是枝裕和監督:カンヌ最高賞で帰国会見 トロフィー「抱いて寝たい」

映画「万引き家族」でパルムドールを受賞し、帰国会見を行った是枝裕和監督
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映画「万引き家族」でパルムドールを受賞し、帰国会見を行った是枝裕和監督

 「第71回カンヌ国際映画祭」で最高賞のパルムドールを受賞した映画「万引き家族」(6月8日公開)の是枝裕和監督が23日、帰国し、羽田空港(東京都大田区)内で会見した。パルムドールの黄金のトロフィーを掲げた是枝監督は、「帰ってきてスタッフのにこやかな顔を見て、実感が湧いてきた。公開はこれからなので、公開に向けて走っていきたい」と笑顔で語った。

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 映画祭の後に米ニューヨークへ行ったという是枝監督は、トロフィーを一時金庫に保管したといい、改めてトロフィーを手にして「今思い出したが、『誰も知らない』のときに柳楽(優弥)君にトロフィーを渡すような記者会見をした記憶がよみがえってきた。今回は自分のところに戻ってきた感じ。でも、これ、記者会見が終わったらどうするか、相談をしていないので、僕が持って帰っていいのか……。一晩ぐらいは抱いて寝ようと思います」と話した。

 授賞式後の公式ディナーでは、同映画祭の審査委員長を務めたケイト・ブランシェットさんと話したといい、「(ブランシェットさんは)熱く熱く安藤サクラさんのお芝居について語っていました。彼女が泣くシーンがあるんですが、そのお芝居がとにかくすごくて『もし、これから映画の中であの泣き方をしたら安藤サクラのまねをしたと思ってください』とおっしゃってました。そのぐらい彼女の映画における存在感は、審査員たちを虜(とりこ)にしたのだなとよく分かりました」と明かした。また、映画について「今回は役者のアンサンブルがとてもうまくいった。どの瞬間もほれぼれするぐらいで。恵まれた環境で撮れた」とキャストへの思いを語った。

 同映画祭で日本人監督作品が最高賞を受賞するのは今村昌平監督の「うなぎ」(1997年)以来約21年ぶり。自身の監督作品としては「海街diary」(2015年)以来3年ぶり5回目のコンペティション部門出品で、初めてパルムドールに輝いた。カンヌ国際映画祭への出品は7回目で、「誰も知らない」(04年)では、主演を務めた柳楽さんが最優秀男優賞を受賞、「そして父になる」(13年)は審査員賞を受賞した。

 今回の受賞を受けて、「万引き家族」は公開劇場を300館以上と拡大。また6月8日の公開初日に先駆けて、公開予定の劇場300館以上で、6月2、3日に先行上映を行うことが決定した。海外の149の国と地域で映画を販売することも決まっているという。さらに28日には、是枝監督が書き下ろした「万引き家族」の小説が発売されるが、発売前に重版がかかっている。

 「万引き家族」は、犯罪でしかつながれなかった家族を通して、人と人との絆を描くヒューマンドラマ。息子の祥太(城桧吏=じょう・かいり=さん)と共に万引きに精を出す治(リリー・フランキーさん)が、凍えている幼い女の子・じゅり(佐々木みゆちゃん)を目にして思わず家に連れて帰る。妻の信代(安藤さん)は体中傷だらけのじゅりの境遇を察し、面倒を見ることに。一家は祖母の初枝(樹木希林さん)の年金を頼りに、アルバイトをしている信代の妹・亜紀(松岡茉優さん)らと幸せに暮らしていたが、ある事件をきっかけに、家族の隠された秘密が明らかになっていく……というストーリー。

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