綾野剛:「MIU404」“伊吹”役が話題 これまでと異なる役へのアプローチ プロデューサーに聞く

綾野剛さんと星野源さんのダブル主演ドラマ「MIU404」の第2話のワンシーン(C)TBS
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綾野剛さんと星野源さんのダブル主演ドラマ「MIU404」の第2話のワンシーン(C)TBS

 綾野剛さんと星野源さんのダブル主演ドラマ「MIU404(ミュウ ヨンマルヨン)」(TBS系、金曜午後10時)。6月26日放送の第1話の平均視聴率(世帯)は13.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好スタート。綾野さんと星野さんの名コンビぶりや、シンガー・ソングライターの米津玄師さんが担当した主題歌「感電」、激しいカーアクションなどが話題を集めているが、中でも、直情型の主人公、伊吹藍(いぶき・あい)を演じる綾野さんに称賛の声が上がっている。ドラマを手がける新井順子プロデューサー(P)に、綾野さんの印象や、“伊吹”ができるまでを聞いた。

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 ◇「ずっとやりたかった」刑事ドラマ

 「MIU404」は、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」(共にTBS系)などで知られる野木亜紀子さんが脚本を手がけるオリジナルドラマ。警察内部で“何でも屋”とやゆされながらも、犯人逮捕にすべてを懸ける初動捜査のプロフェッショナルであるという架空の設定の臨時部隊「第4機動捜査隊」が、24時間というタイムリミットの中で事件解決を目指す、1話完結の刑事ドラマ。

 綾野さんは機動力と運動神経はピカイチだが機捜経験がなく、刑事の常識にも欠ける伊吹、星野さんは観察眼と社交力にたけているものの、自分も他人も信用しない理性的な刑事、志摩一未(しま・かずみ)を演じる。タイトルの「MIU」は、「Mobile Investigative Unit(機動捜査隊)」の頭文字で、「404」は綾野さんと星野さんが演じる機動捜査隊員の2人を指すコールサインだ。

 「夜行観覧車」「Nのために」「リバース」「アンナチュラル」「中学聖日記」「わたし、定時で帰ります。」など、数々の話題作を手がけてきた新井P。「アンナチュラル」でもタッグを組んだ脚本の野木さんと、飲みに行っては「(次は)何する?」と話してきたという。「私がずっと刑事ドラマというものをやりたくて。でも、(舞台が)捜査1課だと企画が通らないんだろうな、ちょっと変わった部署がないかなと考え、機動捜査隊が面白いんじゃないか」と企画誕生の背景を明かす。

 ◇“伊吹”に、綾野剛の人柄を反映

 野木さんが脚本の執筆を始める前に、綾野さんと星野さんと事前に会ったという新井P。「こんな人なんだとイメージが変わって。なんておちゃめなのかしらって。愛らしいっていうぐらい少年っぽさもあり、真摯(しんし)にお芝居に向き合っている表情も色気があるし、そりゃみんなもうお仕事したくなるわっていう(笑い)」と二人の印象を表現する。

 伊吹と志摩に、二人の人柄を反映した部分もあったと明かし、「一方的にキャラクターを作るんじゃなくって、この人がやるからこそのキャラクターをどう作ろうか」と考えて作っていった。

 綾野さんの印象を聞いてみると、「クールでびしっと決まっているイメージがあって。すごく寡黙なのかなと思っていたんですね。でも実際は、話題が豊富だし、明るいし、『ああなるほど!』みたいな感じがして。このまま持っていけばいいかな。ほんのちょっとの“おバカ”と、はじけている綾野剛が面白いのかな」と振り返る。

 伊吹は、「機動力と運動神経はピカイチの野性のバカ」という設定。これまで多くの部署を転々とした揚げ句、奥多摩の交番に8年近く勤務していた。初の機捜で右も左もわからないながらも天職だと思い始めるが、考える前に動いてしまい志摩がいないと危なっかしい……という役どころだ。

 キャラクターとして、「“愛せるバカ”ぐらいの感じを狙っている」と話した新井Pだが、最初は野木さんもその加減を探っていたという。「ほんとにバカすぎないか?って(笑い)。漢字を知らないとかそういうことじゃなくて、跳ねているバカっていうか。警察官としての使命感、人を救いたいという根本を出して、いろいろな多面性が見えるキャラクターにしている」と説明する。

 そんな伊吹の印象について、綾野さんは「いつも、とにかく機嫌がいい。切り替えが早くて、悩まない。僕はこういう友達がいっぱい欲しい(笑い)」とドラマが始まる前に話していた。また、「少年マンガを読んで伊吹を形成した」といい、「あんまり『演じている』という感覚はないですかね」と明かしていた。

 ◇綾野剛が語る伊吹 「自分を伊吹にアウトプット」

 第1話が放送されると、SNSでは「ものすごく綾野剛がいい」「やんちゃな綾野剛が可愛い」「やっぱり綾野剛は破天荒な役の方が好き」「綾野剛が全速力で走ってる姿ってなんでこんなにかっこいいの」などのコメントが並んだ。「綾野剛の演技の幅の広さにビビる」という意見もあった。

 こうした声が上がる背景には、これまでと異なる綾野さんの役柄へのアプローチがあったのではないだろうか。ドラマが始まる前に、綾野さんは「自分を捨てて、役になりきるというのはとてもいいことだと思いますが、僕はさんざんそのやり方をやってきて、もういいかなと。新たなやり方で自分のいいところをちゃんと伊吹にもアウトプットしていく。自分らしくやらせてもらっている」と話していた。確かに伊吹の姿には、バラエティー番組などで目にする綾野さん自身のおちゃめでチャーミングな人柄が透けて見える。綾野さん自身の魅力が、伊吹というキャラクターにさらなる彩りを与えているのだ。

 新井Pは、「綾野さんは感情豊かで、うまいですよね。伊吹は喜怒哀楽はっきりしているので、(綾野さんは)目の動きとかで感情をきちんと表現できるし、ずっと見ていても飽きない」と魅力を語る。今夜の放送では、伊吹のどんな一面を見せてくれるのか。楽しみにしたい。

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