ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
人気アニメ「エヴァンゲリオン」シリーズの劇場版新作「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が2020年に公開されることが7月に発表され、特報映像が公開されると、SNSでも大いに話題になった。最初のテレビシリーズの放送から実に25年が経過しているが、今なお新鮮な驚きをもって多くの人々に受け入れられているのはなぜなのか。週に100本以上(再放送含む)のアニメを見ている“オタレント”の小新井涼さんが独自の視点で分析する。
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先月末、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の特報が突如解禁され、アニメファンを中心に日本中がざわめきました。リアクションはさまざまでしたが、一昨年の「シン・ゴジラ」公開時など、関係者や関連会社が何かするたびに「先にエヴァ作れよ」という声が上がっていただけあり、「待ってました!!」という反応がやはり多かったようです。
しかしこうして当たり前のように盛り上がってはいますが、今や「エヴァ」も最初のテレビシリーズが放送されてから20年以上たついわば“年代物”の作品です。それにもかかわらず、いまだファンからの期待がなくなることなく、エヴァ関連の発表があるたびに、こんなにも人々が沸き立つのは一体なぜなのでしょうか。
真っ先に思い浮かぶ原因は、常に展開し続けているコラボの存在です。アプリゲームやアパレルとのコラボをはじめ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや、最近では「新幹線変形ロボ シンカリオン」との話題のコラボまで、アニメ本編が放送・公開されていない間にも、日本にはエヴァを見かける機会があふれています。そしてこうしたコラボには、単純な作品の宣伝だけでなく、そうやって何かしらの形で常に作品に触れていることで、「作品に懐かしさを抱かせない」効果があると思うのです。
原点となったアニメは20年以上前の作品にもかかわらず、新作への反応が「へーエヴァか、懐かしい」ではなく、「やっときた! 待ってました!」となるのもそのおかげではないでしょうか。作品に懐かしさを抱かせないことで、他のリメークやリブート作品などと違い、エヴァは人々の中で「いまだ現役の作品」であり続けることができているのだと思います。
もう一つ考えられるのは、エヴァを連想させるニュースの存在です。庵野秀明監督の「風立ちぬ」や「Last Letter」への映画出演、「シン・ゴジラ」の大ヒットやカラーの10周年記念展など、新作発表までの間には、エヴァの関係者や関係会社関連のニュースも定期的に話題になってきました。そしてこれらのニュースには、ただ単にエヴァを連想させるだけでなく、人々に、自分がエヴァの新作を待っていることを定期的に思い出させ、いつまでも「“待て”を食らっている状態」にし続ける効果があると思うのです。そうなることで、ファンも関連ニュースがあるたびにずっと我慢していた感情が爆発してしまうのでしょう。「それよりエヴァの新作は?」という不満や、「待ってました!」という喜びなど、毎回エヴァの話題に愛憎入り混じった激しい反応が起こるのも、そのためだと思います。
誕生から20年以上たった今も、ファンからの期待がなくなるどころか発表のたびにこんなにも盛り上がるのは、エヴァが持つ作品そのものの魅力は大前提として、こうしたコラボや関連ニュースによる効果があったからだと思います。
加えて今回の特報が話題になったことには、エヴァの新作発表そのものが、もはやある種のイベント化しているということと、それが現在のSNSの潮流にうまくハマったというのも関係しているのではないでしょうか。いいねやリツイートがちょっとしたステータスとなるSNSの特性上、例えば甲子園やワールドカップの話題、iPhoneの新作発表や訃報吉報といったニュースには、熱烈なファンでなくてもとりあえず反応しておくというユーザーは少なくありません。それと同じように、今回のエヴァの特報に反応した人の中には、元々本当に新作を待っていた作品ファンのみならず、エヴァの新作発表というバズりやすそうなネタに、とりあえず反応していた人も多かったように思うのです。
そういった人の中には、実はアニメ本編を見たことのない人や、反応はしたけど実際に公開されても劇場には行かない人というのも、正直含まれているのかもしれません。しかしこれは裏を返すと、そうした人たちまで思わず飛びつかずにはいられないくらい、エヴァの新作発表が、ワールドカップやiPhoneの新作発表などと同様に、絶対に盛り上がるイベントとして人々に認識されている証しなのではないでしょうか。
今回の特報への盛り上がりは、そうしたエヴァの新情報発表のイベント化と、SNSでの人々の反応というのも、大きな後押しとなっていたように私は感じました。そうした盛り上がりが、時間を超えて今もエヴァを“現役”たらしめている要因の一つなのかもしれませんね。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。明治大学大学院情報コミュニケーション研究科で、修士論文「ネットワークとしての〈アニメ〉」で修士学位を取得。ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)の全アニメを視聴して、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続中。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、現在は北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程に在籍し、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。
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2024年11月22日 05:00時点
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