桐谷健太:「まんぷく」世良は“今”の自分に正直に生きる男 「不公平の時代」に視聴者共感

NHKの連続テレビ小説「まんぷく」で世良勝夫を演じている桐谷健太さん (C)NHK
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NHKの連続テレビ小説「まんぷく」で世良勝夫を演じている桐谷健太さん (C)NHK

 NHKの連続テレビ小説「まんぷく」に世良勝夫役で出演している桐谷健太さん。上昇志向が強く、自信家で押しが強い性格の世良は、10月30日放送の第26回で再登場すると、戦後の闇市で福子(安藤サクラさん)の母・鈴(松坂慶子さん)から買い取った着物を3倍の値で売ろうとするなど、早くも“らしさ”を発揮。自分をとがめる福子らを前に「今は不公平の時代。戦死した人間と無事で帰ってきた人間。抑留された人間と帰国できた人間。飢えてる人間とたらふく食うてる人間。不公平が当たり前やのに、それを文句言うてる時点であかんのです」と持論を展開し、視聴者から「ぐうの音も出ない正論」「真理ついてる」との声が上がった。物事を善悪だけで判断しない世良という男の存在を改めて見せつける名シーンとなったが、桐谷さんはどう考えているのか……。

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 元は技術屋だった世良。福子の夫・萬平(長谷川博己さん)の優れた技術と才能に圧倒され、「作る方」から「売る方」に転身し、販売の道へと突き進んでいく。常に損得勘定で行動し、親しくないにもかかわらず、萬平を「親友」と呼んだりするが、得にならないと分かるとあっさり見捨てたりする。要領が良く、状況を判断する力にたけた、たくましい男だ。 
 桐谷さんは世良について、「常に“今”の自分に正直に生きている男。福子のせりふに『世良さんが分からなくなった』とあるのですが、それは一見、世良がつじつまの合わない行動をしているようでも、すべてそのときどきの正直な気持ちによって動いているだけなんです。例えば、昨日いいと思っていなかったことでも、今日の自分がいいと思えたら、素直に行動に移すことができる人。他人から『ウソつきやん』って言われるかもしれませんが、『いや昨日と今日は違うんだ、時代は変わっているんですよ』と素直にそう言える、人の目を気にせず生きてる人だと思います」と印象を明かす。

 さらに「世良には幼いころから苦労して育ったような感じがあります。生きていく上で不公平で当たり前ということに直面し、子どものころはそれですごく悔しい思いをしてきたのではないでしょうか。ただそのことを受け入れて強く笑っていかないと、どんどん自分の心がすさんでいってしまうだけだということにもそのとき気付いたのでしょう。世良には人を蹴落とすという感覚はなく、自分が思うままに前進しているだけです。他人の足を踏んでも『ごめんな、わざと足を踏もうと思ってたわけやないで』と、サラッと言ってのける感じがあります」とも語っている。

 第26回では「ええも悪いもない!」と何があっても生き抜こうとする世良のたくましさが、発明家としてくすぶっていた萬平の闘志に火をつける結果に。「世良は『なんでも笑い飛ばせばいい』と鈍感でたくましい一面とともに、繊細さや洞察力も併せ持っています。だからこそ、萬平の才能にもいち早く気付いたのでしょう。ストーリーが進むにつれて世良の言葉が、萬平にとって刺激になり、彼の背中を押していきます。福子の支え方とはまた違った『もう一人の嫁』的な立場なのではないでしょうか」と語っていた。

 「まんぷく」は、99作目の朝ドラで大阪放送局制作としては42作目。インスタントラーメンをこの世に生み出した実業家・安藤百福(ももふく)さんとその妻・仁子(まさこ)さんの半生がモデルのドラマ。NHK総合で毎週月~土曜午前8時ほかで放送。

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