ライアン・レイノルズ:実写版ポケモンへの思い語る ピカチュウはデッドプールと共通している?

米映画「名探偵ピカチュウ」で名探偵ピカチュウの声を演じるライアン・レイノルズさん
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米映画「名探偵ピカチュウ」で名探偵ピカチュウの声を演じるライアン・レイノルズさん

 「デッドプール」などで知られるライアン・レイノルズさんが名探偵ピカチュウの声を演じる米映画「名探偵ピカチュウ」(ロブ・レターマン監督)が5月3日から、日本で先行公開されている。映画はゲームやアニメ、映画などさまざまなコンテンツで人気を集めている「ポケットモンスター」シリーズのニンテンドー3DS向けゲーム「名探偵ピカチュウ」をベースにした、「ポケモン」では初の実写映画だ。レイノルズさん演じるピカチュウは“見た目は可愛いけれど、中身はおっさん”で、おしゃべりで生意気だがどこか憎めないキャラクターだ。レイノルズさんに「ポケモン」への思いや映画の撮影エピソードなどを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇“よくしゃべる”キャラは「デッドプール」と共通?

 映画は「パシフィック・リム」「ダーク・ナイト」シリーズのレジェンダリー・ピクチャーズが製作。俳優の渡辺謙さんがヨシダ警部補役で出演しており、日本語吹き替え版では竹内涼真さんが主人公ティム(ジャスティス・スミスさん)、飯豊まりえさんがヒロインのルーシー(キャスリン・ニュートンさん)の声を担当する。少年のころポケモンが大好きだったティムは疎遠になっていた父・ハリーが事故で亡くなったという連絡を受け、人間とポケモンが共存するライムシティへと向かう。父の部屋に入ったティムは、そこで人間の言葉を話す名探偵ピカチュウと出会い……というストーリー。

 世界中で大人気のピカチュウの声を演じるレイノルズさん。「ポケモン」にはどのような思いを抱いていたのだろうか。「世界的に有名なので知ってはいましたが、(ゲームが)出た当時は高校を卒業したころなのでどっぷりはまることはなかったんです」と振り返りつつ、「でもこの作品に出ることになり、いろいろ学びました。周囲にゲームにはまっている人も大勢いたので、情報をインプットできました」と明かす。中でも、主人公ティムを演じるスミスさんは「すべてのポケモンの名前を挙げられるんじゃないかというぐらい好き」だそうで「影響を受けて、だいぶ詳しくなりました」とほほ笑む。

 オファーを受けて真っ先に頭に浮かんだのは、「なぜ?」という言葉だったという。「僕が演じていいのか、他の適切な人の仕事を奪っているんじゃないか、と思いました」と戸惑った。ただ、「脚本を読んで、ストーリーがすごく気に入ったんです。愛情、喪失、希望、家族……そうした側面を描いていることに引かれて『やってみよう』と決めました」と参加の決め手を明かす。製作サイドから送られてきた、CGのピカチュウにレイノルズさんの声をあてた映像を見たことも決め手になった。「(レイノルズさんが演じた)『デッドプール』のせりふを1、2本入れたものを送ってくれたんです。(外見は)可愛いのにいら立った落ち着きのない声というミスマッチに引かれて『これはうまくいくかもしれない』と思い、心を決めました」と語る。

 今作では声の出演のため、撮影現場に通っていたわけではないが、「開始後3日ぐらいまでは、現場に行っていました」という。「初めはジャスティスの横に小さなピカチュウを置いて、自分が遠くからせりふを言っていたんです。そうやって2人の呼吸が合うようにして、撮影を進めました。3日目以降は、自分なしで撮影が進んでいきました」と説明する。

 そういった特殊な撮影だったため、苦労したのは「孤独なこと」だった。「現場に出て演じることができないので、すごく孤独に感じました。子供のころに戻って自分の想像力を働かせて演じるしかなかったのですが……。でも、同時に開放感もあって。なんでもありなんですよ。なんでもせりふを言えるし、好きな動作もできる」とレイノルズさん。アドリブも数多く披露しているといい、「もちろん脚本に基づいていますけど、(脚本とアドリブを)行ったり来たりしていました」と笑う。なお、今回は同じ現場での共演はかなわなかったが、ヨシダ警部補役を演じた渡辺さんについては「大ファン」といい、「演技自体が素晴らしく、存在感のある役者。大スターだと思います」と絶賛する。

 ◇モーションキャプチャーを初経験

 劇中では、眉間にしわを寄せたり、口角を上げたり……とピカチュウが多彩な表情を見せる。ピカチュウの細かい表情を作るため、今回、レイノルズさんは初めてモーションキャプチャーを経験したという。「これほどどっぷりやったのは初めて。顔の細かい表情まで捉えてピカチュウに反映させているので、動きや声をつけたピカチュウが出来上がってきたとき、自分の魂がピカチュウの中に入ったような気がして、変な気分になったんです」と心境を明かし、「もちろん今は見慣れて、親近感も湧いているんですが……」と笑う。

 また、見た目は可愛いがおしゃべりで生意気……という、ピカチュウの外見と内面のギャップも今作の大きな魅力だ。汚い言葉こそ吐かないものの、おしゃべりでユーモアにあふれ……といえば、レイノルズさんが演じた「デッドプール」を思い出してしまう。そう伝えると、「面白く演じるために汚い言葉を使う必要はないと思っています」といいつつ、「ただ、『デッドプール2』を撮影した直後にこの役に備えて収録もしたので、準備期間があまりなかったんです。(デッドプールより)ちょっと言葉をきれいにするぐらいでした(笑い)」と楽しそうな表情で語る。「似ているけれども、やっぱり違うところもある。共通点はよくしゃべることですよね、ひたすらしゃべる。僕はそういう役を得意としているので、楽しめました」と語る。

 ◇リアルなポケモンに衝撃を受けた 

 今作は、“父と子”の関係が大きなテーマだ。同様のテーマの映画には、ケビン・コスナーさんが主演した名作「フィールド・オブ・ドリームス」がある。レイノルズさんは、「父と子の関係は、誰にとっても複雑なもの。『フィールド・オブ・ドリームス』はそれを描いていて、今作もある程度、そういった作品の影響を受けていると思うんです。僕自身、父との関係がうまくいかないときもあったので、『フィールド・オブ・ドリームス』や今作のような作品を見ると、号泣してしまう。世界中のどんな人が見ても感じ取れるメッセージだと思います」と語る。

 完成作については、「とにかく驚きましたね」と見た衝撃を伝えるレイノルズさん。「『アバター』(2009年)を3Dで見たときのような衝撃、感動を受けました。その世界に入り込んで触れるような……。ここまでポケモンが綿密に描かれているとは思わなかったので、リアルなポケモンを見て本当に驚きました。ポケモンの世界をこれまで愛してきた人々にとって、息が吹き込まれたピカチュウを見ることは、夢がかなう瞬間だと思うんです。僕もファンの気持ちになって見ることができました」と仕上がりに自信を見せる。

 家族の反応は、映画の公開については、子供たちも興奮していたという。ただ、家族にはまだピカチュウ役で出演することを明かしておらず、「まだピカチュウの声がお父さんの声だとは気づいていないようです。『お父さんに声が似ている』とは言っているんですが」とにやり。「だから公開日に家族全員で見に行って、『実はお父さんなんだよ』と明かしたいと思います」と家族への“ドッキリ”を仕掛ける計画を楽しそうに話していた。

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