薬屋のひとりごと
第13話 外廷勤務
12月27日(金)放送分
今年、創刊50周年のマンガ誌「ビッグコミック」(小学館)の関係者に、名作誕生の裏側や同誌について聞く連載企画「ビッグに聞く」。第21回は、浦沢直樹さんの「PLUTO」「MASTERキートン」などを手がけてきたマンガ原作者の長崎尚志さんが登場。元小学館のマンガ編集者でもある長崎さんに、マンガの現在、未来などについて聞いた。
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長崎さんは「ビッグコミック」の看板でもあるさいとう・たかをさんの「ゴルゴ13」の担当を数年務めた。「ゴルゴ13」の仕事は、数人いるシナリオライターにネタを提供したり、あらすじを一緒に考えることもあった。そのうち、自らシナリオを書くようになり、マンガ原作者となる礎となったという。長崎さんが今、「ゴルゴ13」の原作を手がけるとすれば、どんなストーリーになるのだろうか?
「一番やりたいのは麻生太郎さんを出すこと。決めぜりふは頭に浮かんでます。『あんたが撃たなきゃ、オレが撃つよ』。麻生さんは、実際にかつての射撃の五輪日本代表ですからね。取り巻きが『また変なこと言っちゃったよ、あのオッサン』『また議事録に載せられないじゃないか、これ!』っていう場面をやりたい」
長崎さんは、浦沢さんのマンガなどさまざまな作品で読者を驚かせ、魅了してきた。そのストーリー作りのために訓練していることがあるという。
「映画では、前半分だけ見て後ろ半分を当てる訓練です。例えば『アメリ』。途中で、すごいラストを思い付いて、泣きながら見ていたんですけど、全然外れてました(笑い)。つまらないラストだとホッとするんです。『おっ、自分で考えたやつ、今度使えるな』と。逆に『全然、俺よりうまいじゃないか!』とやられることもあります」
マンガはキャラクターが重視されると言われることもある。しかし、長崎さんは変化しつつあると考えている。
「『ビッグコミック』の伝統はキャラクター偏重ではなくてストーリー重視なんですよ。今、『ビッグコミック』だけではなく、マンガ全体がようやくストーリー重視に移行し始めています。これは、マンガ自体が進化したんだと思います。主人公は重要だけど、物語もちゃんとしてなきゃ、という地点にようやく来たんじゃないですか」
ストーリー重視になれば、マンガ原作者の存在は、ますます重要になってくるはずだ。長崎さんは今のマンガをどのように考えているのだろうか。今後どんな作品を生み出していくのだろうか。
「若い編集者が作るものは古い。物語の最先端がどこにあるのか分からずに作っていて、元ネタまでたどり着かずに新しいと感じちゃっている。何に影響を受けて、何をまねているのかをつかめば原点が分かるんだけれどね。今、新しいのは欧州のドラマで、物語がそこに行っちゃうの?という自由な展開と、倫理観の扱い方が極まっています。大御所の米国は既に疲れてきていて、最も面白いストーリーを発信するのは英国とデンマークとスウェーデン!! こんな会話をしながら、若い才能とマンガを作っていけるといいですね」
長崎さんは物語に対する探求心が尽きない。だからこそ、新しい物語を生み出し続けているのだろう。
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