ライオンの隠れ家
最終話 僕たちの新しい始まり
12月20日(金)放送分
3月20日から東海テレビ・フジテレビ系の「オトナの土ドラ」枠でスタートする連続ドラマ「リカ~リバース~」で主演を務める女優の高岡早紀さん。愛する人を手に入れるために暴走する雨宮リカを描いた同局の連続ドラマ「リカ」(2019年)で、リカを演じた高岡さんは、今回の“エピソードゼロ”で狂気に満ちたリカの母親役を務める。「今回も期待を裏切らない作品になっていますので、怖さを再び体験していただきたいなと思います」と話す高岡さんに、今作への意気込みや女優業について聞いた。
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2019年に放送されたドラマ「リカ」は、五十嵐貴久さんの「リハーサル」「リカ」(幻冬舎文庫)が原作で、高岡さん扮(ふん)するリカが、第1部では大矢昌史(小池徹平さん)、第2部では本間隆雄(大谷亮平さん)を、それぞれターゲットにする姿を2部作として描いた。
自らを「28歳」と自己紹介するリカを覚悟を持って演じたという高岡さん。「最初はこの女性を演じるのはきついなと思いました」というが、台本を何度か読むうちに変化があった。「そういうことを平気な顔をして言ってのけるのがリカなわけで、リカは面白い」と振り返る。
「リカ」放送当時、視聴者からは「高岡早紀がハマり役」「怖すぎる……けどハマる」などの声が上がった。とくに、大谷さん演じる本間が乗ったタクシーを追いかけて、リカが全力で走るシーンについては、「ターミネーターのよう」「怖いけど面白い」とさまざまな反響があったが、高岡さんは「まさかそんなに笑ってもらえるとは思っていなかったの(笑い)」と振り返る。
今回の「リカ~リバース~」は、五十嵐さんの小説「リカ」「リバース」が原作。高岡さん演じる雨宮麗美(れみ)は、結花(山口まゆさん)、梨花(田辺桃子さん)という美しい2人の娘、開業医の夫(小田井涼平さん)と一緒に裕福な生活を送っていた。しかし、麗美の心はある理由から深く傷ついていた。そんな麗美の悲しみは、やがて2人の娘に伝染していき、麗美、結花、梨花の周囲で数々の事件が起こっていく……というストーリー。
雨宮麗美は、双子の娘を持つ専業主婦。モデルのように美しく、優しい完璧な妻であり母。近所からも羨望のまなざしを向けられており、「自分たちは完璧な愛にあふれた家族であるべきだ」と強く思っている人物だ。
高岡さんは、「誰にも言えないような悲しみを抱えた女性」と説明しながら、「一生懸命自分の中で頑張って、誰にも悟られないように『私は幸せなの』とみせて生活している。その辺のちょっとした心のゆがみを芝居の中の大きな要素として演じました」と話す。今回も、前回と同様に高岡さんが舌打ちする場面も登場するといい、「舌打ちとか、(共演者の)みんなは相当(麗美を)怖がってた」と楽しそうに笑う。
デビューから30年以上のキャリアを持ち、映画「忠臣蔵外伝 四谷怪談」(深作欣二監督、1994年)では、「日本アカデミー賞」の最優秀主演女優賞を受賞するなど若い頃から演技力にも定評がある高岡さん。「(女優業が)好きじゃないときはもちろんあったし、『どうでもいい』と思っていたときも、『女優じゃなくてもいいかもしれない』って思っていたときもあった。でももうここまでくると、それ(女優業)以外に何ができるんだ?ってね。結果、こうやって長く続けているってことは好きなんでしょうね」と女優業への思いを話す。
初めて出演した映画、初主演の連続ドラマ、CM……ターニングポイントとなった作品があるからこそ、今がある。「何年かに一回、何かが起きて、結局なんか楽しいな。結局なんかやめられないじゃないか、みたいな作品に出会っちゃったりするんです」とほほ笑む。
そんな高岡さんが、大切にしているのは、19歳のときに深作監督からもらった言葉。「『忠臣蔵外伝 四谷怪談』のクランクアップのときに、『女優って楽しいだろ?』って言われたんです。この作品が終わったらやめよう、と思っていたぐらい大変だったし、つらかったし、きっとみなさんにもすごく迷惑かけちゃった……」と当時を振り返る。
「最後の最後にそんな言葉をかけてくれるんだって、本当に驚いた。何もできない無能な私に“女優”と言ってくれて。その後、その作品でたくさん賞をいただいて、『女優になりたい』と思った作品ですね」と続ける。
ちなみに、深作監督から声をかけられたのは、高岡さんが戸板に張り付けられて川に流される最後のシーンだったという。「監督自ら戸板を流してくださったので、『あれれれ? 監督、なんて言いました~?』みたいな感じでした(笑い)」とチャーミングに振り返った高岡さんは、「その経験は今の自分のすべてですね」と話す。
高岡さんのブログでは、自身が植えたというミモザの木に花が咲いたり、アボカドの種を水栽培したりする様子がつづられている。撮影など忙しい日々を送る高岡さんにとって、気分転換になっているガーデニングだが、以前は「嫌いだった」という。
「私も若い頃は、『そんな土なんて……』という感じだったんです。爪の中真っ黒になっちゃったらどうするんだって(笑い)。いつからか土いじりに目が向くようになった」と告白。「いろいろな余裕ができた、というのもあると思うんだけれど、植物にすごく目が向くようになって。爪が黒くなったり、手がザラザラしても、どうでもいいって思えるようになった」と変化を明かす。
植木がたくさんあり「掃除が大変です!」と笑う高岡さんだが、「自分が育てている花が咲いたらうれしいし、そこに実がなったらうれしい。『ああ、春が来たんだな』とか季節もわかるし」と話す。ミモザやユーカリなどはスワッグ(壁飾り)にして玄関に飾っているといい、「いいところを切って、結んで、それをかけるだけ。なんかちょっと『そういうことをやれる私っていいな』って思ったり……ふふふ(笑い)」と笑顔を見せる。
そんな高岡さんに、「その美しさの秘密」を尋ねてみた。「『美しい』と言っていただけることはありがたいなって本当に思います。それを言っていただける以上、美しくいないといけないって心構えを持つことだけでも、たぶん違うと思うんです。ガーデニングもそうですし、心が豊かになったり、ちょっと笑顔が増えるだけでも十分美しい要素になると思うんですよね」。
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