佐々木蔵之介:一人二十役の苦労振り返る 「人が多過ぎで交通整理が大変」 舞台「マクベス」がWOWOWで放送

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舞台「マクベス」のキーカット

 俳優の佐々木蔵之介さんが1人で20人の登場人物を演じ、2015年に上演された舞台「マクベス」が、12月5日午後6時からWOWOWライブで放送される。放送を前に、佐々木さんのインタビューが11月25日、公開された。

 舞台「マクベス」は、シェークスピアの四大悲劇といわれる同名作品を原作に、演出家のアンドリュー・ゴールドバーグさんとジョン・ティファニーさんが現代版にアレンジし、日本公演はゴールドバーグさんが演出を担当し、オリジナル版として製作。精神病棟を舞台に、病室に隔離された患者の中に存在する“マクベス”の登場人物たちが物語を明らかにしていくという内容。佐々木さんのインタビューは以下の通り。

 ◇

 ――いろんなマクベスがありますが、このオファーが来た時、率直にどう思われましたか?

 なんで僕にオファーしてきたんだろうって思って。これ(大変すぎて)オファーされて、「あ、やります!」って言うわけないじゃないですか。言うわけないっていうのも変ですけど(笑い)、エライのがきたなーと思いましたね。だから、なかなか僕は返事をしなかったんですよね。でも最終的に、プロデューサーがわざわざ大阪の舞台の千秋楽にまで足を運んでくださって。で、なんか執拗(しつよう)に口説かれて(笑い)。自分の中でこれができるとは全く思ってなかったんで、でもそこまでおっしゃってくださるのは、僕の中にできそうな何かが(あるのかもしれない)、と思ったくらいで。

 でも、最終的にやりますっていう返事をした自覚がないんです。だから、「どうやら(公演を)やることになったようなので、やるからには面白くやろう」と思い込むようにしました。ただ、取材では、「いつでも逃げる覚悟はできてます」とは伝えていました(笑い)。

 ――すごいセリフ量ですよね。

 半年くらい前から、なんとなくなじませようと思ってたんです。でもなじませようと思ってもなかなかなじまないんです、これが。いよいよもう3カ月前に、これはもう本気で(セリフを)入れておかないと、と思ったんですけど、何回やっても入ってこないんですよ。毎日毎日やっても入ってこなくて。もう逃げたいと思いましたね。

 ――1人の心情で貫くわけではないですからね。

 誰かのセリフを受けて返すわけではなくて、セリフを全部、出して出して出していかなきゃいけないから、それはなかなかやったことがない。1人で稽古(けいこ)する時に対象物がない、セリフを当てる人もいない、返してくれる人もいない、それを見てくれる人もいない、何もない状況が苦しかった。公園で1人稽古している時、もう、そこにいるハトでもいい、犬でもいい、「オレのセリフを聞いてくれ」みたいな感じでした。自分の家だったら怠けるというかなかなかできないから、区とかの集会室みたいなところを借りて稽古しに行ったりもしていましたね。そういう場を持たないと多分できないと思って。無理やり作ってやってました。

 ――いつごろセリフを覚えられたんですか?

 スコットランド行って、向こうでそのお城とかいろいろ見ながら、写真を撮ってもらった時にセリフを返したりしながら、最後、ロンドン行ってグローブ座見て、ホテルにプールがあったんですけど、プールで浮かびながらぶつぶつぶつぶつセリフ返したんですよ。まぁ気味が悪いと思うんですけど。なんや東洋人がプールでぶつぶつずーっと言ってるんですよ、浮かびながら。そしたら何となくまわりだしてきて。帰りの飛行機ずーっと13時間(セリフ)返してたんですよね、その時すごく入っていって、で、演出家が来日する時には何となく、7~8割入って。稽古場に演出家がいてくれて、そこでやっと、見てくれる人がいるんだぁ~、ってすごく安心しました。

 ――どうやってアプローチして作りあげていったんですか?

 多重構造にもなっていて。言ったら僕が演じたのは患者1人だけなんです。彼がどういうわけか病院に入って、監視されながら、胸に傷がある、と思いながら、マクベスという戯曲を1人で演じてしまっている、演じ続けてしまっている、そして何かにおびえている、っていうことなんですよね。だから演じるのは1役なんです。でもマクベス、マクダフ、ほかにもいろいろあるんですけど、そのつなぎ目を、ひとつ芯である患者を(心に)持ちながら動かしていくっていうふうにはやっていきましたね。

 ――20役やられてましたね。

 20役ってうたってましたかね。殺し屋とか、亡霊とかいろんなものを含めるとね。まぁでも(患者という)1個の役ですけどね。面白かったです。

 ――過酷な現場だったって伺ってますけど……。

 同じシーンでの役の出入りがものすごく大変なんですよ。観客もよう分からんやろうなって(笑い)。1人でやることか、これは。出はけ(舞台への出入り)多過ぎやで、こんなん通常の登場人物が演じてても人が多過ぎで交通整理が大変やのにって、ね。

 ――この作品をやってみてどういう点がよかったですか?

 今までやった全ての舞台はすべて自分の血肉になってると思うんですけど、この作品はちょっと違うところがあるんです。このマクベスっていうのは、例えばこれを演じている僕が1人で頭からお尻まで演じましたよっていう、その生きざまみたいなものも見ていかれると思うんですよね。一つのパフォーマンスという、役だけではないところもお客さんは見られるんだろうなって感じていたし、実際劇場で見たらそうだと思うんですよね。それを100分経験できたことは大きかったですね。役を掘るだけではない。なんか、1人の人間がこうやってやり続けていくことを体感する。一人芝居ってちょっとそういう傾向があるかもしれないですけど、それは大きいですね。

 ――これから見る方へ見どころを教えてください。

 できたらストーリーは何となく知っておいたほうがいいと思いますけど(笑い)。まぁいろいろその、魔女が3人いる、それがこれだとか、なぜこのひっかき傷がついたのかとかっていうふうに見ていくのが楽しいかもしれません。

  *……番組は「マクベス(スコットランド・ナショナルシアター版)with佐々木蔵之介」と題し、12月5日午後6時からWOWOWライブで放送。

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