はたらく細胞!!
01「たんこぶ」
12月13日(金)放送分
今年、創刊50周年を迎えたマンガ誌「ビッグコミック」(小学館)の関係者に、名作の生まれた裏側や同誌について聞く連載企画「ビッグに聞く」。第18回は、「ビッグコミック」と同時期に創刊した「週刊漫画アクション」(双葉社)編集部にかつて在籍し、「週刊漫画アクション増刊号」(同)の編集長を務めた吉留博之さんが登場。小池一夫さん原作、小島剛夕さん作画の「子連れ狼」、上村一夫さんの「同棲時代」、大友克洋さんの「童夢」などの編集を担当した吉留さんに、「アクション」創刊や編集秘話、同誌から見た「ビッグコミック」について聞いた。
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「ビッグコミック」創刊編集長の小西湧之助さんは、1960年代後半、「大人向けのマンガ」を出したいと考えた。そう考えたのは小西さんだけでなく、「アクション」は、「ビッグコミック」創刊に先立つこと約7カ月、67年7月に誕生した。創刊編集長は故・清水文人さんだった。吉留さんは創刊に2年遅れて入社した。
「アクション」創刊は、「ビッグコミック」の創刊にも影響を与えたといわれている米風刺雑誌「MADマガジン」の影響が大きかった。「あの時代、60年代安保があり、革命や社会運動が盛んな世相でした。清水には、斬新なことをやろうという気概があったと思います。あの時代は米国が近代的文化なんです。清水は『MADマガジン』や(画家の)ノーマン・ロックウェルが好きだった。人間愛にあふれ、社会風刺がある彼の絵から、当時のもの作りに携わる者は新しさを感じていたと思います」と振り返る。
「ビッグコミック」が「ゴルゴ13」を世に出したように、「アクション」では「ルパン三世」が生まれた。当時、清水さんは編集部員がゴミ箱に捨てていた同人誌を拾い上げ、「これはイケる」と直感。「MADマガジン」に載っていてもおかしくないような洋風の絵が描かれていた。その同人誌を描いたのが加藤一彦(モンキー・パンチ)さんだった。その様子は、吉本浩二さんが「アクション」で連載中の同誌の創刊秘話「ルーザーズ~日本初の週刊青年漫画誌の誕生~」でも描かれている。
「ルーザーズ」では、清水さんのマンガに対する思いも描かれている。吉留さんは「『マンガ編集者はジャーナリストたれ』が口癖でした。『社会背景を踏まえたマンガ企画を3本用意しておけ』と編集部員に発破をかけていた」と語る。
「清水といえば忘れられないのが名物の“月曜の電話”。月曜に(マンガ誌の)見本誌が上がるとマンガ家に電話をかけて称賛と励ましを言う習慣がありました。編集長と作家が直接つながることで作品の質を保っていました。また、手塚治虫に土下座して連載を頼んだこともあった。『少年アクション』創刊を試みた時、デパート展示会に出席する手塚をエレベーターの前で待ち構えて、衆目の前で土下座して執筆を請願したのです。その時はすでに取締役でしたが、清水はそんな熱いところがありました」と振り返る。
「ビッグコミック」と「アクション」は同じ大人向けマンガ誌として同時期に創刊したが、カラーが違うようにも見える。吉留さんは「『ビッグ』は今に至るまで、小西さんが打ち立てたカラーを代々の編集長が受け継いできたことです。『アクション』にはこれがない。宿命的に、『壊せ。伝統を受け継いじゃいけない』という思いがある。だから、その度、その度で、大きく揺らぎました」と説明する。
伝統を壊し続けて約50年。「アクション」の歴史の裏側には編集者の奮闘があったようだ。
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