M-1グランプリ2025 アナザーストーリー
新王者たくろう完全密着!解散危機を乗り越えた“軟弱の星”が掴んだM-1ドリーム
12月28日(日)放送分
ダウンタウンの浜田雅功さんがMCを務めるバラエティー番組「プレバト!!」(MBS・TBS系、毎週木曜午後7時)の「春の3時間スペシャル」が4日午後7時から放送される。メイン企画の俳句頂上戦「春光戦」には梅沢富美男さんをはじめとする過去最多14人の名人、特待生が集結。昨年の夏・秋を連覇した優勝候補の梅沢さんが「脅威に思っている」と警戒するのが、クイズ番組「東大王」(TBS系)でブレークし、参戦2回で特待生にスピード昇格を果たした現役東大生の鈴木光さんだ。年4回のタイトル戦では初顔合わせとなる2人。芸能界の“俳句王”と俳句名人を目指す“東大王”にお互いの印象と“俳句の作り方”を聞いた。
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――ものすごい特待生が現れました。
梅沢さん:すごい!の一言だね。だって鈴木さんはまだ20歳でしょ。俳句って若い人たちにしてみれば死語に近い言葉。優秀な東大生でも聞いたことがない言葉ばかりのはず。俺は芝居では七五調のせりふが多いので入りやすかったけど、彼女は俳句を五七五の中にどんな言葉を入れるかという学問としてとらえているんだよね。悔しいけど俺にはできない芸ですよ。こっちは感性だから。なっちゃん(=夏井いつき先生)に「語順が悪い」ってよく怒られるけど、芝居のせりふのように俳句を作っているから落とし穴がいっぱいあるんだよ。でも弱冠20歳の子がやすやすと俳句を作っている。メンバーはみんな脅威に思っているはず。
鈴木さん:そんなことないです。でも、確かに古文の素養があったから俳句ができているのかなって思います。夏井先生もご自身が国語の先生だったので、助詞の使い方一つもすごくこだわっている。俳句って本当に繊細だから、一つ一つの要素に細心の注意を払わなければいけないと感じています。私も古文の文法を意識しているから小さなミスが回避できているだけだと思います。
梅沢さん:ほら、すごいでしょ! そのうち間違いなく名人になる逸材ですよ。
――参戦2回で特待生にスピード昇格には驚かされました。
鈴木さん:まさか俳句の世界に飛び込むなんて思ってもいなくて。1月(正月SPの番組対抗戦)に初めて俳句を詠んだとき、たくさんのルールや制約があるのが自分の性に合ってすごく楽しかったんです。楽しいまま特待生になってしまった感じなので、まだ実力が追いついていないのですが、これからブラッシュアップしていきたい。やはり名人の方々、特に梅沢さんの俳句は本当に素晴らしいんです。私とは経験の幅が段違いですし、どんな視点に立ってもリアリティーを持たせることができている。前回は「道化師のギャロップのごと牧開」という句で4級に昇格しましたが、“ごと”俳句に挑戦してみようと思ったのは、梅沢さんの「牢名主のごと自販機のおでん缶」という句がきっかけなんです。なんて面白い句なんだろう、自分でも取り入れてみようって。
梅沢さん:いやいや(笑い)。“牢名主”なんて言葉は、時代劇の役者だから知っていただけですよ。15歳から本格的に芝居をやってきたけど、彼女はその経験がないんだから脅威ですよ。女性初の名人の中田喜子さんだって、女優として時代劇から現代劇までたくさん経験しているから言葉の使い方がうまいわけです。鈴木さんは本当にすごいよ。プレバトにやっと誕生した女性アイドルです。俺が20歳のときはただボーっとしていただけだからね(笑い)。
――お二人はいつもどのように俳句を作られるんですか?
梅沢さん:まず季語を見つけるんです。歳時記を広げて、お題の写真からイメージした季語から作るんですが、何日もかかるんですよ。1句作るのに2、3日はかかりますね。俺は短腹(短気)だから数はたくさん作れないけど。
鈴木さん:私も季語から作ります。まずお題に合う季語を探し、そこから何を描きたいかイメージを固めて仮の句を作ります。4時間くらいで3句とか作って、後日何度も文法的に間違っていないかなどを考えます。だんだんと構成しますが、短期集中型です。俳句って本当に集中していないと作れないんです。散漫としていると言葉の選び方も雑になってしまうので、短い時間で勝負しようと。
――自身の強みはどんなところだと思いますか?
梅沢さん:舞台の役者ですから、言葉の調べが得意だと思いますね。いつも声に出して句を詠みながら作りますから。やっぱり音なんですよね。俳句の五七五も、芝居の七五調のセリフも日本人の耳に一番合う語数なんですって。芝居でも「いかが堅固な要塞も内から敗るる栗の毬(いが)」なんてせりふがありますからね。似ているでしょ。そこは、みんなよりも強みかな。
鈴木さん:ルールをちゃんと把握しようとしているところかな。経験が浅い分、どうしても技術で補わなければいけない。だからこそ、助詞とか型とか細かいところに気を配っています。
梅沢さん:鈴木さんはそれだけじゃないと思うよ。過去に番組に東大生や作家だって出ているけど、みんなダメだったからね。頭が良ければいいってことじゃない。何か特別なものを持っていないと無理だと思うよ。
――特待生の松岡充さんや岩永徹也さんは、俳句作りは「つらい」とおっしゃっていました。
鈴木さん:私は楽しいです! 映像として思い浮かべたものを形にしていく作業が面白いんです。ちょっとした言葉のニュアンスで、全然意味が変わってくるじゃないですか。それを構築していく作業がすごく楽しいですね。
梅沢さん:俺はつらいよ~(笑い)。舞台もあるので休みがない中で、早く作れとか言われてさ。フジモン(お笑いコンビ「FUJIWARA」の藤本敏史さん)は「梅沢さんは得だよな。何回も出ているから」とか言っているけど、何回も出ている方がつらいんだって! 芝居も作らなければいけないし、俳句のことだけで頭が痛くなるもん……。でも忘れていた言葉を思い出させてくれるし、俳句は自分の商売の役に立っているかな。ときどき言いやすい言葉の方を優先してしまって助詞の使い方を間違えて、なっちゃん先生に怒られるんだよね。今までに何回も助詞の間違いを指摘されているんだから学習すればいいのに、なかなかうまくいかない。でもまあ、この年になっても勉強しているのっていいものですよ。
――梅沢さんは夏井先生との絶妙な掛け合いも最高です。最後に放送の見どころを聞かせてください。
梅沢さん:なっちゃんとは漫才をやっているつもりなんだけど、俳句甲子園で松山に行った時に先生の教え子の小学校5、6年生くらいの男の子に「夏井先生を“ババア”って言わないでください!」って怒られてさ。「なるべく言わないようにするよ……」って謝りましたよ(笑い)。ともかく番組は美しい日本語の勉強にもなりますので、ぜひ見てください。俺が言っていることはためにならないけど、夏井先生のお話は大いにためになりますから!
鈴木さん:私は最近番組に出るようになってすごく楽しいんです。東国原(英夫)さんだったらどこか陰のある俳句、逆に梅沢さんはどこか温かみのある俳句ですが、そういう個性を発揮されているのを見るのも楽しい。ぜひ、そこも注目して見てください。
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