今年、芸能生活20周年を迎える田中圭さんの最新主演映画「mellow メロウ」(今泉力哉監督)が、1月17日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開される。田中さん扮(ふん)するおしゃれな生花店主と、父親から譲り受けたラーメン店の女性店主を軸にした恋愛群像劇。不器用な人たちの実らない恋模様が丁寧に描かれている。
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夏目誠一(田中さん)は、独身で彼女なし。花店「mellow」を営んでいる。常連客には中学生の宏美(志田彩良さん)、主婦の麻里子(ともさかりえさん)、近所の古いラーメン店の女性店主・木帆(岡崎紗絵さん)らがいる。
夏目は、木帆の亡父の仏壇用の花を届けに行き、ラーメンを食べながら他愛のない会話を楽しむ日々を送っていた。ある日、いつものように花を届けに行った夏目に、思いもよらぬ出来事が降りかかる……。
花に囲まれ、静かなたたずまいで、話し相手にもなってくれる。受け身だがモテる夏目役は田中さんにとってハマリ役だ。ヒロイン木帆役には、「午前0時、キスしに来てよ」(2019年)などに出演した岡崎さん。芯の強さと優しさを併せもつ女性を爽やかに演じている。
もう一人のヒロインとも言える宏美役には、今泉監督の「パンとバスと2度目のハツコイ」(2018年)などに出演した志田さん。
一軒家のような店構えのおしゃれな花店、古いラーメン店、昔ながらの美容院など、レトロな舞台設定も相まって、人の温もりを感じさせる。花を扱う仕事と丁寧に向き合う夏目の日常に、年齢の異なる複数の女性の思いが絡まっていく。大事件は起こらないが、登場人物それぞれの心の迷いや、揺れ動く気持ちが丁寧につづられ、じわりじわりと映画の世界へ引き込まれていく。
幾つもの恋模様は、時にコミカルで時に切ない。女性たちの思いを、夏目がどう受け止め、はたまた、夏目の心はどこにあるのか。花に込めたり、文字にしたためたり、思いを伝えるアクションがさまざまな形で出てきて、恋愛だけにとどまらず、人と人のつながりが優しく照らし出している。
「愛がなんだ」(2019年)「アイネクライネナハトムジーク」(2019年)など、ちょっぴり不器用で愛すべき人たちを描くことに長(た)けている今泉監督のオリジナルストーリー。田中さんとの初タッグ作となった。主題歌は、並木瑠璃さんの「花になる」。(キョーコ/フリーライター)
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