宮藤官九郎:「いだてん」脚本は長丁場でも「尺が足りない」と充実 「あまちゃん」との違いも…

2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で脚本を手がける宮藤官九郎さん=NHK提供
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2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で脚本を手がける宮藤官九郎さん=NHK提供

 2019年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で脚本を務める宮藤官九郎さん。ドラマは宮藤さんのオリジナルストーリーで、「オリンピック」をテーマに、日本人が初めて五輪に出場した明治の終わりから、東京に五輪がやってきた1964年までおよそ半世紀にわたって描く。宮藤さんでNHKドラマといえば、2013年の連続テレビ小説(朝ドラ)「あまちゃん」の脚本を担当したことも記憶に新しい。そんな宮藤さんに、大河ドラマの脚本を担当する心境や朝ドラ執筆時との違いなどを聞いた。

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 ◇「思っていたより大河ドラマっぽい」 脚本担当の心境は…  

 ドラマのテーマは「“東京”と“オリンピック”」。大河ドラマで近現代史を取り上げるのは1986年の「いのち」以来、33年ぶり。主演は中村勘九郎さんと阿部サダヲさんで、勘九郎さんは日本で初めてオリンピックに参加したマラソン選手・金栗四三役、阿部さんはコーチとして日本水泳の礎を築き、「東京オリンピック」実現に執念を燃やす政治記者・田畑政治役を演じ、“リレー”形式で主演のバトンをつなぐ。

 33年ぶりの近現代史でかつ、リレー形式の主演も19年ぶりとあって、その異色ぶりが注目を集めている「いだてん」。だが、宮藤さんは意気込みを聞かれても「あんまりないですね(笑い)」と自然体だ。「今までの大河ドラマだと、合戦とか切腹とか、『この人を取り上げるなら、これは絶対にあるでしょ』というシーンがあるけど、それが今回はないんです。その代わり、陸上や水泳がある。国と国の戦いではなく、スポーツでそうした見せ場を作る、というのは、最初に思っていたより“大河ドラマっぽい”んじゃないかなと思っています」と語る。

 大河ドラマの脚本を担当する経緯について、宮藤さんは「『面白いことやりましょう』と始まって、なんとなく『これ大河になりますかね?』という話になり、『大河になるのかこれは、今までみた大河ドラマでこんなのないですよね』という話をしていて。でも、なるらしい……と」とユニークに説明。脚本を務める心境は「(大河になると聞いたときは)1年間どうやって怒られずにやっていこうか……ということが一番ですね。だいたい大河ドラマって作者が怒られるじゃないですか、事実と違う、とか。いかに言われずに、1年をやりすごそうかなと思いました」と冗談めかして明かす。

 ◇長丁場も苦労なし 「尺が足りない」

 NHKドラマでは、2013年の連続テレビ小説「あまちゃん」の脚本を担当した。朝ドラと大河では、どのような点で違いを意識しているのか。宮藤さんは「(今回は)実在する人で、『あまちゃん』は実在する人じゃなかったので、そこが大きく違いますね。実在する人を描くメリットはなにか、毎回考えながらやっています」と語る。

 さらに、「朝ドラは、1日や2日見なくても分かるようにしないといけない。何も起こらない回があっても面白いなと作っていたので、わりと気楽にやっていました。今も、そんなに深刻にはなっていないんです。毎回トピックがあるので、行き詰まったり、ネタに困ったり、ということはないですね」と宮藤さん。

 とはいえ、「つじつまが合わないことがどうしても出てきてしまう。『このとき、金栗さんには熊本じゃなくて東京にいてほしいのに、なかなか東京に出てこない』とか」と苦労もあるが、「マイナスに考えたくないので、面白い理由を考えればいいのかなと。創作が入り込むスキがまだあるなと、楽しく書いています」と楽しげな表情を見せる。

 朝ドラ同様、大河ドラマも長丁場だが、脚本を書く上で「苦労はない」と現時点での手応えを語る宮藤さん。「逆に、尺が足りないというか……3月ぐらいまでやらせてくれないかな(笑い)」と意欲的に語っていた。

 大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」は19年1月6日からスタートする。

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