文豪・太宰治の未完の遺作「グッド・バイ」を劇作家のケラリーノ・サンドロヴィッチさんが戯曲化した「グッドバイ」が原作の映画「グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~」が2020年2月14日に公開されることになり、俳優の大泉洋さん、女優の小池栄子さんがダブル主演を務めることが9月8日、明らかになった。特報、ティザービジュアルも公開された。
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原作の「グッドバイ」は、太宰の「グッド・バイ」を喜劇として描いた舞台。何人もの愛人を抱えるダメ男・田島周二は、愛人たちと別れるため金にがめつい担ぎ屋・永井キヌ子に女房を演じてくれと頼み込み……というストーリー。戦後の混乱から復興へ向かう昭和の日本を舞台に、田島とキヌ子の“嘘(にせ)夫婦”のたくらみを描く。映画では、田島を大泉さん、キヌ子を小池さんが演じる。小池さんは、舞台版でも同役を演じた。「八日目の蝉」などの成島出さんが監督を務める。
大泉さん、小池さんのほか、水川あさみさん、橋本愛さん、緒川たまきさんが、嘘夫婦が別れを告げに行く愛人役で出演。水川さんがクールな女医・大櫛加代、橋本さんが挿絵画家の水原ケイ子、緒川さんがはかなげな花屋の青木保子をそれぞれ演じる。また、木村多江さんが田島の離れて暮らす妻・静江役、濱田岳さんが田島を尊敬する編集部員・清川伸彦役、松重豊さんが嘘夫婦の計画を提案する作家・漆山連行役で出演。そのほか、皆川猿時さん、田中要次さん、池谷のぶえさん、犬山イヌコさん、水澤紳吾さん、戸田恵子さんも出演する。
キャスト、成島監督のコメントは以下の通り。
脚本が面白くて読んでいる途中でマネジャーに「面白い! ドキドキする! こういう作品に出たかった!」とメールをしたのを覚えています。今回、(撮影に入る前に)成島さんがご病気なさったということもあり、撮影時に、<笑う>ということがいかに大事かと改めて感じたと話してくださいまして、そのため<笑い>というものをとても重視した映画になっていると思います。コメディーもお上手なんだな、と改めて思いました。とにかく成島さんの演出が面白く、いつも笑っていました。
小池さんのことは、はたから見ていても「この人、すごいな」と思っていて、まさか自分がこんなにしっかりとお仕事できると思っていなかったのでうれしかったです。小池さんは、今回のキヌ子もそうですが、<いっちゃってる役>を演じているのがいいですよね。今回の作品では彼女の美しさを存分に成島さんが引き出していて、改めてきれいな人だなーと思いました。撮影以外でも延々と漫才のようなやりとりをしていたから、共演していて楽しかったです。
僕が演じた田島という男が、どんどん愛人を作ってしまい、彼女たちとお別れしていくというお話で、どうやって女性と“グッドバイ”していくのか、その度に田島がどうなってしまうのか、というところを楽しんでもらえたらと思います。
成島さんが私が出演した舞台「グッドバイ」をとても気に入ってくれていたのですが、“本当に映画化してくれるんだ”と驚き、そんな監督の熱意がうれしく、ホントに頭が下がる思いでした。また、成島さんがコメディーを撮るというのも新鮮だなとワクワクしました。
(5作目となる成島組は)とても穏やかで明るい現場でした。本読み・リハーサルといつものように丁寧に作ってくださり、初日からスムーズで、とにかく信頼している監督ですので、いつも通り行くぞ!という気持ちでした。
(大泉さんとの共演は)毎日楽しかったです。母性本能をくすぐられる魅力的なダメーな田島でしたが、役者さんとしては何でも受け止めてくださるので、安心しきってました。チャーミングな人がたくさん出てくる、チャーミングな作品を大いに楽しんでください。
ケラさんの書いた「グッドバイ」の脚本を元に作ったということで、人物像のユニークな部分がより浮き立っていて思わず噴き出してしまうようなやりとりとフィクションで描かれている部分のバランスが何とも心地よく、心奪われました。人物像の面白さや、掛け合いの面白さ、たくさんの女が翻弄(ほんろう)された姿を面白おかしく見ていただければうれしいです。
戦後の混沌(こんとん)とした時代が背景にありながらも、愉快で軽妙な物語に引かれました。読み進めていくうちに希望にあふれたテーマを発見し、心が震えたのを覚えています。キヌ子さんの存在に、私は大きな人生賛歌を感じました。生きるだけの魅力がこの世界にはあるはずだと、一人でも思ってもらえたらうれしいです。
「おとなしく控えめな性格の戦争未亡人が、やがて楽天的に人生をおうかする明るい女性へと変わっていく」というのが舞台版の保子でしたが、映画版ではそこに、「アンバランスな情熱を内に秘めた官能的な要素」が加味されています。男性からすれば、「現実にはちょっと危険すぎて関わらないほうがいい」タイプの女性かもしれません。「グッドバイ」は、保子も含めて登場人物全員があふれんばかりのエネルギーを内に秘めて織りなすラブ・コメディー、そして、たくましくもまぶしい人間賛歌に満ちあふれた映画だと思います。
舞台を拝見していたので内容は知っていましたが、舞台とはまた違って可愛らしい脚本でした。どう妻を演じられるか、台本からは想像できず心配になりましたが、(成島監督は)ご一緒したい監督でしたので、とてもうれしかったです。リハーサルや撮影中、私も好きな監督の視点に、何とか近づきたいと久々に悩みました。おとぼけな登場人物たちと、日本映画を回顧するようなひとときを、楽しんでいただきたいです。
この、太宰の世界観。この脚本ならではのコミカルな空気。そして、これをあの成島出監督がお撮りになるのかと思って読むだけで、楽しく、おかしく、ワクワクしたのを覚えています。さらに、このキャストの中に参加できると再確認した時、不安と緊張が湧き上がりました。今ではこんなすてきな映画に参加できたことを幸せに思っております。そんな作品をお客様にも楽しんでいただけたら幸いです。
太宰作品もKERAさんが料理することで、こんなにも生き生きとした現代喜劇に仕上がるのだと感心しました。大泉君(演じる田島と)と小池さん(演じるキヌ子)の関係は、過去の文豪の作品にありがちな、今に置き換えると極めてブッ飛んだ関係性です。そこをどう演じられたか、僕が観客として最も楽しみにしているところです。
「ラブコメがやりたかったのだ」というケラさんの言葉が真っすぐに響きました。大人が楽しめる洒脱(しゃだつ)なコメディーを見たい。その欲望に忠実に映画を作りました。私も「ロマンチックな恋愛狂騒劇」=スクリューボールコメディーってやつを昔からやりたかったのです。主役はこの2人(大泉洋さん・小池栄子さん)しかない、と最初から思っていました。今は「喜劇役者」という言葉が死語になってしまいましたが、この2人はまさに「喜劇役者」ですから。シチュエーションコメディーではなくヒューマンコメディーを撮りたいと思いました。やっぱり人間が一番面白いから。登場人物の過ちと欲望によってすべてのドタバタが起きていきます。だからみんなが憎めなく、どこかいとおしい。そこを楽しんでいただければ、と思います。
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