テレビ試写室:「コントが始まる」 菅田将暉、有村架純ら体現 ドキュメンタリーさながら“若者のリアル”

連続ドラマ「コントが始まる」のワンシーン=日本テレビ提供
1 / 1
連続ドラマ「コントが始まる」のワンシーン=日本テレビ提供

 ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、4月17日午後10時から日本テレビ系で放送される、俳優の菅田将暉さん主演の連続ドラマ「コントが始まる」を紹介する。

ウナギノボリ

 「コントが始まる」は、2019年に放送された連続ドラマ「俺の話は長い」(同局系)などを手掛けた金子茂樹さんが脚本を担当するオリジナル。“あの頃”に思い描いていた“大人の自分”とはまるでかけ離れた、大失敗な人生を歩む20代後半の若者たちが、その失敗をしたからこそ出会う人や出来事によって、思い描きもしなかった未知の幸せと巡りあう様を描く。

 「コントが始まる」というタイトルから、本作は、ひたすらゲラゲラ笑いながら見てしまうようなコメディーなのではないかと思うかもしれない。確かに、思わず噴き出してしまうような、登場人物たちのコミカルなやりとりもあれば、菅田さん演じるお笑い芸人・高岩春斗らがコントを繰り広げる場面もあり、笑いどころも随所にちりばめられている。

 だが本作の核となるのは、そうしたコメディー性というよりはむしろ、ドキュメンタリー番組で描かれるような“若者のリアル”に近い。

 本作には菅田さんのほか、有村架純さん、仲野太賀さん、神木隆之介さんという1993年生まれの役者陣がメインキャストとして集結。菅田さん、仲野さん、神木さんは、高校の同級生によるお笑いトリオ「マクベス」のメンバーを演じており、劇中の同級生同士の会話シーンは非常にリアリティーを感じさせる仕上がりになっている(実際は神木さんが1学年下)。「マクベス」は鳴かず飛ばずのトリオということもあり、劇中で描かれる現実はなかなかシビア。夢と現実の間で思い悩んだ末、ぶつかりあう3人の姿はドキュメンタリー番組と見まがうほどだ。

 また、菅田さんと有村さんの会話シーンも見ものだ。菅田さんと有村さんといえば、映画「何者」(2016年、三浦大輔監督)、公開中の映画「花束みたいな恋をした」(土井裕泰監督)、auの人気CM「三太郎」シリーズなどで共演を重ねてきただけに、息のあった2人の芝居にぐいぐい引き込まれていく。実は、有村さん演じるウエートレス・中浜里穂子もまた人生の壁に直面している人物であり、共にさまざまな“事情”を抱える2人が展開する会話シーンからも、若者たちのリアルな“声”を聞き取ることができるので注目してほしい。

 さて、ここまで聞くと本作は“笑えない”ドラマなのかと懸念するかもしれないが、決してそんなことはない。菅田さん演じる春斗らが日常生活の中で繰り広げる軽妙な会話シーンは、まさしく“コント”のワンシーンそのもの。また、ドラマの各話の冒頭は「マクベス」のコントから始まるのだが、売れないトリオとは思えないほどの完成度なので、ぜひ“笑い”の要素も楽しみにしてほしい。

 「人生とは壮大なコントなのかもしれない」というキャッチコピーが、ドラマの公式ホームページのPR動画に映し出されているのだが、このコピーこそまさしく本作を言い表す表現といえよう。人生の壁にぶつかる若者たちの“エレジー”でもあるが、見方によっては“壮大なコント”ともいえる青春群像劇をかみしめてほしい。(MANTAN/國重駿平)

テレビ 最新記事