花澤香菜:学生時代は太宰治の聖地巡り 自身も恥の多い人生? 「人間失格」原案SFアニメでヒロインに

アニメ
劇場版アニメ「HUMAN LOST 人間失格」で柊美子の声優を務める花澤香菜さん

 太宰治の小説「人間失格」を原案とした劇場版アニメ「HUMAN LOST 人間失格」(木崎文智監督)が、11月29日に公開された。同作のヒロイン、柊美子の声優を務めるのが花澤香菜さんだ。名作文学を大胆に再構築したアニメだが、劇中には「人間失格」でおなじみの主人公・大庭葉藏のせりふ「恥の多い生涯を送ってきました」が登場する。花澤さん自身も「本当に恥の多い人生を送ってきたかもしれません(笑い)。『あー、こうするんじゃなかった』と思うことはいっぱいあります」と明かす。「人間失格」、太宰治への思いや、作品の魅力を聞いた。

 ◇学生時代は太宰治の聖地巡り 女性が「放っておけない」魅力

 大学時代、文学部に所属していたという花澤さんは「太宰治の『人間失格』は好きな作品の一つで、文学部の有志で太宰治の聖地巡りをしたこともあります。今回、『人間失格』に関われるというのは、すごく楽しみでした」と話す。

 「とにかく主人公がもやもやしている。その心象描写、描き方に共感できるというか。人間の暗い部分の感情、言葉で表せないものを表現してくれていると思いながら読んでいたので、それこそもやもやしている人に刺さるんじゃないかなと。私自身もたまに気持ちがいっぱいになる時があるので、そういう時には作品を頼りにしたくなりますね」

 「人間失格」などの作品を通して「太宰治自身を見てしまうところもある」という。

 「やっぱり、男の子はこういう生き方に憧れるんだろうなぁと。そういう文学青年が私の周りにいっぱいいたので。女性の目線からしても『この人がそばにいたら絶対に放っておけないな』と思うような魅力もあるし、色気もある」

 ◇柊美子は「信じる天才」 強さと女子アナ的清潔感を意識

 アニメは、「人間失格」を大胆に再構築した。舞台は、医療革命で死を克服した昭和111年の東京。薬物に溺れ怠惰な暮らしを送る大庭葉藏が、暴走集団と行動する謎の男・堀木正雄と共に、特権階級の住む環状7号線内(インサイド)への突貫に参加。激しい闘争に巻き込まれ、異形体「ロスト体」に遭遇する。「踊る大捜査線」「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズで知られる本広克行さんがスーパーバイザーを務め、冲方丁(うぶかた・とう)さんがストーリー原案、脚本を手がける。

 花澤さんは「『第一の手記』というワードが出てきたり、登場人物の名前がそのままだったり、『人間失格』の内容がくみ取られているものの、全く新しいものになっている」と説明する。

 花澤さん演じる柊美子は、「人間失格」にもタバコ屋の看板娘として登場。アニメでは、隠れた国家機関ヒラメの女隊員で、健康保障機関S.H.E.L.L.の広報官だ。劇中では、バア「メロス」店主のマダムが美子を「あなた信じる天才なのね」と表現するシーンがある。

 「そのせりふにヒントがいっぱいあるなと。美子は、本当にずっと人類にとってよりよい未来を信じて動いている。何か一つのことを信じている人や目標のある人って、すごく生き生きしていたり、強さもある。だから、そういう彼女の強い部分はちゃんと出せたらいいなと思いました」

 広報官でもある美子を演じる上で「女子アナウンサー的な清潔感と、見ていて安心するような感じの話し方を意識しました。あとは、物語が進むと葉藏に寄り添うシーンが多いので、いかに葉藏に安心してもらうか、信じてもらうかを考えながら演じていました」と振り返る。

 ◇過酷な運命を背負うキャラクター「すごく演じがいがある」

 今回演じた柊美子もそうだが、花澤さんは「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズの常守朱や、劇場版アニメ「GODZILLA」三部作のユウコ・タニら、過酷な運命に立ち向かう女性を演じることも多い。どのような気持ちで役に向き合っているのだろうか。

 「つらいシーンがあればあるほど、『こういう時にどういうふうになっちゃうのかな』と想像してしまうので、収録に行くまではすごく憂鬱ですね。でも、演じるとすっきりします。今回の美子もそうですけど、妥協しないし、ぽっきり心が折れることはなくて、割と前を向いて終われることが多いかもしれないですね」

 花澤さんは、演じることで憂鬱な思いが「消化される」といい、そうしたキャラクターを演じることに「すごく演じがいがあるし、私自身はとても楽しい」と語る。

 ◇花澤香菜の恥とは… 「妖精が見える」とうそを

 太宰治の「人間失格」、それを再構築した本作にも葉藏の象徴的なせりふ「恥の多い生涯を送ってきました」が登場する。花澤さんに「自身の人生を振り返ると?」と聞くと、「恥の多い人生を送ってきたかもしれません、本当に。『あー、こうするんじゃなかった』と、後悔することはたくさんあります」と笑顔を見せる。

 「恥はたくさんあるんです。でも、言えないこともいっぱいある。中学時代は『ガハハー!』って笑いながら友達と歩いていたら、大きいカナブンが口に入ってきて、半分食べちゃったとか。雑草の味がしましたね。(雑草を)食べたことはないですが(笑い)。あとは、小学校の頃に『妖精が見える』と言っている友達がいて、その子に合わせて、自分も妖精が見えるとうそをついていたとか。その子によると、妖精を見付けて倒すとポイントがもらえるらしいんですよ。そのポイントがほしくて、妖精がいる前提で過ごしていました。不思議なことをいっぱいしていましたね。恥ずかしいです……」

 最後にアニメの見どころを聞くと、「『人間失格』をSFで描くということに関して、どういうふうになるんだろうって思う人がたくさんいらっしゃると思うのですが、『自分の身にも起こりうるのかな』と想像しやすい日本の未来が描かれているので、あまり構えずに見ていただければと。ただ、テーマは結構どっしりとしていて、アクションもたくさんあります」と話していた。

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