手塚治虫の名作マンガ「火の鳥」の長編小説「小説 火の鳥 大地編」の連載が、朝日新聞の土曜別刷り「be」でスタートすることが25日、明らかになった。小説は、未完となっている「火の鳥 大地編」の構想原稿を基に、直木賞作家の桜庭一樹さんが執筆する。小説の挿絵は、「鉄腕アトム」をはじめ手塚作品をモチーフにした作品を多く発表しているイラストレーターの黒田征太郎さんが手がける。連載は、4月6日にスタートする。
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「火の鳥」は、不死鳥である火の鳥を追い求める人々を描き、人間の尊厳や愚かさを描いた壮大なストーリー。今回の小説は「be」で1年間連載され、毎週掲載予定。連載のスタートを記念し、「be」の公式サイトではマンガ「火の鳥」の「黎明編」を無料公開している。
“マンガの神様”が遺(のこ)した「火の鳥」のシノプシスがあるって!? 実物に目を通したとき心が震えました。まず、手塚先生ならこう描かれたはず、という忠実なアウトラインを引き、その上で、平成のその先へと生きていく自身の感覚と、小説ならではの表現を使って、火の鳥に再び熱い命を吹きこもうとしています。わたしは小学校の図書室で「火の鳥」を見つけ、夢中で読みました。この物語に流れている、命への賛歌、平和主義、そして、人間の気高さを信じる手塚先生から伝わる“悲しみを伴った独特のオプチミズム”から多大な影響を受けて大人になりました。「火の鳥」の名に恥じない大ロマンに。そして、次の時代につながる新しい物語に。今年、全力で「大地編」をつむぎたいと思っています。
僕は、手塚治虫になりたかった少年です。9歳のとき、戦後の闇市で見た「新宝島」で、疾走する車のタイヤが楕円(だえん)に描かれているのを見て「これだ!」と思った。手塚さんの本を買うために新聞配達をしました。食べるため早く大人にならねばならない時代でしたが、手塚さんは心と頭に深く入り込んでいました。昨年、手塚さんを追憶する展覧会を開いた後も、手塚さんに質問するような、返答するような気持ちで、気が済まずにアトムの絵を描き続けています。「火の鳥」には、手塚さんの時空を超えた自己表現がある。これまで、野坂昭如さんや中上健次さんといった作家と付き合ってきましたが、桜庭さんは僕からしたら子供のような世代。手塚さんという巨人と、桜庭さんという新兵器にはさまれて、僕がどう反応していけるか、楽しみにしています。
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