田中史朗選手:「ブライトンの奇跡」南アフリカ対⽇本戦振り返る 「桜のジャージーのために体張った」

7月19日放送の「ラグビーワールドカップTM 感動と興奮の名勝負選! ~日本代表 激闘の軌跡~」で、2015年⼤会「南アフリカ対⽇本戦」のゲスト解説を務める田中史朗選手
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7月19日放送の「ラグビーワールドカップTM 感動と興奮の名勝負選! ~日本代表 激闘の軌跡~」で、2015年⼤会「南アフリカ対⽇本戦」のゲスト解説を務める田中史朗選手

 ラグビー世界最強を決めるラグビーワールドカップの第1回大会(1987年)から2019年の日本大会まで、歴史に残る名勝負を振り返るWOWOWの番組「ラグビーワールドカップ 感動と興奮の名勝負選! ~日本代表 激闘の軌跡~」。7月19日は2015年⼤会の南アフリカ対⽇本戦を放送。ワールドカップ通算1勝だった日本代表が優勝候補の南アフリカを撃破し、開催地にちなんで「ブライトンの奇跡」と呼ばれたこの歴史的な一戦に出場した田中史朗選手がゲスト解説を務める。今回の放送を前に、自身が先発出場した試合や2019年大会の日本代表の活躍、今後の日本代表に必要なことなどについて、田中選手が語った。

ウナギノボリ

 --解説を終えて、どのような実感がありますか?

 試合を見たのは初めてか2回目ぐらいですが、改めてすごいことをやったんだな、と心から日本代表という存在を誇りに思いました。前半は楽しく解説させていただいた一方で、後半は言葉にならなかったですね。いろいろなことをお伝えしたかったのですが、話すことで試合に集中できなくなると申し訳ないので、集中して見入ってしまいました。

 --最後は涙ぐんでいましたね。

 そうですね。本当にすごいことだなと。この感覚は死ぬまで治らないと思います。

 --田中選手はこの歴史的一戦のマン・オブ・ザ・マッチに選出されました。

 選ばれた理由はいまだに分かりません(笑い)。たぶんスーパーラグビーに出場して名前が世に出ていたからではないかなと思いますけど、僕以上にリーチ(・マイケル選手)や堀江(翔太選手)、トンプソン(・ルークさん)や小野晃征(選手)……。もう、全員よかったですね。

 --映像で見返したことで新たな発見などはありましたか?

 いろいろなことに気付きました。どれだけ体を張っていたかなど、一人一人の素晴らしさが分かりましたし、この試合があったからこそ4年後の2019年大会のベスト8があったんだなと、改めて思いました。

 --2015年大会で、特に印象深い思い出はありますか?

 日本人も外国人も関係なく、本当にファミリーみたいに仲のいいチームだったことですね。全員が日本のために体を張っていましたし、いいプレーをすることや勝つことに喜んでいました。チームメートって大事なんだなと再認識しました。

 --この南アフリカ戦、視聴者の皆さんにはどのあたりに注目してほしいですか?

 やはり全員の体の張りようですね。みんなが日本のために、桜のジャージーのために体を張って、あれだけサイズの大きい人たちを苦しめたところをぜひ見ていただきたいです。

 --この一戦から、2019年大会にどのような点が引き継がれたと考えていますか?

 やはりハードワークすることです。チームのために体を張りしんどいことに取り組むのは、この時から受け継がれていると思います。そこからさらにスマートになった結果がジェイミー・ジャパン(ジェイミー・ジョセフ現ヘッドコーチ率いる日本代表)だと思います。

 --2019年大会準々決勝の南アフリカ戦との違いはどこにあると考えていますか?

 2019年大会の南アフリカは自分たちの強みを徹底し、たぶん僕たちのことも分析して、おごることなく準備してきたと思います。2015年大会開幕時、僕らは世界ランキング13位で、(当時3位の)南アフリカは昨年ほどの対策はしていなかったのでしょう。日本代表が強豪を本気にさせるチームになったのは本当に素晴らしいことだと思います。

 --2019年大会で日本代表がベスト8入りしたことをどのように捉えていますか?

 日本人でもやればできるんだ、ということを実証できたのではないかと思います。いろいろな人が僕らの姿を見て、自分が今チャレンジしていることに対して「もっとできる」とモチベーションを上げてもらえればうれしいですね。

 --日本代表の躍進によってラグビー自体の注目度が変わりました。

 公園でラグビーボールで遊んでいる子や、日本代表のジャージを着て学校に通う子供たちを見ると、本当に素晴らしいことをやったんだなという思いが芽生えてきます。子供たちがラグビーと触れ合えば、その子たちが成長した時にさらに強い日本代表になる可能性が上がるので、いろいろな人にラグビーの素晴らしさを感じてもらいたいですね。

 --世界の強豪国と張り合い続けるために今後の日本代表に必要なことは何でしょうか?

 今まで以上のハードワークです。2015年大会も2019年大会もハードワークして結果を出してきましたので。それ以上に“考える”ことも大事なので、ハードワークに加えて“考える”ことが必要になってくると思います。子供たちの育成もさらに進める必要があります。

 --コロナ禍の影響でラグビーの国内シーズンは途切れてしまいましたが、ラグビーが再開となった時にはファンに向けてどのような声をかけたいですか?

 まずは2019年大会の応援、トップリーグ2020シーズンの応援に「ありがとうございました」とお礼を言いたいです。これからもラグビーを見て楽しんでいただければうれしいですし、子供たちには夢と希望を少しでも持ってもらえれば可能性も上がっていくと思うので、これからも日本ラグビーをよろしくお願いします!

 *……WOWOWでは、「ラグビーワールドカップ 感動と興奮の名勝負選! ~日本代表 激闘の軌跡~」「~全9大会 決勝の記憶~」を連日放送中。2015年⼤会の南アフリカ対⽇本戦は7月19日午前11時50分からWOWOWライブで放送。

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