ライオンの隠れ家
最終話 僕たちの新しい始まり
12月20日(金)放送分
女優の波瑠さんが主演で、鈴木京香さんとコンビを組む刑事ドラマ「未解決の女 警視庁文書捜査官」(テレビ朝日系、木曜午後9時)が好調だ。波瑠さん演じる肉体派の刑事と、鈴木さん扮(ふん)する“文字フェチ”の頭脳派刑事という絶妙な女性刑事バディーが、文字や文章を手がかりに事件を解決していくが、原作小説では波瑠さんの役は男性刑事。個性的なバディーはどうやって誕生したのか。番組を手がける同局の服部宣之プロデューサーに制作の裏側を聞いた。
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ドラマの原作は麻見和史さんの小説「警視庁文書捜査官」(角川文庫)。脚本を手がけるのは、波瑠さんが主演したNHKの連続テレビ小説「あさが来た」の大森美香さんだ。「倉庫番」と陰口をたたかれる警視庁捜査1課「特命捜査対策室」第6係(文書解読係)を舞台に、強行犯係から異動した朋(波瑠さん)が、対人関係が苦手ながら文章から書き手の性格や思考を当てる特殊能力を持つ理沙(鈴木さん)と組み、難事件を解決していく。
そもそも今作の企画のスタートは、横地郁英ゼネラルプロデューサーが「大森さんとぜひ何かご一緒に……」と考えたのがきっかけだったという服部さん。「大森さんにとって刑事ものはほぼ初めての挑戦で、テレビ朝日は刑事ものが得意ジャンル。そのタッグがどうなるのか……、僕も本当に楽しみでした。そして、文字を切り口にした原作に出会い、企画が進んでいきました」と明かす。
しかし、原作では、主役は理沙で30代女性という設定。しかも波瑠さんの役にあたるのは男性刑事だ。ドラマでは、行動的な朋を主役に、女性同士のバディーものへ変更した。女性同士の刑事バディーもののドラマはこれまでにあまり例が無く、新鮮味があるというのも理由の一つだが、服部さんは「(役職的には)理沙が上ですが、なぜかフラットに見えるのは同性同士だからで、バディー感もより強くなったと思います」と自信を見せる。
理沙の年齢もドラマでは40代後半に変更しており、「文字に造詣が深いのであればよりキャリアがある方が良く、理沙が生きてきた道のりがあると説得力が一層高まるのでは……」と狙いを説明する。
初回では、理沙が室内から伝える推理を、波瑠さんが捜査対象者に向かって話す……というシーンが登場し、波瑠さんが「コナンくん形式ですか?」と口にしたこともあって話題になった。この演出も、理沙が人間嫌いで外に出たがらないという設定から、大森さんとの打ち合わせ段階で話し合って生まれたもの。服部さんは「『コナンくん』というせりふは、大森さんのアイデアで、うまいなあと思います。でも『コナンくん』としか言ってないので、コナン・ドイルなのか、あのアニメなのかはご想像にお任せします」と話す。
ドラマでは波瑠さんと鈴木さんのバディーを取り巻く、沢村一樹さんや遠藤憲一さんら“濃い面々”もいい味を出している。脇を固めるキャストも、原作通りではなく、演者のイメージに近づけている。沢村さんは長身ゆえに圧迫感のあるキャラクターにし、高田純次さんは何を考えているか分からない要素を加えた。服部さんは「大森さんにキャストをお伝えすると、キャラクターに演じる方の要素を絶妙に加えていらっしゃるんです」と笑う。
ドラマでは現在起きている事件と、過去の「未解決」の事件の二つを解決していくが、こちらも原作小説とは異なる。過去の未解決事件を取り上げるのはドラマだけで、「文字を手がかりに事件を解く」という“制約”を逆手に取った。
服部さんは「刑事ものは原則1話完結。現代に起きる事件で、文字や言葉がカギになる事件はそんなに頻発するのはどうかな……と。それが過去の膨大な未解決事件ならば違ってきますよね」と説明しつつ、「現在と過去の事件をリンクさせて、1時間で解決させないといけないので、ロケは大変だし、(現在か過去の)どっちかにすれば楽だった」と苦笑する。
それでも、理沙に「文字の神様が降りて」きて、絡み合った過去と現在の事件が解き明かされていくストーリーは見応え十分。「相棒」をはじめ、数々の人気刑事ドラマを生み出してきた同局の新たな人気シリーズとなるか、今後に注目だ。
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