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平成仮面ライダー:そもそも何だったのか? 転機は… 白倉伸一郎Pに聞く

アニメ 映画
映画「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」を手がけた東映の白倉伸一郎プロデューサー

 特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズの劇場版最新作「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」が22日に公開される。2000~01年に放送された第1作「仮面ライダークウガ」から放送中の第20作「仮面ライダージオウ」まで歴代の平成仮面ライダーが総登場。「ジオウ」は平成最後の仮面ライダーとなり、映画は平成仮面ライダーの集大成になるという。そもそも平成仮面ライダーとは何だったのか? 「クウガ」をはじめ数々の作品に参加し、「ジオウ」や映画最新作も手がける東映の白倉伸一郎プロデューサーに聞いた。

 ◇スーパー戦隊と差別化 受け継がれる正義への思い

 白倉さんが平成仮面ライダーに参加したのは、第1作「クウガ」からだった。テレビシリーズとしては「仮面ライダーBLACK RX」終了以来、約10年ぶりの新作。主演のオダギリジョーさんが注目されるきっかけにもなった作品だ。白倉さんは、平成仮面ライダーについて「最初はメジャーではなかった」と振り返る。仮面ライダーといえば人気コンテンツで、若手俳優の登竜門のような存在にもなっているが、2000年は少し状況が違った。

 「クウガやアギトの時代、仮面ライダーは古いコンテンツで、一世を風靡(ふうび)したけど、昔の話という感覚でした。一部には待っていました!という声もありましたが、古いコンテンツを倉庫の奥から引っ張り出してきて、ネタ切れなのか?と思われていたところもありました。では、なぜ仮面ライダーなのか? 初代の放送から約30年がたち、その頃、子供だったファンが親になっている。視聴者は子供が中心ですが、同時にお父さんもターゲットになる。昭和の仮面ライダーのカウンターとして作り、ここが違う……と子供と会話できるようにしたかった」

 平成仮面ライダーは、昭和仮面ライダーのカウンターだったこともあり、それまでの日本の伝統的な特撮ヒーロードラマとは違うところもある。具体的には何が違うのだろうか?

 「変えるところは変えて、守るところは守る。考えていたのは、スーパー戦隊シリーズとの差別化です。どうやって違うことをやって、負けないようにするかがテーマだった。昔の仮面ライダーは、悪の組織があり、てっぺんにボスがいて、ひな壇のように敵幹部がいて、末端がいるというピラミッド形式だった。そのフォーマットは、スーパー戦隊シリーズに受け継がれている。同じようなことをやると、仲間が少ないスーパー戦隊シリーズになってしまう。地味になってしまうんですよ(笑い)」

 平成仮面ライダーは敵のあり方がこれまでの特撮ヒーロードラマとは違った。白倉さんは、仮面ライダーは平成も昭和も「勧善懲悪ではない」とも話す。それは受け継がれている伝統でもある。

 「石ノ森章太郎さんのポリシーなんですね。石ノ森イズムは守らないといけない。守るべき一番大きいこと。そもそも、初代仮面ライダーの初期の会議で『正義』という言葉を使わないようにしたらしいんです。正義という言葉は危険。人間の自由と平和のために戦う。昔の仮面ライダーは主題歌の歌詞に正義という言葉が出てくるのですが(笑い)。矛盾しているんですけどね」

 ◇龍騎、ディケイドが転機に 昭和のカウンターでなくなった

 平成仮面ライダーは01~02年放送の「仮面ライダーアギト」から始まり、時代の流れと共に変化してきた。白倉さんは、その中でも大きな転機となった作品として02~03年放送の「仮面ライダー龍騎」と09年放送の「仮面ライダーディケイド」を挙げる。「龍騎」は13人の仮面ライダーがバトルロイヤルを繰り広げた。「ディケイド」は歴代の平成仮面ライダーが総登場した。

 「龍騎以後、ものすごくフォロワー作品が増えた。そういった影響もあるのですが、組み立て方がこれまでと違った。日本のヒーロー番組は、敵が攻めてくるので防衛する。基本的に待っている。敵が攻めてこなければ、番組として成立しない。これが大きな特徴なんです。龍騎は敵を待っていない。結果論ですが、それを提示できた。違う作り方ができるんだと示した。功罪あると思いますが、功績の一つだと思います。悪い言い方をしたら、仮面ライダーは何でもできるんだ!となった。

 ディケイドまでは昭和仮面ライダーの名残があり、昭和のカウンターとして作ってきました。約10年続いたことで、カウンターでなくなった。『仮面ライダーW』くらいから、昭和仮面ライダーをあまり意識しなくなったんです。職業、キャラクターのモチーフなどを取り入れた。スーパー戦隊シリーズの方法論に近くなり、戦隊との差別化を意識しなくなった」

 ◇ジオウは難しい? 映画は平成仮面ライダーそのものを描こうとした意欲作

 白倉さんは放送中の「仮面ライダージオウ」でもプロデューサーを務めている。テレビシリーズのプロデューサーは「ディケイド」以来だ。主人公・常磐ソウゴ(仮面ライダージオウ)が、時空を旅して、歴代平成仮面ライダーたちと出会いながら、過去、現在、未来、あらゆる時を救おうとする……というストーリーで、子供には少し難しいのでは?という声もある。白倉さんは「難しいですね(笑い)。理屈を度外視した時、お子さんも楽しめるような仕掛けにしています。大人は分からないところもあるかもしれません」と考えているという。

 22日に公開される「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」は「平成仮面ライダーそのものを描こうとした意欲作」になるという。「18年という歴史があり、ビジュアルには歴代の平成仮面ライダーが並んでいますが、実際には横並びではない。見ていた人にも歴史がある。平成仮面ライダーという塊ではない。ファンの皆さんと歩んできたことをどうにかして描けないか?と試行錯誤しながら、エンターテインメントに落とし込んだ」

 最後に「平成仮面ライダーとは何だったのか?」という質問をぶつけてみると「視聴者の心にある。平成仮面ライダーを平成仮面ライダーたらしめたのは視聴者。それが現実に生きている我々、虚構である仮面ライダーの接点」と話す。何とも複雑ではあるが、一言で語れないのが平成仮面ライダーの魅力なのかもしれない。

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