映画「Shall we ダンス?」「舞妓はレディ」などの周防正行監督の約4年ぶりの新作は「カツベン!(仮)」で、2019年12月に公開されることが28日、明らかになった。映画初主演となる成田凌さんのほか、黒島結菜さん、永瀬正敏さん、高良健吾さん、井上真央さん、音尾琢真さん、竹野内豊さんも出演。さらに、竹中直人さん、渡辺えりさん、小日向文世さんといった“周防作品”でおなじみのキャストも出演する。
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「カツベン!(仮)」は、「活動弁士」(活弁=カツベン)が主人公。約100年前に「映画(活動写真)」がまだサイレントでモノクロだった時代。日本では楽士の奏でる音楽とともに独自の“しゃべり”で物語を作り上げ、観客たちを映画の世界にいざない、熱狂させるカツベンが活躍していた。活動弁士になることを夢見る青年が、とある小さな町の映画館に流れついたことから始まるアクション、恋、笑いの要素を織り交ぜたエンターテインメント作品。超満員の映画館、隣町のライバル映画館、再会を果たした初恋相手、大金を狙う泥棒、ニセ活動弁士を追う警察までをも巻き込み、事態は誰も予想もしなかった展開へ向かう……という内容。
同作はすでにクランクインしており、会見がこのほど、東映京都撮影所(京都市右京区太秦)で行われ、成田さん、黒島さん、竹中さん、渡辺さん、周防監督が出席。「今作を撮影しようと思ったきっかけ」を聞かれた周防監督は「日本映画の無声映画時代には“活動弁士”という存在がいて、映画を解説しながら上映していた時代があり、これは世界でも日本独自の文化でした。日本映画の始まりの物語をエンターテインメントとして皆さんに知っていただき、日本映画の歴史というものを感じてもらいたかったという気持ちが一番強かった」と説明。
また、成田さんと黒島さんの起用には「2人ともオーディション(3カ月にわたり男女100人ずつ実施)で選びました。日本映画の始まりの頃はまだみんなが初々しく、そのような初々しさを2人に感じました。また成田さんは会った時の素直な感じ、そして活動弁士として映画を解説している姿がオーディションを通じて想像できたので、その才能を信じてキャスティングさせてもらいました。黒島さんは役でも駆け出しの女優を演じる、その役柄にふさわしい初々しさと可愛らしさを感じました」と明かした。
同作が映画初主演となる成田さんは「映画初主演を周防組で行えるということで、この世界にいる人間としては誰もがうらやむようなことだと思っており、もちろんプレッシャーも感じておりますが、何より安心感と信頼があるので、何があっても、はいつくばってでも真ん中に立っていようと思っています」と意気込んでいる。
演じる役には「活動弁士に憧れる青年で、真っすぐに、素直に、でもやんちゃな部分も持ちつつ、愛するものに突き進んでいく役」と語っている。また、実際の活動弁士から演技指導を受けているといい、「練習をしてから2カ月半程度たつのですが、堂々と自信を持ってやればいい!というアドバイスをしていただきました」と明かした。さらに、活弁の具体的な練習内容については「活動弁士の方に男、女、説明部分の声色をいろいろと作っていただいたり、独特な話し方を教えていただいて練習しています」と語った。
周防監督が「撮影が始まる前に、他の語り芸を絶対に見た方がいいと思い、講談や浪曲を(成田さんと)一緒に見に行きました。あとは、活動弁士としての基本的なことを磨いて、この映画のあとはアルバイトとして活動弁士ができるようになってほしいなと思います(笑い)」と語ると、成田さんは「活動弁士という仕事の楽しさを分かってきた。今後、機会があれば本当にやってみたいなと思っています」と答えた。
黒島さんは演じるヒロインについて「女優に憧れる女性で、非常に素直で純粋で、小さい頃に活動写真というものを見て、女優になりたいと思ういちずな女の子です」と話し、「今回オーディションで選んでいただいて、なんで私なんだろうという不思議な気持ちがあったのですが、素直にうれしいです。あまりオーディションで受かることが今までなかったので(笑い)。皆さんと良い作品を作っていけるというのは、今後の私の女優人生の中でも非常に貴重な経験になると思うので、撮影を頑張りたい」と力を込めた。
周防監督は「私の作品に欠かせない方もいれば、初めての方もたくさんいるので、どんなふうに私の映画の中で輝いてもらえるかを考えるのは非常に楽しみですし、いつにもまして“ハジけた映画”になると思います。大正時代の空気を感じさせつつ、映画自体の味わいとしては無声映画時代のアクションを意識して作るので、お芝居も普段やっている雰囲気とは違う形を皆さんに要求していこうと思っています」とコメント。
撮影の手応えを聞かれ「劇中のサイレント映画も全て、かつてあったものを使うのではなく、新たに撮影し、それを劇中のサイレント映画として公開します。それに先立って時代劇部分をこの太秦で撮影させていただきました。役者をはじめスタッフも時代劇を長年やってこられた、分かっている方々なので、非常に助かりました。今回は大正時代のお話ですが、太秦にある時代劇に対する蓄積というものを上手にこの映画の中で生かして、なおかつ東映が今まで持ち続けてきた技術や情感というものにも助けていただけるのではないかと思っておりますので、そういう楽しみもあります。私自身も現代劇を離れるという初めての体験であり、日本映画についての映画でもあるので、その培ってきた技術というものを私自身もここで体験し、勉強したいと思っています」と語った。
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