と明かした。

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 お別れの会は、宮崎監督と鈴木敏夫プロデューサーの「ジブリとして盛大なお別れの会で見送りたい」という言葉により、高畑監督も大好きだったという同所で開催。人気アニメ「機動戦士ガンダム」の富野由悠季監督、「男はつらいよ」の山田洋次監督のほか、宮本信子さん、益岡徹さん、野々村真さん、本名陽子さん、竹下景子さん、瀧本美織さん、落語家の柳家小三治さんといったジブリ作品で声優を務めた俳優たちや生前に親交があった人たち約1200人が参列した。

 小三治さん、益岡さん、野々村さん、竹下さんも報道陣の取材に応じた。高畑さんが最後に外出したのは、今年3月13日に同所で行われた小三治さんの落語会だったという。小三治さんは「つらそうでした。客席にはおいでになったけど、体を起こせなかったんでしょう。客席の上の方で体を横にして……。そんな思いまでして来てくれた」と振り返った。竹下さんは、高畑監督に「サインをしてくださいって言われて、私の方が喜んでサインをさせていただきました。うれしそうな顔をされていました」と、高畑監督との思い出を語っていた。

 「ホーホケキョ となりの山田くん」で声優を務めた益岡さんは「人間がどう動くのかって。スタジオで実際にそのシーンを演じてから、声をあてた」と当時を振り返った。「平成狸合戦ぽんぽこ」で声の出演をした野々村さんは「ジブリの作品に出ていたというだけで尊敬してもらえる。そういう作品に出させていただきました。自分の人生の中で最高の宝物になりました」と感謝していた。

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