俳優の斎藤工さん主演の映画「麻雀放浪記2020」(白石和彌監督)が5日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほかで公開される。故・色川武大さんが阿佐田哲也のペンネームで発表した小説「麻雀放浪記」が原案。映画化は、1984年公開の和田誠監督作品以来35年ぶり。2020年の未来を舞台に、戦後の1945年からやってきた主人公・坊や哲の姿が描かれる。10年間映画化を熱望し、アプローチし続けてきたという斎藤さんが「鋭角的で奇天烈(きてれつ)な世界観」と表現する、ぶっ飛んだ設定の新「坊や哲」の世界が繰り広げられる。
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舞台は、東京五輪が中止となった2020年。人口が減少し、労働はAI(人工知能)に取って代わられ、街には失業者と老人があふれていた。1945年の戦後からやってきた天才ギャンブラー・坊や哲(斎藤さん)は、そんな世界のあまりの変わりようを目にして驚がくする。そんなとき、思わぬ状況で「麻雀」での死闘が繰り広げられることになり……という展開。
ヒロインのドテ子役で姉妹音楽ユニット「チャラン・ポ・ランタン」のももさん、拝金主義の芸能プロ社長、クソ丸役で竹中直人さん、昭和の麻雀クラブの妖艶ママ役でベッキーさん、ドサ健役で的場浩司さん、老獪(ろうかい)なイカサマの達人、出目徳役で小松政夫さんらも出演する。
ピエール瀧被告の逮捕で公開前からさまざまな話題を振りまいた。ベールに包まれた部分は多いが、斎藤さんと「孤狼の血」などの白石監督のタッグとなれば、マージャンになじみはなくとも期待するファンは多いだろう。
原案「麻雀放浪記」でおなじみの坊や哲、ドサ健、出目徳……という名前はあるものの、公開されている予告編では、坊や哲が全自動マージャン卓に驚く姿や、ふんどし姿の男たちのダンス、謎のアンドロイド……とシュールでぶっ飛んだ世界が描かれている。坊や哲を待ち構える国策イベント「麻雀五輪世界大会」など、原案とは異なる展開に興味は尽きない。
マージャン場面はもちろん、煮えたぎる肉を手づかみで食べ、なぜか海辺で侍の格好でマージャンを打ち……と笑いのこぼれそうなシーンを演じる斎藤さんの姿にも注目したい。(河鰭悠太郎/フリーライター)
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