作家のヒキタクニオさんのエッセー「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」(光文社)が映画化され、俳優の松重豊さんが主演を務めることが27日、分かった。松重さんが映画の主演を務めるのは、今回が初めて。原作は、ヒキタさんの実体験を基に男性不妊について描いたエッセーで、松重さんはヒキタクニオ役で出演する。また、女優の北川景子さんが、ヒキタクニオの2回り近い年下の妻・サチを演じる。松重さんは、脚本を読んだ感想を「妊活モノというのは全く想定外の出演依頼でして、一口に子作りといっても、大変な苦労があるものだなと、読んではじめて知らされることばかりでした」と語っている。映画は10月公開。
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映画は、年の離れた妻・サチと仲良く暮らしている49歳の作家・ヒキタクニオが主人公。子供は作らずに夫婦2人で生きていくと決めていたが、ある日、妻から「ヒキタさんの子どもに会いたい」と言われる。それをきっかけに妊活を始めるも、なかなか結果は出ない。クリニックでの検査の結果、不妊の原因はヒキタ自身にあることが判明する……という展開。映画「ぱいかじ南海作戦」「オケ老人!」などの細川徹さんが監督を務める。
松重さん、北川さんのほか、濱田岳さんがヒキタの担当編集者・杉浦役、伊東四朗さんがサチの厳格な父・和夫役、山中崇さんがヒキタ夫妻の主治医・桑島役で出演する。同作は、4月に開催される「第9回北京国際映画祭」のコンペティション部門に正式出品されることが決定している。
松重さん、北川さんのコメントは以下の通り。
――脚本を読んでみて。
妊活モノというのは全く想定外の出演依頼でして、一口に子作りといっても、大変な苦労があるものだなと、読んではじめて知らされることばかりでした。
――ヒキタさんを演じてみて。
北川景子さんが奥さん役でしたので、この年齢差をどう成立させなきゃいけないのか、そればかり考えて現場に入りました。でもそこはさすが北川さん、実に自然な夫婦感を醸し出してくれました。思えば私にとって、夢のようなひとときでした。
――撮影や共演者について。
北川さんはじめ、伊東四朗さん濱田岳君、実にナチュラルにこの世界を包んでくださる共演者に囲まれ、ストレスをみじんも感じないスタッフワークと共に、クランクアップが恨めしいほどでした。
――「北京国際映画祭」コンペティション部門への正式出品が決まって。
こういう華やかな舞台は自分には無縁だと思っていました。北京にはおいしいカフェがあって、そこに繰り出してスイーツを食べるのが今から楽しみです。
――脚本を読んでみて。
不妊治療をテーマにしながらもコメディータッチで描かれていて面白かったです。弱音を吐かず、懸命に夫を支えるサチさんの姿は同じ女性としても感銘を受けました。ヒキタさんとサチさんが歩んできた道のりをいかにリアルに、ユーモアたっぷりに表現できるかが鍵になると思いました。
――サチを演じてみて。
ヒキタさんとサチさんは二回りほど年の離れた夫婦ですが、松重さんとは何度も共演させていただいているので、信頼関係が出来上がっている状態で演じられたのは本当に良かったと思います。クランクインしてすぐに、自然と夫婦になれたような気がしました。私はこの作品に取り組んで不妊治療について詳しく知ったのですが、夫婦の心の絆と、困難にぶつかっても乗り越える強さがなければ到底できない、大変なことだと知りました。私は経験がありませんでしたが、サチさんの不妊治療に取り組む姿勢をリアルに表現したいと思いました。とても難しかったですが、この作品がたくさんの方に届いてほしいと思います。
――撮影や共演者について。
撮影はほぼ一年前。もう懐かしいです。松重さんと毎日朝から晩まで一緒にいて、本当に家族のような錯覚さえ覚えました。濱田岳くんもよく知った方なので、アットホームな現場でした。桜のシーンが印象的で、天候にも桜にも恵まれ、とても良いシーンになりました。楽しみにしていてください。
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