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ビッグに聞く:最終回 金子ナンペイ 「ビッグコミック」似顔絵の制作秘話 顔の翻訳家

マンガ
金子ナンペイさんが描いた自画像=小学館提供

 今年、創刊50周年のマンガ誌「ビッグコミック」(小学館)の関係者に、名作誕生の裏側や同誌について聞く連載企画「ビッグに聞く」。最終回となる第22回は、2011年から同誌の表紙のイラストを描いているイラストレーターの金子ナンペイさんが登場。「ビッグコミック」の表紙でおなじみの有名人の似顔絵の制作秘話を聞いた。

 ◇ビッグコミックだからビッグに描きたい

 「ビッグコミック」の表紙は1970年10月25日号から似顔絵となり、イラストレーターの故・日暮修一さんが描いていた。2011年からは日暮さんの後を継ぎ、金子さんが描いている。イラストを1枚仕上げるのには、4~7日程度かかる。描く際は「ビッグコミックだから、ビッグに描きたい。なるべく顔を大きくしたいんですよね」と考えているという。

 顔のサイズはビッグだが、体は小さく描いているのも特徴だ。「絵に入る要素が少ないので、手や持ち道具を入れたい。そこで、体を小さくして画面に入れることにした。なので、描いていて一番難しいのは首なんです。ギリギリ不自然じゃない形で、どう体を小さくするのかを毎回苦労しています。特に女性の場合は、首を長く見せないと美しくならないのです」と明かす。

 ◇シワとホクロがあってこそその人の顔になる

 金子さんのイラストは質感がリアルだ。どうやって有名人の特徴を表現しているのだろうか? 「目の力を強めたり、大げさに光を入れたり。元の写真を参考にして描きますが、よりエッジを効かせています。今の時代は印刷技術が上がっていて、より鮮明に刷り上がるのがいいですね。描くときの手がかりになるのは案外、シワとホクロ。これがあってこそ、その人の顔になることが多い気がします。おじさんの顔に人間味があるのは、シワが面白いから」と語る。

 金子さんは自身の仕事を「僕の仕事は翻訳に近いかもしれません。目はこういう輝きだよ、鼻はこんな形だよ、ここにこんなシワができるよ……と僕が一つ一つ認識して、理解して、説明する感じなんです。これが、写真にはない、絵のよさだと思います。やってることは、顔の翻訳家ですね」と紹介する。

 これまでに描いて楽しかったのは、米俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーさんと北野武監督。好きな人を描くときは一層、筆が乗る。描いてみてから、いい顔をしていると見直したこともあった。

 「男性では(サッカー日本代表の)長友佑都。テレビ画面越しにはちっちゃくてすばしっこい動物みたいなイメージで捉えていたのですが、いざ顔を見つめたら、整っていてカッコいい!  女性では(女優の)吉岡里帆。あまり気にしてなかったんですが、描いてみたらこんなにキレイなのか!と驚いて好きになりました」

 前任者の日暮さんは約40年にわたって表紙を描いてきた。金子さんは8年目に突入した。これから描きたい顔を聞くと、「映画監督の宮崎駿と庵野秀明。誰を描くかは僕が決めているわけではありませんから、映画が大ヒットして社会現象になってほしいですね。そうしたら、僕が描ける。やっぱり、ビッグの表紙はビッグな人じゃないと務まらないと思うんです」と話す。「ビッグコミック」の表紙は、時代を映す鏡であり続けるのだろう。

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