南沙良:17歳・期待の正統派女優 NHK信州発地域ドラマでヒロイン好演も、まさかのグレたい願望?

NHK信州発地域ドラマ「ピンぼけの家族」でヒロイン・宮下陽菜を演じる南沙良さん
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NHK信州発地域ドラマ「ピンぼけの家族」でヒロイン・宮下陽菜を演じる南沙良さん

 NHK・BSプレミアムで3月4日午後10時から放送される、NHK長野放送局制作の信州発地域ドラマピンぼけの家族」に出演する南沙良さん(17)。南さんといえば、2017年に映画「幼な子われらに生まれ」で鮮烈な女優デビューを飾ると、翌年の初主演映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」(蒔田彩珠さんとのダブル主演)の演技が評価され、第43回報知映画賞や第61回ブルーリボン賞などで新人賞に輝いた期待の正統派女優だ。今回、主人公の青年(泉澤祐希さん)と共に写真を探すヒロインの高校生・宮下陽菜を演じた南さんに、ドラマや役柄に加え、女優業への思いも聞いた。

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 ◇誰にも言えない思いを抱えたヒロインに共感「この感じ知っているなって」

 ドラマの舞台は「東洋のスイス」と呼ばれ、世界に誇るフィルムカメラの生産地として一時代を築いた長野県諏訪地域。主人公の青年・斉藤裕介(泉澤さん)が、亡き祖母の面影を求め写真を探す過程でさまざまな人と出会い、自分の知らない町の表情に触れていくオリジナルストーリーだ。丸山智己さんが陽菜の父親、柄本明さんが物語の鍵を握るカメラ修理技師を演じ、手塚理美さん、藤森慎吾さんらも出演している。

 「写真」が題材になっていて、南さんは「改めてですけど、大切な人と一緒に写真を撮るってことは、思い出にも残りますし、何かに迷ったり、憤りを感じたとき、その写真を見ることで温かい気持ちになったり、新しい発見、気づきもあったりするので、私もフィルムカメラで写真を撮ることがあるのですが、写真として形に残すってことは、すごくすてきなことなんだなって思いました」としみじみと話す。

 演じた陽菜は、諏訪の学校に通う高校生で、誰にも言えない思いを抱えており、諏訪湖のボートの上で叫んでは発散する日々を過ごす。写真探しをする裕介を見かけて、行動を共にするようになる……。現在高校2年生の南さんにとって、身近である意味、等身大に近い存在だ。自身と役とを比べ、「私もどちらかといえば、周りに自分の気持ちや思いを伝えられないタイプ」と共感を寄せ、「その場、その場で監督(演出の木村優希さん)と話し合いながらではあったのですが、台本を読んでみて、うまく言葉にできないんですけど、この感じ知っているなっていう部分があれば、自分の中から引き出しながら演じてみました」と明かす。

 主演の泉澤さんは、南さんからすると少し年の離れたお兄さんといったところ。「そうですね。いいお兄ちゃんです」と笑顔を見せると、「すごく面白い方で、現場にいても泉澤さんがいると明るくなるというか。お芝居の面でもリードしていただいて、すごく頼りにさせていただきました」と感謝。諏訪の住民とも共演し、「本当に温かい方ばかりで、現場もすごく穏やかな雰囲気で、心地よくて、撮影が楽しかったです」と振り返った。

 ◇演技で勝負できる若き“正統派” 女優業に秘めたる強い思いも

 南さんが女優デビューしてから約3年が経過した。2018年公開の映画「無限ファンデーション」では即興芝居、昨年公開の映画「居眠り磐音」では時代劇にも挑戦と、ゆっくりとではあるが活躍の場を広げているところで、演技で勝負できる若き“正統派”としての期待は非常に高い。

 南さんは「小さい頃から自分とは違う何かになってみたくて、それを可能にしてくれるのが女優というお仕事。これからも続けていきたいですし、普段の自分とは違う視点から何かものを見ることができるのは、すごくすてきなことで、そこに今一番、楽しさを感じています」と充実した表情を見せる。

 また「幼な子われらに生まれ」でメガホンをとった三島有紀子監督からは当時、「お芝居をしようとしないで、相手からもらったものに対して、思ったこと、感じたことを素直に表現すればいい」と言われたといい、「お芝居をするってそういうことなんだって、すごく腑(ふ)に落ちて、今でも大切にしている言葉。だから役を作りすぎないようにはしていて、実際に現場に入ってから感じたこと、監督と話し合いながら作っていくことが多いです」と役作りの一端を披露する。

 さらに、「『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の湯浅弘章監督からも『シーンごとで感じたことは、絶対に後で役に立つから、自分の中に大切にしまっていてほしい』と言われたのですが、それもすごく心に残っているというか、今も心がけている大切な言葉です」と明かすと、女優としての今後の目標について「特に具体的なものはありません」としながらも、「とにかく“続けていけたらいいな”という思いでやっています」と秘めたる強い思いをのぞかせた。

 人気女優を数多く輩出しているファッション誌「ニコラ」(新潮社)の出身で、どこか大人びていて、りんとした表情も魅力の南さんに、最後に挑戦してみたい役について聞くと、「グレてみたいです」と意外な答えが。「ちょっと昔からグレたい願望があって、プライベードではできないので、役でグレてみたいですね」と照れ笑いを浮かべていた。

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