テレビ質問状:「ノンフィクションW TOKYO ROCK BEGINNINGS -日本語のロックが始まる『はっぴいえんど』前夜-」堤幸彦が番組語る

はっぴいえんど(クレジット/写真:野上眞宏)
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はっぴいえんど(クレジット/写真:野上眞宏)

 WOWOWは「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組「ノンフィクションW」を放送している。12月21日午後9時からWOWOWプライムで放送される「ノンフィクションW TOKYO ROCK BEGINNINGS -日本語のロックが始まる『はっぴいえんど』前夜-」の演出を担当した堤幸彦さんに番組の魅力を聞いた。

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 ――番組の概要と魅力は?

 伝説のバンド「はっぴいえんど」誕生から50年。私と俳優の佐野史郎氏がタッグを組み、半年にわたる取材を敢行。たくさんの関係者の皆様の貴重な証言から「日本語のロック」が生まれた瞬間を解明していきます。当時の「若者」の世相が重層的に語られ「日本語のロック」が生まれたことがいかに奇跡的なことかを伝えたいのです。

 ――今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 「はっぴいえんど」は、僕にとっては神のようなグループです。代表的な楽曲「春よ来い」を聴いたから上京したほどです。

 同じような思いを持っている佐野史郎氏と、10年以上も前から何かできないかと画策していました。

 そこに君塚太氏の「TOKYO ROCK BEGINNINGS」という本と出合い、プロデューサーの山中聡氏の発案によって今回、WOWOWの番組として結実することになりました。

 ――制作中、一番に心がけたことは?

 当時の東京の最先端の若者がどこで遊んでいたのか、何を考えていたのか、そしてどんな音楽活動をしていたのか、こと細かく掘り下げることです。

 番組ではそれらの証言を、写真家の野上眞宏氏が撮影した当時の写真、「はっぴいえんど」のオフステージの写真などを交えて紹介していきます。バックに流れる音楽も、当時彼らが聴いていたものを大量に使用しています。

 ――番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 「はっぴいえんど」には映像がほとんどないのです。ですから、ライブを映像で再現することはずっとやりたいと思っていました。今回は故・大瀧詠一氏の声に一番近いアーティスト、笹倉慎介氏を中心に再現バンドを作りました。

 再現するに当たっては、ギターからアンプ、ドラム、マイク、シールド、エフェクターそしてマイクスタンドに至るまですべて当時のものでそろえました。メンバーの衣装もです。ないものは新たに作りました。

 苦労したのは大瀧詠一氏が使っていたギター、リッケンバッカーの当時のモデルが東京にはなく、新潟まで借りに行ったりしたことです。

 再現したのは2曲で、1970年4月12日の文京公会堂で初めて「はっぴいえんど」を名乗った時の音源を完全再現しています。まさに“完コピ”です。

 ――視聴者へ一言お願いします。

 日本語のロックのはじまりは、正確には「はっぴいえんど」ではないかもしれません。それ以前にもアプローチやトライアルを行ったバンドは多くいました。しかし、当時彼らが聴いていた洋楽のリズムに天才的に日本語をあてはめ、完全に独自の音楽を作り上げた。その質は「はっぴいえんど」が当時の最高峰であり、そこから日本のロック、ポップスは旧体制から脱皮して再始動した。その原点をこの番組で知ってほしいです。

 あらゆるロック好き、ポップス好きの人たちに見てほしいですね。

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