テレビ質問状:「ノンフィクションW 浦沢直樹 ~天才漫画家の終わらない旅~」浦沢マンガ創作の源泉

「ノンフィクションW 浦沢直樹 ~天才漫画家の終わらない旅~」の一場面
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「ノンフィクションW 浦沢直樹 ~天才漫画家の終わらない旅~」の一場面

 WOWOWは「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。23日午後5時半からWOWOWプライムで放送される「ノンフィクションW 浦沢直樹 ~天才漫画家の終わらない旅~」の番組プロデューサーを務めた編成部の担当部長、内野敦史さんに、番組の魅力を聞いた。

ウナギノボリ

 ――番組の概要と魅力は?

 浦沢直樹先生が“描きまくってきた”マンガの魅力そのものがノンフィクションWならではの手法で描かれていることだと思います。

 ――今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 もともとは3年ほど前に放送作家の倉本美津留さんから企画の原案をいただき、じっくり育んできたものです。倉本さんと浦沢先生が別のお仕事でつながっていて、あるときにビートルズに関する重要人物とお二人が海外で接触したことをきっかけに、企画が具体的に動き始めました。

 さらに、昨年末から今年にかけてルーブル美術館との共同プロジェクトによる作品「夢印」が世に出ることになり、欧州最大級といわれる仏アングレーム国際漫画祭へ個展での参加が決まるなど、浦沢先生ご自身の活動が活発化したことで、具体的に撮影をお願いすることになりました。WOWOWとしては浦沢先生を“マンガ家=表現者”と捉えさせていただき、彼の人間像に迫ることで“浦沢マンガのクリエーティブの源泉に迫ってみたい”という思いで企画を成立しました。

 ――制作中、一番に心がけたことは?

 浦沢先生へは昨年末から実際に密着取材をお願いさせていただき、国内と海外での活動を約半年間にわたり撮影させていただきました。その間、とにかく先生のお邪魔にならないように心がけながらも、一方で“少しでも”多くのファンの方々を“浦沢マンガの世界”の深遠な部分まで誘いたい、という思いがあり……取材期間中、先生の活動にご迷惑をかけないよう距離を常に測りながらの制作でしたね。

 ――番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 うれしかったことは、世界的なマンガ家にまでなった浦沢先生ご自身と撮影期間中にさまざまな対話ができたことにほかなりません。マンガの世界の話はもちろんのこと、音楽から世界情勢の話、人間観察の話、時にはくだらない話も。これはドキュメンタリストの醍醐味(だいごみ)と言ってもよいと思います。取材対象者と向き合わせていただくことで、どんどんその方ご自身とその方が生み出すクリエーションの魅力に引き込まれていく……それを体験すること自体が番組の重要なエッセンスになっていくのです。“この引力の基には何があるのだろう?”と。その答えにどこまで迫れるかにこだわり抜いて制作チームと議論を重ねながら番組を作られたことが、とても楽しかったです。

 ――番組の見どころを教えてください。

 浦沢先生が国内どころか、海外でこんなに多くのファンに囲まれていることをまずしっかり見ていただきたいです。さらに、マンガを描く先生のペン先はもちろん、その先を見るまなざし、そして多忙の中、ざまざまな形で応えていただいたインタビューの中からあふれ出る大切な言葉の数々にぜひ耳を傾けていただきたいです。

 そしてコアな部分としてはビートルズの名盤「リボルバー」のジャケットデザインを手がけたグラフィックデザイナーで音楽家とクラウス・フォアマンと出会うシーンは必見です。即興によるアートコラボが実現したのですが、今年80歳になったフォアマン氏との“セッション”では浦沢先生が心の底からその状況を楽しんでいらっしゃるのが映像からあふれ出ています。さらに、名盤誕生までの制作過程を日本の映像メディアとしておそらく初めて撮影できた、という幸運にも恵まれました!

 ――視聴者へ一言お願いします。

 今回WOWOWでは“特集:浦沢直樹”とし、ノンフィクションWと同日に、先生自らが手塚作品をリメークした「PLUTO」の舞台公演「『プルートゥ PLUTO』森山未來×土屋太鳳」も午後7時から放送します。6月23日は“浦沢漫画ワールド”を存分に楽しんでいただきたいです!

 WOWOW編成部 担当部長 内野敦史

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