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第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
女優の石原さとみさんと、ロックバンド「銀杏BOYZ」のボーカルの峯田和伸さんが“超・格差恋愛”を繰り広げる連続ドラマ「高嶺の花」(日本テレビ系、水曜午後10時)が11日、スタートする(初回は10分拡大版)。本作は脚本家の野島伸司さんが長年温めていた企画で、「聖者の行進」「理想の息子」など、野島作品に長年関わってきた松原浩さんがプロデューサーを務める。「野島さんが本当に書きたいと思うものを書いてもらいたい」と語る松原さんに“野島脚本”の魅力や、今作にかける意気込みを聞いた。
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「高嶺の花」は、容姿端麗で華道の名門「月島流」本家に生まれた“高嶺の花”の女性・月島もも(石原さん)と、小さな商店街で自転車店を営み、成人してから女性と交際したことがない平凡な男性・風間直人(峯田さん)が出会い、恋愛につながる、“美女と野獣”の“超・格差恋愛”ドラマだ。
野島脚本で“美女と野獣”といえば、フジテレビで放送された名作ドラマ「101回目のプロポーズ」(1991年)を連想する人も多いだろう。同作は武田鉄矢さん演じる主人公が、浅野温子さん演じるヒロインに、不器用ながらもアプローチする様子が話題になり、社会現象を巻き起こした。
松原さんは今作について「『女性の心のありように男性がどう寄り添うか』という話」と語り、「101回目のプロポーズ」との違いについて「“美女と野獣”の格差恋愛という非常に入りやすい入り口の裏には、こんなに深い人間のありようや、苦しみや喜びなどがあふれている」と説明。「“高嶺の花”の語源になっている『断崖絶壁に咲いている一輪の花』という、ひとりぼっちで咲いている花の悲しみや苦しみを視点に入れている」という。
通常の“美女と野獣”の恋愛作品ならば、男女の出会いから交際に至るまでを全話をかけて描くのが一般的だが、今作は第2話でももと直人が交際を開始。この種の話では異例ともいえるスピード感でストーリーが展開する。松原さんは「お気楽に見られる美女と野獣の格差恋愛作品だと思って見ていると、『人の心の多面性』『建前と本音が裏腹な気持ち』『魂の孤独』『愛とは何か』とか非常に深くて濃密。エンターテインメントとしてかなりレベルが高いと思いますし、こういうものこそ視聴者が待ち望んでいたものだと思います」と、胸を張る。
ドラマは「石原さんが野島さんのラブストーリーをやりたいと思ってくれている」ことがきっかけで、企画が進行。野島さんが温めていた“高嶺の花”をテーマとしたストーリーをドラマ化することになった。
“野獣”を演じる峯田さんは、オファーを受けた際に抱いたキャラクターの印象と、脚本を読んで実際の役回りが違ったため、驚いたそうだ。松原さんは「野島伸司の“美女と野獣もの”って言われたら、峯田くんは『(101回目のプロポーズの)武田鉄矢をやる』って思っていたみたいで。でも全然そうじゃなくて、実はさとみちゃんの方が武田鉄矢(笑い)。さとみちゃん(が演じるもも)は芸術家で賢いんだけど、天才アーティストで、お嬢さまだから世間ずれしていることを考えると、さとみちゃんの方がSで、攻めるんです。それを峯田くんが受け止める役なので、男女逆転しているところがあって」と話す。
石原さんと峯田さんの演技を見た松原さんは「今回不思議な感じですが、2人は野島さんの台本をそのまま演じているのに、台本を超えたなと思うシーンがあるんですよ。『役者がすごい』とも思えるんですが、『この役者がこれを演じれば面白いことになるって、野島伸司は分かって書いていたのかな』と思い、非常に興味深いですね」と目を輝かせる。
教師と生徒の禁断の愛を描いた「高校教師」、いじめや虐待などが描かれた「人間・失格」など野島さんが描くスリリングで重厚なドラマは、現在の地上波ではコンプライアンスに抵触してしまうと考える人も多いだろう。松原さんは「野島さんはある時期、どこかで『地上波ドラマってこうだよね』っていう決めつけや割り切りがあったと思うんです。『1話完結が良いんでしょ?』『コミカルな方が良いんでしょ?』とか」と、野島さんの心中を推測。その一方で「心臓移植をテーマとした『プラトニック』(NHK BSプレミアム)や、セックス依存症が題材の『雨が降ると君は優しい』(Hulu)などは、野島さんが本質的に書きたいと思っていたもので、人間の複雑さとか、怒濤(どとう)の展開がものすごくできている」と絶賛する。
「この機会をもらった時に、僕は『野島伸司の本当の魅力を地上波でもやりたいな』と思ったんです。でも心臓移植やセックス依存症の話は今、地上波では放送できない時代になっている」と語る松原さん。「『美女と野獣の格差恋愛』という入り口を借りて、野島伸司が本当に書きたいものを書いてもらおうと思いました」と話す。
「『101回目のプロポーズ』という超名作があるのに、また同じことをやるのかと思う人がいるかもしれないんですけど、実際は全然違うアングル。しかも野島伸司らしい要素がいっぱいあって、それを見事にさとみちゃんと峯田くんが演じてくれている。明るい入り口だけど、実は深いみたいなことをうまくやれているんじゃないかなと思います」と話し、「これぞエンターテインメントというか、こういうものこそみんながフィクションに望んでいるものだという思いがあります」と力を込める。“格差恋愛”という一見ポップな入口の奥に隠された骨太な“野島イズム”の行方に注目だ。
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