名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
人気アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス 3」のシリーズ構成・脚本を手掛ける冲方丁(うぶかた・とう)さん、脚本担当の深見真さん、吉上亮さんの公式インタビューが11月8日、公開された。冲方さんは、「『PSYCHO-PASS サイコパス』の現場にいると、『クリエーターってみんな頭がおかしいんだな』と思いますね(笑い)」と話し、「もちろんほめ言葉なんですが、第1期を手掛けた虚淵(玄)さんも、深見さんも、吉上さんも、みんなどこか普通じゃない。だから、楽しいものができる」と語っている。脚本作りの舞台裏なども明かされている。
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――「PSYCHO-PASS サイコパス 3」の脚本は作家3人の共作ということになりますが、どのように脚本作りは進められたのですか。
冲方さん プロデュースサイドや塩谷(直義)監督から、今回のキャラクターを全部新規にして、時間軸をどこ(劇中の時間は第2期から6年後の2120年)にする、といった具体的な注文がありました。それを受けてシリーズ構成を組み上げて、お二人(深見さん、吉上さん)に脚本を書いていただいたという形です。
深見さん 冲方さんと塩谷監督のコンビネーションがよくて。まず、二人の中で出来上がっている感じがありました。冲方さんが組み上げられたシリーズ構成がすごく緻密で、こんな緻密な構成は見たことがない! というレベルのものだったんです。そこで僕が最初にやった仕事は「そのシリーズ構成から柱(エピソードのテーマ)を立てて、ハコ書き(シーンの具体的な要素をまとめる)にしてください」というものでした。
冲方さん 深見さんはさすがだな、と思ったのは、僕が投げた球を曲げて返してくるんですよ(笑い)。シリーズ構成にはいないキャラが、足されて返ってくる。例えば、小畑ちゃん(ファースト・インスペクター梓澤廣一の協力者である小畑千夜)は深見さんだから生まれたキャラクターです。深見さんの変化球が面白いから、こちらも更に曲げて返す。
深見さん 僕らのシナリオ作業を見て、もっと面白くしてやろうと冲方さんが後半のシリーズ構成を更に書き換えるんです。
冲方さん ここぞとばかりに二人が変化球を投げてくるので。いいリズムで脚本作業ができたと思います。時間はかかったけれど。
深見さん 冲方さんがお作りになったシリーズ構成やプロットを読んだ時はびっくりしたんです。どこを切っても新しい「PSYCHO-PASS サイコパス」なんです。ビフロストの登場、インスペクターたちの設定。全員がちょっとずつ事件に加担していて、誰も犯罪者と自覚していない仕掛け……。面白いものになっていると思います。
――吉上さんは「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1 罪と罰」で脚本に初参加、そして今回テレビシリーズの脚本に初参加です。
吉上さん 僕は中盤の話数を担当していたのですが、プロットの段階でみんながどんどんアイデアや要素を盛り込んでいくので、脚本がものすごい文字数になってしまって。
冲方さん それは吉上さんのクセだよね。何を書いても、すごいボリュームに仕上げちゃう。
深見さん 吉上さんの脚本は、どちらかと言うと小説なんですよ。
冲方さん わかる! 僕もアニメの脚本を書き始めた頃はそうだった。
吉上さん 冲方さんに脚本の修正を細部の細部まで入れていただき、すごく鍛えられました。
――主人公の慎導灼、炯・ミハイル・イグナトフは、どういったキャラクターですか。キャラクターの特徴や魅力を教えてください。
冲方さん 最初に塩谷監督、プロデュースサイドから「キャラクター総とっかえ」という話があって、その中で「監視官はバディー二人」で考えてきてほしいと依頼されて。「監視官のバディーもの」で「片方が入国者で、二人は幼なじみ」「身長差がある」というのも最初から決まっていたと思います。そこから僕が心理担当と戦闘担当のコンビはどうだろうと考えて、メンタリスト(心理分析者)と軍事経験者のバディーを提案しました。
深見さん 最初にホン読み(脚本打ち合わせ)に参加したら、いきなり冲方さんから「深見さんの書いた慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフを見たいから、第1話を書いてみてください」と言われたんですよ(笑い)。灼は一見、ふにゃっとしているけど頭がいい。へらへらしているけど正解をすぐに見付けて、そこへ走っていく。最初は苦労しましたね。
冲方さん 下手をするとイヤみなヤツになっちゃうんです。
深見さん 最初は「イヤみな奴に見えてもいい」と冲方さんもおっしゃってましたよ。
冲方さん 知らず知らずのうちに会話をリードして、自分の有利な方向に持っていくキャラクターですからね。
吉上さん 人たらしなんですよね。そういう意味では一番刑事っぽいかもしれない。
冲方さん 犯罪者と仲良くなってべらべらしゃべらせて、そして逮捕するっていう、いい刑事ですね。
――「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズに参加する面白さを教えてください。
深見さん 僕は元々冲方さんの小説をがっつりと読ませていただいていて。「マルドゥック」シリーズ、「シュピーゲル」シリーズ、そして時代もの……そんな方とご一緒させていただくだけでも刺激になりますよね。頭のよくない言い方になりますが「頭がいい方だなあ」と(笑い)。冲方さんと打ち合わせをすると、自分の頭もフル回転させないといけない。この打ち合わせを経た後だと、脚本の見方が変わるような刺激的な現場だったと思います。
冲方さん 「PSYCHO-PASS サイコパス」の現場にいると、「クリエーターってみんな頭がおかしいんだな」と思いますね(笑い)。もちろんほめ言葉なんですが、第1期を手掛けた虚淵(玄)さんも、深見さんも、吉上さんも、みんなどこか普通じゃない。だから、楽しいものができるんだなと思いますね。
吉上さん 僕は10代の頃から、冲方さん、深見さんの作品を愛読してきて。お二人からの影響をすごく受けているんです。自分自身にもすごく大きな成長の機会になりましたし、深見さんがおっしゃるように脚本の読み方が変わりました。日本SFエンタメの先端で活躍する作家が集まって、本当にすごいテレビアニメが作られているんだぞ、「みんな、見てくれ!」と断言できる現場でした。
「PSYCHO-PASS」は、人の心理状態などを数値化して判断できるようになった近未来の高度情報化社会を舞台に、厚生省公安局の刑事の活躍を描く近未来SFアニメ。完璧に見える社会が持つ矛盾が描かれた。テレビアニメ第1期が2012年10月~2013年3月、第2期が2014年10~12月に放送され、劇場版が2015年1月に公開。今年、新作劇場版アニメ3部作が公開された。
テレビアニメ第3期は、厚生省公安局刑事課1係が舞台のバディーもので、梶裕貴さんがメインキャラクターの慎導灼、中村悠一さんが炯・ミハイル・イグナトフをそれぞれ演じている。
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2024年12月22日 23:00時点
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