テセウスの船:“魔女化”さつき演じる麻生祐未の魅力 「キーポイントは“一人二役”」

抜群の存在感を見せる麻生祐未さん演じる木村さつき(C)TBS
1 / 3
抜群の存在感を見せる麻生祐未さん演じる木村さつき(C)TBS

 竹内涼真さん演じる主人公・田村心が、タイムスリップした過去で無差別殺人事件の謎を追う姿を描く連続ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」(TBS系、毎週日曜午後9時)。31年前の過去は心優しい女性教師だったが、現代パートでは、父・佐野文吾(鈴木亮平さん)の無実を証明しようと奮闘する心の行動を阻むべく恐るべき手段をとり続けている木村さつきを演じている麻生祐未さん。SNS上でも「魔女っぷりがすごい」などとその“怪演”ぶりが話題を読んでいる。自身も「確かに“魔女”でしたね」と話すプロデューサーの渡辺良介さんに麻生さんの起用や魅力について聞いた。

ウナギノボリ

 31年前の平成元年で事件を止めるために奮闘した心だったが、第4話で、31年前の世界から現代に帰還。ところが、文吾は変わらず犯人として死刑判決を受けており、かつては生きていた母の和子(榮倉奈々さん)と兄の慎吾(番家天嵩くん)は心中。生き残った姉の鈴(貫地谷しほりさん)は、顔と名前を変え、被害者・木村みきお(安藤政信さん)の内縁の妻となっていた。

 そんな鈴にとってしゅうとめにあたるのが、麻生さん演じるさつきだ。かつては明るい人柄で生徒からも慕われていたさつきだったが、事件を機に身寄りのないみきおを引き取り養子として育てていた。一方、部屋に監視カメラを設置し、息子の妻にあたる鈴の行動を逐一監視。「村田藍」の名前で素性を偽っていた鈴が文吾の娘であることを突き止めるのだった。

 なぜか文吾の冤罪(えんざい)を晴らそうとする動きを阻もうとするさつきは、鈴に正体を知っていることを明かして、協力するように強要する。情報提供を申し出た松尾紀子(芦名星さん)が心を自宅に呼び出すが、さつきの差し金で急きょ鈴も同席。31年前に金丸(ユースケ・サンタマリアさん)を殺害した犯人に心当たりがあると明かす紀子だったが、肝心のところで、さつきから渡された薬を飲んだ鈴が倒れて救急車で運ばれたせいで証言は中断。その後、紀子の元をさつきが訪れて自分が作った芋ようかんを勧めた後、紀子は殺害されてしまい、その傍らでさつきは病院に運ばれていった……というストーリー。

 今回の麻生さんの起用について「キーポイントは“一人二役”」と語る渡辺さん。安藤さんの義母役ということで、原作より年齢設定を上げるうえで、「麻生さんだったら、怖いんじゃないかな」と考えたという。

 NHK連続テレビ小説「半分、青い。」では、主人公が世話になる「三オバ」の一人で、野鳥マニアの藤村麦役でチャーミングな演技を見せ、「義母と娘のブルース」(TBS系)では、下山不動産の“おせっかいおばちゃん”下山和子を好演した麻生さん。渡辺さんも「素の麻生さんは平成元年のさつき先生に近い、優しくて朗らかな方ですよ」と笑顔を見せる。

 31年前は、人懐っこい印象で心にも優しく接していた麻生さん演じるさつきの変貌ぶりとギャップに、SNS上でも驚きの声が上がったが、渡辺さんも「原作でも、さつきはエキセントリックになっていますけど、よくあそこまでやっていただけているなと。ありがたいですよね。怖いですもん」と語る。

 冤罪の証拠を隠蔽(いんぺい)するために、鈴を操るだけでなく、殺人を犯し、自分の身まで犠牲にしようとするさつきの姿は、最も真犯人に近いようだが、逆に命がけで真犯人をかばっているようにも見える。第5話のラストには、オレンジジュースらしき液体が入ったポットを手にした謎の人物のカットも描かれ、まだまだ物語が続くことを暗示している。麻生さんの“怪演”とともに、今後の展開にも注目だ。 

写真を見る全 3 枚

テレビ 最新記事