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岸井ゆきの&成田凌:「愛がなんだ」はラブホラー? 撮影の裏側と2人が“朝ドラ”を通して変わったこと

映画
映画「愛がなんだ」に出演した岸井ゆきのさん(左)と成田凌さん

 3月まで放送されていたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「まんぷく」でヒロイン福子のめいのタカを演じ注目を集めた女優の岸井ゆきのさんが、俳優の成田凌さんを相手に“痛い”女性を演じる映画「愛がなんだ」(今泉力哉監督)が、19日に公開された。好きになった男に徹底的に尽くす女と、そんな女を自分に都合よく利用する男。それぞれを演じた岸井さんと成田さんに聞いた。

 ◇主演作「私に背負えるのだろうか」

 直木賞受賞作家、角田光代さんが、2003年に発表した同名の恋愛小説(角川文庫)が原作。岸井さん演じる会社員の山田テルコが、成田さん扮(ふん)する出版社勤務の田中マモルに思いを募らせ暴走していく姿を描く。マモルが恋する年上の女性、“すみれさん”を江口のりこさんが演じるほか、テルコの唯一の女友達・坂本葉子を元「乃木坂46」の深川麻衣さん、葉子にいちずな思いを寄せるカメラマン志望のナカハラを若葉竜也さんが演じている。

 岸井さんは今作のオファーが来た際、「初めての主演映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』(17年)が終わってまだ1年もたっていないころで、主演をやりたいとか、そういう気持ちはなかったんです。ですから、主演でと言われたときは、ううう、私に背負えるのだろうかと思いました」と打ち明ける。そんな思いはしかし、原作を読み終えた途端、雲散霧消し、「テルコ、やりたい! これができるんだ。すごい、やったあ!」という喜びに変わった。

 一方、成田さんは、脚本を読んで「マモルは僕だろうなと正直、思いました(笑い)」と明かす。成田さんに言わせると、マモルは「何をするにおいても、どこかで気持ちに歯止めをかけなかったらこうなるんだろうな」という結果を招き、「いろんなリミッターやらネジやらを外したらこうなる」という人間。一癖も二癖もあるが、成田さんはそんなマモルの気持ちを、「存分に分かるし、1回目に脚本を読んだとき、すごくスムーズに読めたんです。それでもう1回読んだら、マモルの面白みが突き詰めれば突き詰めるほどどんどん出てきたんです」と振り返る。

 ◇岸井ゆきのが怖い?

 岸井さんと成田さんは共に映画「ここは退屈迎えに来て」(18年)に出演しているが、そのときは「(映画の)打ち上げで会ってごあいさつしただけ」(岸井さん)で、実質、今回が初共演となる。成田さんに対して「すごくスマートで、カッコよくてというイメージだった」という岸井さんは、今回、成田さんと台本の読み合わせをしたとき、「あ、マモちゃんだと思って、すごく安心したのを覚えています」と語る。

 一方、岸井さんと一緒に過ごした時間すべてが、「テルちゃん(テルコ)との時間だった」という成田さんは、「岸井ちゃんとテルちゃん(の区別)が、僕の中ではまだ整理がついていなくて……。(岸井さんは)本当はどんな人なのだろうという、ちょっとした恐怖心があります(笑い)」と打ち明ける。

 その言葉に、「え?」と反応した岸井さん。慌てて成田さんは、「すごく明るくて、ずっと笑顔で。分かっているんです、岸井さんだって。でも撮影している最中はテルちゃんモードが入っているので、本当はどういう人なのだろうなといまだに思います」と続け、今回対談することで、「本当の岸井さんと出会えた気がします」と安堵(あんど)した様子だった。

 ◇それぞれの役で意識したのは…

 その「テルちゃんモード」とは、例えば、マモルに求められれば会社はさぼるし、たとえ夜中でも呼び出されればいそいそと出かけて行くしと、とにかくテルコは“マモちゃん一筋”。一般的には共感しづらいキャラクターだが、岸井さんは演じる上で、「すごく好きな人に本音を言えないことって私はあるんですけど、テルコは、自分をよく見せたくて繕っちゃったり、そういうことが全然上手じゃないから絡まっちゃったりすると思うんです。そういう微妙な距離感みたいなものは、すごく意識して演じました」と説明する。

 かたやマモルは、自己愛が強く、自分に自信が持てないダメ男。成田さんが意識したのは「どのくらい最低なのだろう(笑い)」ということ。「ちょっとしたことで本当の嫌なヤツになっちゃったりするから。でも、嫌なヤツではいけなくて、なんか憎めなかったな」という印象を観客に残せるように、撮影中は、「常にワンカットごとに二択があって、今泉監督と『どっちがいいですか』と相談しつつ、悩みながら」演じていったという。

 ◇朝ドラ体験での変化

 ところで、岸井さんは、NHK連続テレビ小説「まんぷく」でタカちゃんこと神部(旧姓・香田)タカ役で出演。成田さんも、17年後期放送の朝ドラ「わろてんか」で、ヒロインの息子役で出演していた。朝ドラを体験しての変化を聞くと、「役名で呼ばれることは、とても大きな変化です」と岸井さん。これに成田さんも、「おじいちゃん、おばあちゃんたちに役名で呼ばれます」とうなずく。

 さらに成田さんは、「ものすごいスピード感で撮っているので、すべてを受け入れて、対応する能力はついたと思います。心はちょっと鍛えられました」と語る。これに岸井さんも、「朝ドラという一つ(のくくり)があって、ドラマ、映画、舞台、朝ドラのように、スピード感が他と比べ物にならないと思います」と賛同する。ただ、「まんぷく」は、順調に台本が上がり、「結構しっかりリハーサルをして、相談しながらやれて、すごくありがたかった」と話した。

 ◇10年後は…

 そんな2人に10年後の自分を想像してもらうと、2月で27歳になった岸井さんは、「あまり未来のことを考えるのは得意ではないのですけど、でも、楽しく生きていけたらいいなと思います」と笑顔を見せる。現在25歳の成田さんも、「僕も健康に生きていたいです」とうなずき、10年後は「映画(を取り巻く環境)もそうですけど、世の中すべてが変わっていると思うんです。その中でも、いろんな経験を忘れないで、健康でいられたらいいですね」と語った。

 さて、映画では、テルコのマモルへの思いは日ごとに募り、愛というより、もはや執着になっていく。映画ラストのテルコのせりふは、それを如実に感じさせ腰が引けた。その指摘に、「最後のせりふが入ってくると、やっぱりホラーになりますね(笑い)」と成田さん。そして、「ざっくりホラーだよね」と岸井さんの方を向くと、岸井さんも「うん、ざっくりラブホラー(笑い)」とうなずいていた。

 (取材・文・撮影/りんたいこ)

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