注目映画紹介:「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」“伝説の名作”かつ“問題作”を正統進化 色あせぬ骨太のテーマ

映画「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」の場面写真 (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト
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映画「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」の場面写真 (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト

 大ヒットゲームが原作の劇場版アニメシリーズ「劇場版ポケットモンスター」の第22作「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」(湯山邦彦監督、榊原幹典監督)が12日に公開された。歴史的な大ヒットを記録した伝説の第1作「ミュウツーの逆襲」をフル3DCGでよみがえらせた話題作だ。

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 現在まで毎年夏に公開されている「劇場版ポケットモンスター」の第1作となった1998年公開の「ミュウツーの逆襲」。幻のポケモン「ミュウ」の化石から、人間の手によって生み出されたポケモン「ミュウツー」。自身のありように苦悩していた「ミュウツー」は、不幸な巡り合わせから生みの親でもある人間への逆襲を決める。一方、サトシとピカチュウたちは、優秀なトレーナーとして謎の女性からポケモン城に招待される……。

 シビアな展開でも知られる「魔法のプリンセス ミンキーモモ」などを手がけた故・首藤剛志さんの脚本による、決してハッピーとは言えないミュウとミュウツー、そして人間との関係性、同種での生存競争という「いきもの」としての業にも触れた展開は、ファミリー向けの作品としてはヘビーなテーマで、当時も強烈なインパクトを与えた。しかし、同年の年間興行収入ランキング1位を獲得する大ヒットを記録。世界各国でも公開され、全米では日本映画興行収入歴代1位の記録をいまだに保持している。

 さて、そんな伝説の名作をフルリメークした今回の「EVOLUTION」。「ミュウツーの逆襲」でミュウツーの声を務めた市村正親さん、テーマソング「風といっしょに」を歌った小林幸子さん、ミュウの声の山寺宏一さんも続投。さらに今回の「風といっしょに」は、これまでポケモン映画のゲスト声優を務めてきた中川翔子さんとのコラボ曲になっている。

 恒例の入場者特典は、「ポケモンカードゲーム」のスペシャルプロモカード「アーマードミュウツー」とアーケードゲーム「ポケモンガオーレ」のスペシャルガオーレディスク「ミュウツー」。全国300万人限定となる。

 「ポケモン」をはじめ、ゲーム原作のアニメには、ゲームではそれぞれ単発のイベントの“行間”を描写することで、より物語や世界観のクオリティーを高める作用がある。それが今回の3DCG化によって、より詳細に描写され、さらに物語に入り込めるようになった。終盤のクライマックスも、ポケモンたちの「いきもの」としての悲哀がよりいっそう感じられたような印象を受けた。もちろん好みはあるだろうが、数日前に見た「ミュウツーの逆襲」は、テーマこそ色あせないものの、映像としての古さも感じてしまったのも正直な気持ちだ。令和の現代にリメークするとしたら、やはり3DCGが良かったということだろう。

 不朽の名作であると同時に、強烈な問題提起でそれ以降のポケモン映画とは一線を画した骨太の“問題作”だったともいえる「ミュウツーの逆襲」。あえてその強いテーマ性をそのままに最新技術で正当に進化(EVOLUTION)させ、復活させた英断を高く評価したいし、幅広い年齢層に見てほしい作品だ。(立山夏行/MANTAN)

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