人気マンガを実写化した連続ドラマ「賭ケグルイ」(MBS・TBS系)シリーズの劇場版「映画 賭ケグルイ」(英勉=はなぶさ・つとむ=監督、3日公開)に出演している宮沢氷魚さん。劇場版のオリジナルキャラクターであり、学園内で“非ギャンブル、生徒会への不服従”を掲げる白装束集団「ヴィレッジ」のカリスマ的なリーダー、村雨天音を演じ、存在感を発揮している。村雨を「人間らしさが間違いなくある、見ている人に寄り添えるキャラクター」と表現し、「フィクションの世界ですけど、リアルに演じてみようと思った。『賭ケグルイ』っぽくということはせずに自然体で演じた」という宮沢さん。演じる上でのこだわりや、俳優としての目標について語ってもらった。
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「賭ケグルイ」は、マンガ誌「月刊ガンガンJOKER」(スクウェア・エニックス)で2014年3月から連載中の河本ほむらさん作、尚村透さん画のマンガ。勉強や運動ではなく駆け引き、読心術、勝負強さなどギャンブルの強さがすべてを決める私立百花王学園を舞台に、謎多き転校生・蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)の登場で学園の階級制度に異変が起こる……というストーリー。浜辺美波さん主演でテレビドラマ化され、劇場版では、生徒会長・桃喰綺羅莉(ももばみ・きらり、池田エライザさん)と二年華組・蛇喰夢子(浜辺さん)との勝負に期待が高まる中、学園内では“非ギャンブル、生徒会への不服従”を掲げる白装束集団「ヴィレッジ」が台頭し、生徒会との対立が深まる。ヴィレッジ解体と夢子潰しをたくらむ生徒会は、全校生徒をタッグで強制参加させる「生徒代表指名選挙」の開催を宣言する……。
同作が映画初出演という宮沢さん。「僕はずっと映画に出たくて、その熱がピークの時に今回のお話をいただいた」といい、「『よっしゃ来たー!』とテンション爆上がりでした」と振り返る。出演オファーが来る前から「賭ケグルイ」のドラマ版を見ていたといい、「めっちゃ面白いなと思っていて、これが映画化するのはとてつもないこと」と感じたという。そうした興奮と喜びがありながらも、原作には登場しないオリジナルキャラクターを演じることに悩んだ時期もあったと明かす。
「オリジナルだからこそ、『どんなキャラクターに作り上げていこう』と悩みました。ただ、原作があれば、そこにいろいろヒントが転がっている一方で、原作のプレッシャーが強くのしかかってくる。逆に何もないところから始まったからこそ、自由にできたというか、やりたいようにできた気がします」
宮沢さんが演じる村雨は、カリスマ的なリーダーであり、生徒会長にギャンブルで勝利したこともある“ラスボス”ともいえるキャラクターだ。宮沢さんは「せりふが多いキャラクターではないが、登場するシーンのほとんどが重要」と説明し、他のキャストが顔芸ともいえる激しい演技を見せる中で、「そっちに寄せるのか、リアルに演じるのか、すごく悩んだ」という。そんな宮沢さんに英監督は「とにかくカッコイイ村雨を演じてくれ」と話した。
宮沢さんは「『なるほど、それならできるぞ』と思った」と笑顔を見せ、男性ファッション誌「MEN ’S NON-NO(メンズノンノ)」(集英社)のモデルとしても活躍していることから「普段からかっこいい寄りの男性のファッションをやっているので、そこからうまく持ってきて村雨に当てはめようかと思った」と話す。
さらに、キャラクターを作り上げる上で村雨の“人間らしさ”にも注目した。「村雨は、設定的には見ている人から一番遠い存在というか、カリスマでリーダーで、ギャンブルも最強で、完璧に近いように見えるのですが、ひもといていくと実はそうではなくて。大人数のヴィレッジのメンバーを引っ張っていかなくてはいけないというプレッシャーや責任感がすごくのしかかっている。だから、そういう人間らしさが村雨には間違いなくある。見ている人に寄り添える役なんじゃないかと思いました。『賭ケグルイ』はフィクションの世界ですけど、リアルに演じてみよう。『賭ケグルイ』っぽくということはせずに自然体で演じた」と語った。
村雨は口数が少ないキャラクターで、特にギャンブルのシーンではほぼせりふがないという。そんな中でも、村雨の置かれている状況は刻一刻と変化していき「村雨の中ではふつふつと込み上げてくるものがあって、せりふではそれが表現できないので、目線であったり口角であったり、姿勢であったり、些細(ささい)なことをすごく意識した。せりふがないお芝居はこんなに疲れるんだと、こんなに意識しなきゃならないんだという発見にもなったので、やっていて楽しかった」と手応えを語る。
また、「キャストみんなから刺激を受けた」といい、中でも村雨を支えるヴィレッジの幹部・歩火樹絵里(あるきび・じゅえり)を演じる福原遥さん、鈴井涼太役の高杉真宙さんは「特にすごかった」と話す。福原さんについては「歩火樹はすごく感情の変化が激しい。それにちゃんと福原さんは応えてらして。劇中では僕が一番長く時間を共にしていたので、見ていてすごくビックリした」と振り返る。
高杉さんは、撮影の合間に他のキャストが談笑をしている中、急に姿を消す場面があったといい、「どこに行ったんだろうと思って、外に行ったら、真宙君が一人でせりふの練習をしたり、顔の運動をしたりしていて、プロだなと感じた」と話す。さらに「真宙君の素朴な感じというか、本当にいい人なんですよね。いると場が和む」と宮沢さん。「絶対また共演したいなと思える俳優の一人。僕は、絶対また真宙君と一緒にやりたい」と笑顔で語った。
17年に連続ドラマ「コウノドリ」(TBS系)で俳優デビューし、「トドメの接吻(キス)」(日本テレビ系)、「僕の初恋をキミに捧ぐ」(テレビ朝日系)と話題作に出演。今年7月放送の連続ドラマ「偽装不倫」(日本テレビ系)では女優の杏さん演じる主人公の相手役に抜てきされるなど、俳優として活躍する宮沢さんに今後について聞くと、「とにかくいろいろな役に挑戦したい」と話す。
「まだ自分がどういう役者なのか、自分でもよく分かっていないんです。どういう路線なのか、カメレオン俳優なのかそうじゃないのか、どういうフィールドでやっていくのか、まだいま一つつかめていないので、そこをつかみにいきたい。自分ではっきりしたいと思っています。そのためにも今のうちにいろんな役をやって、自分がどういう役者になっていきたいのかを見つけていければなという。そういう状態ですね」
そんな宮沢さんが今一番挑戦したい役どころは「サイコパス」だという。「普段の生活でサイコパス要素を出してしまうと問題がありますし、下手すると逮捕される可能性もあるので……(笑い)。でも、みんなどこかにサイコパス要素があると思うので、そこを作品の中で出してみたい」と力を込めた。
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