TBSの「日曜劇場」(日曜午後9時)枠で放送中の連続ドラマ「ドラゴン桜」。今作は2005年に同局の金曜ドラマ(金曜午後10時)枠で放送され、社会的ブームを巻き起こした学園ドラマの続編で、落ちこぼれの高校生たちが東大入学を目指す物語だ。今回、劇中に登場する東大受験クラス“東大専科”には、1000人規模のオーディションを勝ち抜いた7人の若手が抜てきされた。ドラマを手がける飯田和孝プロデューサーは、選考にあたり「“純粋”な演技力と、食らいつくたくましさを見ました」と明かす。オーディション秘話や、前作から枠を移して放送する続編についてのこだわりを聞いた。
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続編の制作は、今年1月の大学入試制度改革に合わせて始まった。飯田さんは「受験はこれまでの“詰め込み型”から、自分で物事を考える力を測るためのものに変わりつつある。『自分で考える』という要素は、阿部さん演じる主人公・桜木建二のセリフとも合致していて、ドラマを通して『自分自身を変えるためによく考える』というメッセージが届けられるんじゃないかと思いました」と経緯を明かした。
また、「金曜ドラマだった前作は若い視聴者に向けた作品でしたが、今回は日曜劇場のターゲットとも言うべき“社会で頑張る人”を意識していて。“パート2”ではなく、まったく新しい『ドラゴン桜』にしようという意味で、タイトルにもそういったワードは用いませんでした」とこだわりを見せる。
日曜劇場というと、「半沢直樹」のような重厚な作品が並ぶイメージもあるが「若者を大人が応援するというのは、昨今の日曜劇場にはあまりなかったエッセンスかなと。逆に学園もの本来のキラキラ感はありませんが、福澤克雄監督の演出に期待される“日曜劇場感”をふんだんに取り入れつつ、受験とうまく融合させられたら」と、新しい「ドラゴン桜」について語ってくれた。
前作から16年の時がたち、時代もがらりと変化。今作で描かれる年を重ねた桜木について、飯田さんは「人を動かすには何が必要か、という根本の部分はそのままに、時代と共に移り変わったものをしっかりと捉えている。世の中の流れにきちんと乗っている人物」だと分析する。
そんな桜木を体現する阿部さんについて、飯田さんは「私が言うのはおこがましいですが、ご自身もキャリアを積んでこられて、前作よりも“その場にいるだけで生まれる説得力”が増していると感じました。阿部さんの16年の進化が役柄にもうまくプラスになっていると思います」という。
さらに、「『ドラゴン桜』を日曜劇場での作品として新しく描く上で、この桜木が続編にマッチしているかを繊細にチェックしていらっしゃる。一見、豪快な方という印象ですが、すごく繊細な部分もあって、そこが魅力。総合的にクリエーティブを発揮してくださるので、チームの大きな支えになってくださっていますし、僕らはモノを作る上で一番大切なことを阿部さんから学んでいる感じです」と信頼を寄せた。
今作で注目を集めるのが、約1000人が参加したオーディションを勝ち抜いて役を射止めた、“東大専科”生徒役キャストだ。抜てきされたのは人気グループ「King & Prince」の高橋海人さん、南沙良さん、平手友梨奈さん、加藤清史郎さん、鈴鹿央士さん、志田彩良さん、細田佳央太さんの7人。選考の決め手は何だったのだろうか。
飯田さんは「まずはそれぞれの役にどれだけハマっているかと、演技力を軸に選考しました。ただ演技力と言っても、お芝居がうまいだけではなくて、東大を目指す生徒らしい一生懸命さが偽りなく見えるかという“純粋さ”を重要視しました」と明かす。
「それから阿部さんや長澤さんと向き合ったときに成り立つか。加えて福澤監督が何度も演技を求めるスタイルなので、そういった要求や演出に食らいついていけるたくましさが感じられるかという部分も見ました」と、“伸びしろ”もポイントになっていたようだ。
実際に選ばれた生徒役キャストについては「高橋さんはどちらかというと器用ではないと思うんですが、その裏返しにすごく真っすぐ。あれだけ整った顔立ちをしているのに、武骨さというか、『絶対にのし上がってやる』という思いを感じた。その思いは瀬戸輝が持っている強い思いと合致している」という。
「南さんはおとなしくて静かだけど、演技が好きという分厚い芯がある印象。正反対の明るい役を演じていますが、最近では板に付いてきていて、南さん自身も常に口角が上がっているように思います。そして、平手さんはとてもひたむきな方だなと。今回の役作りでも、人物像に近づくために突き進んでいく感じで、制作側が思う到達点を超えるくらい作り込んでくるので驚きました」と話していた。
当時はまだ若手だった前作生徒役キャストの山下智久さん、長澤まさみさん、中尾明慶さん、小池徹平さん、新垣結衣さん、紗栄子さんは、今や幅広く人気を誇る存在にまで成長した。続編に選ばれた“次世代のトップランナー候補”たちが、今作をきっかけにどのように羽ばたいていくのか。彼らの未来が楽しみだ。
※高橋海人さんの「高」は「はしごだか」。
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