俳優の山田孝之さんと女優の長澤まさみさんがダブル主演した映画「50回目のファーストキス」(福田雄一監督)が全国で公開中だ。メガホンをとり、脚本も担当した福田監督は、深夜ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズや映画「銀魂」などコメディー作品で高い評価を受けてきた。“泣けるラブストーリー”を作り上げた福田監督に、ハワイロケの裏話やライバルの存在などについて聞いた。
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今作は、アダム・サンドラーさんとドリュー・バリモアさんの2004年のハリウッド映画「50回目のファースト・キス」(ピーター・シーガル監督)が原案。プレーボーイの大輔(山田さん)はハワイ・オアフ島のカフェで地元の女性・瑠衣(長澤さん)と意気投合するが、瑠衣は交通事故の後遺症で、一晩で記憶がリセットされてしまう短期記憶障害を抱えていた。大輔は、毎日“初対面”の彼女にいちずに愛を告白し続ける。やがて瑠衣は、自身の障害と大輔の将来の夢のためにある行動に出る……というストーリー。“福田組”の佐藤二朗さんが瑠衣の父親役、ムロツヨシさんが大輔の親友役で出演している。
――「ヨシヒコ」メンバーのムロさんと佐藤さんの2人のいままで見たことがないような面が見られました。
二朗さん、泣いてますからね。泣けるんだと思って、本人に言ったらすげえ怒られましたよ。あるシーンで「福田君、ここは泣いた方がいいんだよね」というから、「えっ、泣けるの?」って聞いたんです(笑い)。「福田組以外ではちゃんとした芝居してんだよ」ってすげえ怒られて。
ムロ君はもともとああいう芝居できるの知っていました。「ムロ式」(ムロさんが主演する舞台)って結構、最後にウエットな感じになるから。彼に映像でそれを求めたのは今回が本当に初めてだったから、すごく感動しちゃったんですよ、最後の方のシーンで図らずもムロに泣かされるとは。正直、ちょっと計算外でしたね。でもムロ君もそこはちゃんと分かってやってくださったと思うし、感激しました。
――山田さんが、泣きの芝居が終わったあとに監督が自分よりもっと泣いていたとおっしゃっていましたが。
山田君、なんかうまいんですよ。(大輔が一人泣くシーンで)一番最初に涙が出るところで、目尻からするっと出た涙を親指でぬぐう。それを見たときにあまりにもグッと来ちゃって。うわすごいカッコいいことするなと思ったら、「なんで別れなきゃいけねえんだよ」って大輔が言ってボロボロ……という泣き方になる。男ってああいう泣き方に弱いんですよ。ムロ君と一緒で、まさか山田君に泣かされるとは……という。山田君にまさか泣かされるという幸せ感と意外感がたまらなかったんだと思います。
――観客もまさか福田監督作で泣かされるとは……と思って見ると思うんですけど、ちゃんと泣かせるためのこだわりは?
ちゃんと泣かせるためにはちゃんと笑わせないといけないなというのは絶対にあると思います。僕個人の考え方ですけど、泣かせるより笑わせる方が何百倍と難しいと思うんですよね。ちゃんと序盤で笑わせているからこそ、最後、ラブの方でしっかりと泣けるんじゃないかなと思っていたので。むしろ前半のコメディーの部分にものすごく細心の注意を払ったというか、頑張ったという記憶はありますね。
ラブコメって一言で言っても、コメディーの部分も絶対に笑えなきゃいけないのに、笑えるラブコメってなかなか難しい。そこは僕がやる以上、ちゃんと笑いにしていかなきゃいけないなという思いはありました。そうすることで後半がより生きてくるんだろうなということは、すごく考えてましたね。
――ハワイロケということで国内ロケとは勝手が違うと思いますけど、そういう面で苦労した部分は?
アメリカの労働法ですごく細かい決まりがあって。ロケを始めて何時間で食事を入れなきゃいけないとか、1日8時間でなければいけないとか、ナイトロケがあるときは午後1時開始なんですよ。そしてナイトロケ終わりから次の日の朝のロケが始まるまで10時間空けなきゃいけないとかあるんですよ。そのルールに自分が全然なじんでないので、それが一番苦労したところかな。
でも、現地の制作会社のスタッフがものすごくよくしてくださったんですよ。僕らは現地に行って何も分からないからほぼ頼っていて。そうしたらあちらのスタッフの方が「一緒に物を作っているという感覚を味わわせてくれたから、本当にこの映画に対しては愛情は計りしれない」と打ち上げで言ってくださって、単に僕らが物を知らなかっただけなんですけど(笑い)、それを言ってくださったことは僕にとってもうれしかった。
「監督、海岸はどんなイメージですか」って聞かれて、「これこれこういうイメージ」っていうと、「まさにこれ」という感じのところを紹介してくれて。本当にすごく頑張ってくださって。撮影に入ってからも助監督と一緒に同じような行動をするということまでしてもらっちゃっていたので。申し訳ないなと思っていたら、逆にそれがうれしかったと言ってくださっていて、僕も本当にうれしかったですね。
――福田ワールドともいえる世界観をお持ちの監督ですが、監督自身が考えるライバルは?
山崎貴監督かな。という絶対にシャレだと分かるだろうことしか言わない(笑い)。でも一応「三谷幸喜には早く死んでほしい」という話はずっとしています(笑い)。
<プロフィル>
ふくだ・ゆういち 1968年7月12日生まれ、栃木県出身。1990年に旗揚げした劇団「ブラボーカンパニー」で座長を務め全作品の構成、演出を担当。傍らフリーの放送作家として人気バラエティー番組の構成を手がける。監督・脚本を担当した「THE3名様」シリーズ(2005~10年)などでファンを増やす。09年、舞台の映画化「大洗にも星はふるなり」で映画監督デビュー。テレビ東京の深夜ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズ(11~16年)もヒット。17年の映画「銀魂」が年間の実写映画ナンバーワンを獲得。今年は「銀魂2(仮)」や「聖☆おにいさん」の実写ドラマなどが控えている。
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