梶裕貴:「PSYCHO-PASS」最新作は「集大成」 灼と炯は「簡単に崩れてしまう関係ではないと…」

「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」の一場面(C)サイコパス製作委員会
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「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」の一場面(C)サイコパス製作委員会

 人気アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」のシリーズ最新作「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」が、3月27日から2週間限定で劇場公開され、Amazonの動画配信サービス「Amazon Prime Video」でも独占配信される。公開に先駆け、主人公・慎導灼役の梶裕貴さんのコメントが3月17日、公開された。梶さんは、新作について「『PSYCHO-PASS 3』らしい、灼らしい物語になると思いますので、ぜひこの一つの集大成をお楽しみください」と話し、作品への思いや見どころを語っている。

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 ――いよいよ今回の「FIRST INSPECTOR」で「PSYCHO-PASS サイコパス 3」の物語が完結します。2019年10月から放送されたテレビシリーズの感想は?

 「PSYCHO-PASS サイコパス」は、シリーズごとに毎回、新しい描き方に挑戦してきた作品だなという印象があります。今回は放送時間が1時間という拡大枠で、その長さだからこそできるドラマがたっぷり描かれていました。通常の倍の尺があり、途方もない労力がかかる中で、アクションシーンも手を抜かず、格闘術に関しても徹底的に研究して作られている。(慎導)灼にはパルクールもありましたしね。<メンタルトレース>という新しい表現もあって、本当にいろいろな意味で挑戦していたシリーズでした。同時に、今回はある種、灼と炯(ミハエル・イグナトフ)のバディーものともいえる側面もあって、“刑事ドラマ”としての印象も強いかもしれません。

 ――梶さんが演じた新任監視官(慎導)灼の印象は?

 灼は一貫して「人間の可能性を信じている人」だという印象がありました。「執行官は盾じゃない、人間だ」(テレビシリーズ第8話)というセリフもありましたし、近未来的な世界観でありながら、灼には人情や根性といった、良い意味での人間臭さを感じるんです。

 ただ、灼のプロフィルを見ると、なかなかとっつきにくいところがあるんですよね(笑い)。序盤の執行官たちの態度にそれが顕著に表れているわけですが……最初は、周囲も灼に心を開かず、警戒していた一面もありました。でも次第に、自身の言動によって信頼を得ていく。エピソードが進むごとに、灼の気持ちが周りへと伝わって。最終的には、刑事課1係がしっかりとチームになっていくところが見られて、僕もとてもうれしかったです。

 ――バディーの炯はどんな人物だと思いましたか。

 炯からは、灼とはまた違った形のプロフェッショナルさを感じています。妻の舞ちゃん(舞子・マイヤ・ストロンスカヤ)のことをすごく大事に思っていて……彼女が事件に巻き込まれて、少しブレてしまうところも含めて、人間として本当に魅力的で。第7話で、とあるすれ違いから彼らは衝突してしまいましたが……そう簡単に崩れてしまう関係ではないと、僕は信じていました。

 ――今回の「FIRST INSPECTOR」では謎の組織<ビフロスト>のファーストインスペクターである梓澤廣一との対決が描かれます。物語の印象は?

 梓澤(廣一)はテレビシリーズでは、とにかく謎に包まれた人物でしたが、ようやく「FIRST INSPECTOR」で彼のことが明らかになります。灼と梓澤、そしてこの世界を管理しているシビュラシステムという三つの考え方が交差する物語は、とても面白いなと思いましたね。シビュラシステムは、人々の精神状態を数値化することで管理する「完全」と思われている存在。それに対して、人間たちは不安定で予想もつかない行動に出る「不完全」な存在。本作で描かれる、両者の主張や関係性がとても印象的でした。

 ――テレビシリーズで灼は、都知事に就任した小宮カリナといい関係を築いていきます。彼女と灼の関係も一つの見どころです。

 灼はカリナという存在自体に興味を持っているんでしょうね。彼女はシビュラシステムとは違う意味で「完璧な人間」に見えるので、そこに興味があったのだと思います。でも、最初に会話したときにどこか違和感があって……やがて、そこから見えてきたものは、やっぱり完璧じゃない部分。そういったところに魅力を感じたんだと思います。そして、騒動後改めて話した上で、やはりこの人は先頭に立つべき人だと感じたのではないでしょうか。

 ――いよいよ「FIRST INSPECTOR」が公開を迎えます。作品をどのように楽しんでほしいですか。

 テレビシリーズをご覧になってくださっていた方々は、きっといろいろなことが気になって仕方ない……まさに“おあずけ”状態だったと思います(笑い)。第8話の最後に事故に遭ってしまった六合塚(弥生)さんのことも気になりますしね……。そんな、これまで描かれてきた一連の事件の解決編として、満を持して「FIRST INSPECTOR」が公開されます。「PSYCHO-PASS サイコパス 3」らしい、灼らしい物語になると思いますので、ぜひこの一つの集大成をお楽しみください。

 新作は、テレビアニメ第3期で、監視官の慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフら刑事課1係が追ってきた「狐」による事件、ビフロストの謎、灼と炯の戦いが決着する。灼と炯は、事件を捜査していく渦中で真実と正義を巡り決裂してしまう。それらの事件の裏で暗躍する梓澤廣一は、ついに刑事課そのものを標的に定め、公安局ビルを襲撃する。かつてない窮地に立たされた公安局刑事課1係。灼と炯の信義を問う、最後の事件が起きる……というストーリー。

 「PSYCHO-PASS」は、人の心理状態などを数値化して判断できるようになった近未来の高度情報化社会を舞台に、厚生省公安局の刑事の活躍を描く近未来SFアニメ。完璧に見える社会が持つ矛盾が描かれた。テレビアニメ第1期が2012年10月~13年3月、第2期が2014年10~12月に放送され、劇場版が2015年1月に公開。2019年、新作劇場版アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」3部作が公開された。

 テレビアニメ第3期は、2019年10~12月に放送された。

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