アイドルグループ「アンジュルム」を2016年に卒業し、現在は歌手、ミュージカル女優として活動する田村芽実(めいみ)さんが8月21日に3枚目のシングル「舞台」を発売する。グループ卒業当時の心境や、「どちらもしっかりやっていきたい」という歌とミュージカルへの思い、ニューシングルなどについて聞いた。
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田村さんは1998年10月30日生まれの20歳。12歳でアイドルグループ「スマイレージ(現:アンジュルム)」の2期メンバーとしてデビューし、2016年に卒業した。
アイドルとして「十分やり切った」と当時を振り返った田村さん。4年半の活動を経て卒業を決めたときの思いを「年齢を重ねて、歌やミュージカルで自分がやりたいことができるように、もっと努力をしないといけないと思ったんです。歌や表現で食べていきたいって思ったときに、自分の今の技量では難しいなと思いました。私にはもっと基礎が必要だと思いました」と厳しく自己評価していたと振り返る。
卒業後は声楽やさまざまなジャンルのダンスレッスンを受けたものの、先々の活動が白紙だったことで不安な気持ちもあったという。「声の出し方を変えたり、バレエで基礎の部分を習ったりしました。卒業後の1年間は、毎日レッスンだけをしていました。(活動予定が白紙だったので)何のためにレッスンをしてるんだろう、どうしたらレッスンだけの毎日から抜けだせるんだろうと思っていました」と明かしつつ、今でも「これからずっと歌っていくためにはもっと自分を鍛えなきゃいけない」と気を引き締めている。
「ミュージカルは数学的で、歌は文系」と表現する田村さん。「ミュージカルだけをやっていたら、コンピューターみたいな人間になってしまうかな。歌は、たくさんの方の深いところまで伝わるかを考えています。どちらもしっかりやっていきたい」と歌手とミュージカル女優を長く続けることを目標にしている。
今年4月から自身のYouTubeチャンネル「田村芽実COVERS」でカバー曲を発表。田村さんが好きな曲を選んで歌う企画で「渚のシンドバッド」「お祭りマンボ」「喝采」などが並ぶ。昭和歌謡には、歌が好きだった母親の影響で興味を持ったといい、中でも中学時代に聴いた山口百恵さんに強く引かれた。
「憂いのある大人の女性が歌う可愛らしい曲を聴いて、なんともいえない気持ちになって、同性なんだけど恋をしてしまったような気になりました」と当時の思いを明かし、「一番の後悔は百恵さんをテレビでリアルタイムで見られない時代に生まれたこと。(もしその時代に生まれていても)コンサートなんて恐れ多くて、テレビで見られるだけで十分です。百恵さんは神さまです」と話が止まらなくなるほどの熱い思いを語った。
ミュージカル女優にあこがれたのも母親の影響が大きかったという。「幼稚園の頃からあこがれていたのは母に教えてもらった(本田)美奈子さん。ずっと美奈子さんみたいになりたいと思っていました」と強い思いを抱いており、2017年に主演した舞台「minako-太陽になった歌姫-」では本田美奈子.役を射止めた。「いつか、この役はこの人にしかできないという唯一無二のミュージカル女優になりたい」と思い描いている。
3枚目のシングルの表題曲「舞台」は田村さんが「歌詞の世界観にいつものみ込まれています」と話すシンガー・ソングライター、吉澤嘉代子さんによる書き下ろし作品。曲作りにあたって、吉澤さんと時間をかけて話をし、「言葉の細かい言い回しも気にしてくださった。歌詞や世界観が普段の自分の近いところにあって、家で初めて聴いて歌ったときから『私のために作ってくださった、自分の歌だな』と実感しました。これから大事に歌っていきたい曲の一つになりました」と語る。
カップリング曲の「花のささやき」は、故・阿久悠さんの未発表の詞に、阿久さんの息子、深田太郎さんが作曲した。阿久さん作詞、深田さん作曲の楽曲は、ミニアルバム「Sprout」に収録されている「カガミよカガミ」に続く2曲目。「これから年齢を重ねて1年、2年、3年後に、この歌を歌えるか分からない。できるだけ年齢が若いうちに歌いたい」と強い気持ちで楽曲に向き合っている。またフランスの歌手エディット・ピアフの名曲「愛の賛歌」のカバーにも挑戦。ボーナストラックとして通常版に収録される。
20歳を迎えて「自分の視野や世界が広がった気がする」と話す田村さん。一方で「20歳になっちゃったという感覚もあって、10代のうちにもっと頑張って勉強もしておけばよかった」とはにかむ。「お酒は弱くて……。飲むといろんな妄想をしちゃって友達にめんどくさがられてしまいます」と可愛らしい笑顔を見せていた。
(取材・文・撮影/水野由美子)