鈴木亮平:「テセウスの船」でなお魅せる役者魂 叫んで声からし、体重だけでなく「年齢も増減」 ドラマP明かす“頼もしさ”

ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」に出演する俳優の鈴木亮平さん(C)TBS
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ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」に出演する俳優の鈴木亮平さん(C)TBS

 竹内涼真さん演じる主人公・田村心が、タイムスリップした過去で無差別殺人事件の謎を追う姿を描く連続ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」(TBS系、日曜午後9時)。2月23日放送の第6話では、ついに犯人が明らかになり、平均視聴率も番組最高を更新するなど盛り上がりを見せている。3月1日放送の第7話の予告動画では、心とともに犯人を追う鈴木亮平さん(36)演じる佐野文吾の姿が登場している。鈴木さんについて、「演じることに関して『そこまでやるか』というこだわりに脱帽です」と話すプロデューサーの渡辺良介さんに、鈴木さんの起用理由や役者としての魅力を聞いた。

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 ◇鈴木亮平は「文吾そのもの」

 原作はマンガ誌「モーニング」(講談社)で連載された東元俊哉さんの同名マンガ。主人公の田村心(竹内さん)が31年前にタイムスリップし、父で警察官の佐野文吾(鈴木さん)が逮捕された「音臼小無差別殺人事件」の謎を追う……というストーリー。

 鈴木さん演じる文吾は、心の父親。音臼村の駐在警察官だったが、1989年に発生した「音臼小無差別殺人事件」の犯人として逮捕される。その後、死刑判決が確定したが、一貫して無罪を主張し続けている。殺人犯として逮捕されるまでは、村民から慕われ、頼りにされる警察官で、家族も大切にしている良き父親だった……という役どころ。

 第1話では、文吾が、子供の腕を強引に引っ張って雪山に向かう姿や不気味な表情を浮かべるさまが描かれ、視聴者からは「極悪非道の殺人鬼なの? それとも警察官の鑑(かがみ)なの?」「演技がうますぎて、分からないんだよ!」などの声もあがった。

 第3話などには、鈴木さんがアントニオ猪木さんのものまねをして「1、2、3、ダー!」と叫んだり、腹踊りをする場面も登場。体を張って、家族を笑顔にしようという文吾の人柄がよく出たシーンで、視聴者にとっても、緊張感のある重いシーンが続く中、ホッとできる場面でもあった。

 撮影現場の鈴木さんについて「文吾そのもの」と表現した渡辺さんは、「(文吾役は)30代の役と60代の役と、一人二役やらないといけない。やっぱりお芝居の実力に信頼がおけて、というのが鈴木さんに対してあった」と起用理由を明かす。

 鈴木さんといえば、体重まで大きく増減させるほどの壮絶な役作りをすることでも知られているが、「カメレオン俳優じゃないですけど、体重が増減できるんだったら、年齢も増減できるっていう(笑い)」と話す。さらに、「どっしりしていて、朗らかで優しい文吾の本来の性格に合致している」と続け、「大河ドラマの主演もやられて、まだ若いですけど、キャリアを重ねてこられている安定感と、我々スタッフの信頼は厚いです」と鈴木さんへの絶大な信頼を明かす。

 ◇研究熱心な横顔 猪木ネタを完コピ

 心が現代にタイムスリップした第4話では、文吾と鈴(貫地谷しほりさん)が拘置所で対面する場面が登場した。村田藍という名前に変えていた上、姿も変えて隠れるように生きていた鈴は、文吾に「もう会いにくることはないと思う。ごめんね」と告げる。そんな鈴に、文吾は「『元気ですか』、昔よくやったよな。元気があればなんでもできる。いくぞー! 1、2、3、ダー!」と言うと、鈴も一緒に「ダー!」ポーズをやり……という展開で、視聴者の涙を誘った。

 実は、渡辺さんによると、第4話ではもともと「1、2、3、ダー!」は入れる予定ではなかったという。「やっぱり作っていく過程で、佐野家にとってプロレスを通じた子供たちのコミュニケーションがとても大事だものなんだと我々の中に生まれました。鈴(藍)と面会したときに、『家族の一番の思い出は何?』と考えたときに、お父さんの“ダー”じゃないかと膨らんでいった」と明かす。

 原作にもプロレスネタは登場するが、時代性を入れるために、猪木さんのプロレスネタを入れたという。腹踊りのシーンでは、撮影の10日前あたりくらいから、リハーサルを重ねていたといい、鈴木さん自ら腹に絵を描き、試行錯誤を重ねた。「鈴木さんは研究熱心で、猪木さんのいろいろなことを調べて完コピして。一緒に努力し、工夫してくれるというのが、一緒にやっていてありがたいし、頼もしい」と役者としての魅力を話す。

 ◇60代の文吾では、声をからして…

 60代の文吾を演じる際には、1時間半ほどかけて特殊メークを施しているというが、「メークだけではフォローできない」部分もあるという。鈴木さんは、「声だけは芝居で年取ることができないから」と言って、声をからしてから撮影に臨んでいるといい、「現場に入る前に、大声で車の中で叫んで。本人はそういう努力は見せたくないのかもしれないけど、(鈴木さんに)『声、全然違う』と言ったら、『からしてきたんですよ』って。そこまでして演じてもらうと、こちらは脱帽ですよね」。

 さらに、渡辺さんによると、特殊メークを施している過程から、鈴木さんの「背中が丸くなる」といい、「だんだんだんだん年をとっていく。背中は丸いし、ゆっくり話すし、ゆっくり歩くようになるし……そこはびっくりします」と驚きを隠せない様子だ。

 第7話の予告動画には、「本当の犯人が動き出す」という意味深なテロップが登場する。渡辺さんによると、原作者の東元俊哉さんが明かした通り、「原作と犯人が違う」ことは間違いないという。さらに、犯人のヒントについては「犯人はもう出ています。すでに出ています」と話す。最後まで物語の行方を見守りたい。

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