きのう何食べた?:醍醐味は「明日作れる」 「孤独のグルメ」から受け継がれる“飯テロドラマ”の系譜

連続ドラマ「きのう何食べた?」第10話の場面写真 (C)「きのう何食べた?」製作委員会
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連続ドラマ「きのう何食べた?」第10話の場面写真 (C)「きのう何食べた?」製作委員会

 俳優の西島秀俊さんと内野聖陽さんのダブル主演の連続ドラマ「きのう何食べた?」(テレビ東京系)。「神がかっている」と評判のキャスティング、原作の再現度の高さも人気だが、ファンが楽しみにしているのは、劇中に登場するおいしそうな“飯テロ”料理の数々だ。同作を手がける松本拓プロデューサーに、ドラマのもう一つの主役、料理について聞いた。

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 ドラマはマンガ誌「モーニング」(講談社)で連載中のよしながふみさんの同名人気マンガが原作。西島さん演じる料理上手できちょうめん、倹約家の弁護士・筧史朗(通称シロさん)と、内野さん演じるシロさんの恋人・人当たりのいい美容師の矢吹賢二(通称ケンジ)という男性カップルの2人暮らしが、食卓を通して描かれる。

 テレビ東京といえば、同局で連続ドラマとしてシーズン7まで放送された「孤独のグルメ」(2012~18年)、その後も「忘却のサチコ」(2018年)と、登場人物の食べる姿がおいしそうで、深夜なのに食欲が止まらなくなる“飯テロ”を起こすドラマを作り続けている。同ドラマも、劇中に登場するカップアイスや袋ラーメン、シロさんの生活感あふれる料理が反響を呼び、SNSでは毎話で「これからコンビニに…!」「おいしいとかわいいがいっぱい」「こんな深夜に、飯テロやめてくれぇぇ~」「思わず食べちゃったよ…」と悲鳴が飛んだ。

 「きのう何食べた?」は、すぐに同じものを買えたり、シロさんの調理をまねして作ったりできる点が、これまでの飯テロドラマとひと味違う。松本プロデューサーは「孤独のグルメ」など、これまでの飯テロドラマを「ジャンキー系というか、どっちかというと『男飯』ですよね。今回は家庭料理というか、お母さんが家で作るご飯みたいなイメージなんですよ」と違いを説明する。

 「お店で作ったおいしいものを食べるというスタイルではなく、今回は、家で作れる料理がどうやったらおいしくなるのかというところにこだわった」といい、それが描かれた原作を再現し、さらに「実際に食べておいしい」という映像作りになっている。「『何食べ』見て、明日これ作ってみよう、となる。料理番組的な要素も入っているので、実際に作れるのが醍醐味(だいごみ)です」と、ドラマの魅力を語った。SNSでは、ドラマ後に同じレシピに挑戦した料理の写真や、実際にドラマと同じ商品を買いに行ったという声も数多く上がっている。

 劇中に登場するメニューは「現場ではフードコーディネーターさんが作っています」というが、余りものをうまく無駄なく使ったり、どこでも手に入れられそうな、身近な調味料が登場するシロさんのリアルな調理風景、それに「尊い」と称された西島さんのエプロン姿も、ドラマ内の料理シーンの魅力だ。

 中でも、撮影現場で人気となったメニューを聞くと「(第4話登場の)ラザニアと(第5話でケンジが作る)みそラーメンが圧倒的に現場で好評でした」と明かす。特にみそラーメンについては、SNSでも「シロさんには申し訳ないけど今までで一番の“飯テロ”をくらっている……」「バターを投入するなんてなんという悪事を」「みそラーメン、買いに行ったら、売り切れなんですけど!!!」と、大きな反響があった。

 6月14日放送予定の第10話では、ケンジの周辺で店長の三宅祐(マキタスポーツさん)の浮気話や、愛人がいた自身の父親の思い出を振り返る機会があり、シロさんが浮気をするのではと不安に駆られる姿が描かれる。そんな展開の中で、松本プロデューサーがもう一つ、「おいしそうなので、ぜひ、見ていただければ」と、太鼓判を押すメニュー、シロさんが焼くクレープが登場する。今度は一体どんな味付けをしてくれるのか……。「きのう何食べた?」は毎週金曜深夜0時12分に放送。

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