M-1グランプリ2024 決勝戦
決勝戦 FIRST ROUND 前半戦 1~5組目
12月22日(日)放送分
人間そっくりのアンドロイドたちが異常な行動をとり始め、やがて人間たちを脅かしていくという米ドラマシリーズ「ウエストワールド」。そのセカンドシーズンのブルーレイディスク(BD)とDVDが、12月5日に発売される(DVDレンタルとデジタルレンタルは11月7日配信開始)。ファートシーズンの主たる舞台は、米西部開拓時代の街や荒野だったが、セカンドシーズンには、日本の江戸時代を再現した「将軍ワールド」が登場する。そこに、芸者アカネ役で出演している女優の菊地凛子さんに、今回の役作りはもとより、出演作選びの基準や海外作品に出演することの醍醐味(だいごみ)について聞いた。
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「『ウエストワールド』の世界に入っていくと、もしかしたら自分も作られた人間かもしれないと、今送っている生活すら疑わしくなってきます」と話す菊地さん。登場人物のせりふも哲学的なため、「生きるとはどういうことを言うのだろうと、ドラマの枠を超えて考えさせられることがすごくたくさんあります」と作品の魅力を語る。
「ウエストワールド」は、人間そっくりに作られたアンドロイドが「ホスト」となり、来園者である人間たち「ゲスト」を心ゆくまでもてなす体験型テーマパーク「ウエストワールド」を舞台に繰り広げられるSFアクションサスペンスだ。米ケーブルテレビ局HBOで2016年に放送がスタートしたファーストシーズンは、平均1250万人が視聴し、HBOオリジナルテレビシリーズのファーストシーズンの中では、「ゲーム・オブ・スローンズ」を抜き、最も視聴された作品となった。9月に開催される第70回エミー賞では21部門でノミネートされており、サードシーズンの製作もすでに決定している。
厳重に管理されていたはずのホストたちが自我に目覚め、プログラムにはない行動をとり始めたファーストシーズン。セカンドシーズンでは、いよいよ、役目を終え解放されたホストたちの逆襲が始まる。ファーストシーズンに続き、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(15年)の監督などで知られるJ・J・エイブラムスさんと、映画「ダークナイト」(08年)や「インターステラー」(14年)の脚本を担当したジョナサン・ノーランさんらが製作総指揮を務める。
今回のアカネ役をオーディションで勝ち取った菊地さん。アカネがどのような役柄かを知ったのは、撮影を約1週間後に控えた渡米直前だった。「前情報としてあったのは、オーディションでやったシーンだけでしたので、その意味ではハラハラさせられました。私自身が『ウエストワールド』の世界に入っていく感じでした」と苦笑する。
ただ、もともとファーストシーズンのファンで、そこに登場する、タンディ・ニュートンさん扮(ふん)する、娼館を経営するマダム役のホスト、メイブが「非常に好きなキャラクター」だった菊地さんにとって、もう一つの「前情報」は心強かった。それは、メイブとアカネがシンクロしたAI(人工知能)を持つ「ドッペルポッド」だということ。
「メイブと同じせりふをしゃべったりするところから、あれ、この人と自分が、なぜこんなにも似ているのだろうと疑問を抱いていくことが、ストーリーが進行していく上で意外と必要なポイントでしたので、そのへんは、監督の指示や、メイブ(役のニュートンさん)と話し合って、目線の向け方や、目を合わせた時のお互いの感応の仕方であるとか、そうした微妙なことは現場で調整しながら演じていきました」と明かす。
また、ファーストシーズンを通じて、メイブが「守るべきものがある女性」で、そのために「道を突き進んでいく」キャラクターであったことから、アカネとして「その部分がずれないように演じていく」ことも心掛けたという。
菊地さんが出演する第5話には、真田広之さんや「ウルヴァリン:SAMURAI」(13年)に出演したTAOさん、米ドラマ「HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン」(2015~16年)に出演した祐真キキさんといったハリウッドで活躍する日本人俳優も多数出演している。祐真さん扮するサクラは、アカネが女主人を務めるお茶屋の芸者で、幼いころ、アカネに拾われ娘として育てられたという設定だ。
サクラとは血のつながりはないとはいえ、母親役を演じることについて、自身、一児の母である菊地さんは、「母親になってみて、それまでと変わって見えたことはたくさんありました」とした上で、「子供って、ぬいぐるみをおぶってみたりしますよね。男性であるか、女性であるかの性別は今、関係ないとして、そういうふうに本能として何かをテイクケア(世話)したり、めでたりして自分が満たされていく感覚を持っているというのは、すごく興味深いです」と話す。
そして、「アカネは一応女性ですけど、AIなので、そのへん(性別)も明確には分からない。(アカネにとって)母性は付けられた機能ですけど、あそこまで(サクラのために)突き進んでいけるのは、何かを変える力になり得る気がしますし、非常に深いものをテーマにしていると思わざるを得ません」と真摯(しんし)に語る。
1999年に「生きたい」で映画デビューし、2006 年の「バベル」で米アカデミー賞助演女優賞にノミネート。その後も、「ノルウェイの森」(10年)や「パシフィック・リム」(13年)といったメジャー系の作品に出演する一方で、未公開ながら、製作総指揮を自ら務めた主演映画「トレジャーハンター・クミコ」(14年)といった独立系の作品にも積極的に出演している。作品選びの基準を聞くと、「今までやったことがない役柄にやはり興味があります」と答え、「作品を追うごとに人間としてタフになっている」と感じるという。
そんな菊地さんにとっても今回の「ウエストワールド」は、「異文化の塊」だったそうで、「いろんな国の人たちがセットにいますし、その中で(将軍ワールドのような)日本の国を作ろうしているところに混ざっていくと、日本にいて見る風景と、日本から離れて見る風景とが、違うことがすごくあります。そのため、より日本というものを考えるようになりますし、より日本人として、ということを考えさせられます。日本人としてどう思いますかと意見も求められることもあります」と明かす。
そして、「他文化に触れたり、多国籍のものに触れるたりする中で、自分の日本人としてのアイデンティティーみたいなものがより濃く見えたり、それに思いをはせたりできるわけです。そういう中で、ものを読んだり、見たりしたりすると、またちょっと風景が変わるというか、そういうことを体験したいんだと思います」と言葉をつないだ。
*……「ウエストワールド」セカンドシーズンBD&DVD:初回限定生産BDコンプリートボックス(全10話、3枚組み、9種類のトレーディングカード付き)は1万1300円(税抜き、以下同)。初回限定生産DVDコンプリートボックス(同)は9400円。初回限定生産ファースト&セカンドシーズンBDボックス(6枚組み)は1万5000円。すべて12月5日発売。▽DVDレンタル、デジタルレンタル配信、デジタルセル(日本語吹き替え版)配信は11月7日開始(字幕版デジタルセルは先行配信中)。
(取材・文・撮影/りんたいこ)
2024年12月24日 03:00時点
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