名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開催中止となった「コミックマーケット(コミケ)98」。しかし、オンライン上でコミケを楽しむ企画「エアコミケ」の開催が発表され話題を集めている。一見コミケが中止になった代償行動にも見えるが、そこには未来のコミケを想う参加者の心があった。アニメコラムニストの小新井涼さんが独自の視点で分析する。
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本来であれば、このGW中に開催予定であった「コミックマーケット98(C98)」が、新型コロナウィルスの影響で、40年以上の歴史上初めての開催中止となりました。コミックマーケット(コミケ)は、近頃では60万人を超える人々が訪れる世界最大級の同人誌即売会です。その様子はたびたび報道で取り上げられることも多く、あまり詳しくない人でも、どれだけ大規模なイベントが中止になったのかは想像にたやすいことだと思います。
ところが、3月末の中止発表を受けてからこちら、参加者達は未だ“C98の”コミケカタログを購入したり、原稿やコスプレ衣装の制作を進めていたりと、中止になった今回のコミケの準備を止めてはいません。これは一体なぜなのでしょうか。
大きな理由としては、東京ビッグサイトでの開催中止を受けて、今回初の試みとなる「エアコミケ」が開催されることが挙げられます。
エアコミケとは、コミケを開催するはずだった5月2日から5日を「当日」、5月1日を「設営日」として、その前後も含め“ネット上で”今回のコミケ「C98」を行うという企画のことです。エアコミケ専用のツイッターアカウント(@comiket_air)で、ハッシュタグ「#エアコミケ」と共に、いつも通りコミケが開催されているかのようなエア実況が行われるほか、「#コスプレ」や「#宅コス(自宅でのコスプレ)」を使ったコスプレ作品の発表、Webカタログとオンライン委託を連動させた同人誌の頒布などが行われます。
そのため、創作物の入手等を目的とした一般参加者も、創作物の発表や頒布等を目的としたサークル参加者やコスプレ参加者も、そこに向けた制作や準備作業をいまだに続けているのです。
実はこの「エアコミケ」という言葉は、準備会によって正式に開催がアナウンスされる前から、参加者たちによって自然発生的に使われていたものでした。つまり参加者たちは最初から、リアルなコミケが中止になっても、エアで今回のコミケを開催する意志を持っていたのです。
運営の中心を担う準備会ならともかく、自分たちだって大変な状況の中、参加者たちがなんとしても“今回のコミケ”を開催しようとすることを、不思議に思う人もいるかもしれません。それにはコミケが、“運営に用意・提供されるイベント”ではなく、“参加者全員で作っていく場所”であることが関係しているように思います。コミケは準備会という任意団体等が主な運営を担ってはいるものの、基本的には「客」という立場が存在しない、参加者全員で作り上げる集会です。そのため、そこに集まる参加者たちの同人活動や、参加・開催への意欲が途絶えてしまえば、たとえコロナが収束したとしても、次回以降の開催は約束されないものとなってしまいます。
だからこそ参加者たちは、ただ次回の開催を待つのではなく、たとえエアでも無理や危険のない範囲で“今回もコミケを行う”ことで、次の開催まで同人文化を繋ごうとしているのでしょう。
これだけだと、単なる気持ちの問題にも見えてしまうかもしれませんが、エアコミケの開催は、実質的にもコミケの継続に繋がります。参加者たちが中止発表後も“今回の”コミケカタログを購入していることは、運営を担う準備会への支援になりますし、予定通り同人誌の制作を行うことは、中止に伴って受注数が減ってしまう同人誌の印刷会社への支援にもなるのです。
いくら非営利のイベントとはいえ、莫大なお金や人が動き、多くの企業や団体が関わるコミケが一度の中止で及ぼす影響は正直はかり知れません。コミケの継続に大切なのは、第一に同人文化を絶やさないことではありますが、同じぐらい大切な、持ちつ持たれつコミケを支えてきた企業や団体が疲弊してしまっても、次回以降の開催は危うくなってしまうのです。
技術の発展によって、現在既にネット上だけでも十分な同人活動ができるようにはなりましたが、だからこそリアルイベントであるコミケでしかできない出会いや交流があることも、改めて実感できるようになってきています。参加者たちは、そんな「自分たちの場所」をなくさないためにも、コミケを作る人間のひとりとして、自分たちができる活動を、無理のない範囲で今も続けているのです。
そんな中開催される今回のエアコミケには、ネット開催という特性を生かして、コミケに申し込んでいない人も、最近ご無沙汰だった人も、コミケへの参加経験がない人も参加ができます。「#エアコミケ」と共にさまざまなハッシュタグを組み合わせて、それぞれの参加スタンスで、作品発表から交流、これまでのコミケの思い出や面白話を語ったりと、“参加者の工夫・創作力次第で無限に楽しみ方が広がる”というまさにいつも通りのコミケが、場所だけをネット上に移して開催されるのです。きっとその中には、次以降の開催を支える未来のコミケ参加者の初参加も含まれると思います。その意味でも、今回のエアコミケ・C98の開催は、次のコミケ開催に繋がる大事なイベントとなるでしょう。
ただ一点、このエアコミケはあくまでネット上で行われるイベントです。(参加経験者の中にはいないとは思うのですが…)どうか「当日」や「設営日」に現地を訪問するといった、今後の東京ビッグサイトでのリアルイベント開催を危うくするような行為は絶対せずに、いつも通り参加のルールを守って、くれぐれも“おうち”で楽しむようにしてください。
こあらい・りょう 埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。明治大学大学院情報コミュニケーション研究科で、修士論文「ネットワークとしての〈アニメ〉」で修士学位を取得。ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)の全アニメを視聴して、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続中。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、現在は北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程に在籍し、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。
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