沢城みゆき:話題作「終末のワルキューレ」 「ビビってるんですかぁ?」に全力投球 熱量を意識

「終末のワルキューレ」に出演する沢城みゆきさん
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「終末のワルキューレ」に出演する沢城みゆきさん

 「月刊コミックゼノン」(コアミックス)で連載中の人気マンガが原作のアニメ「終末のワルキューレ」が、6月17日からNetflixで全世界配信される。原作は、累計発行部数が600万部を突破したことも話題の人気作。ブリュンヒルデ役の沢城みゆきさんら豪華声優陣が集結した。とにかく熱い同作に、熱い思いをぶつけたという沢城さんにアフレコについて聞いた。

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 ◇声優として腕を振るえる作品

 「終末のワルキューレ」は、アジチカさんが作画、梅村真也さんが原作、フクイタクミさんが構成を担当。「月刊コミックゼノン」で2017年に連載がスタート。全世界の神代表と人類代表が、一対一の13番勝負を繰り広げる。コミックスが第10巻まで発売されている。アニメは「劇場版プリパラみ~んなでかがやけ!キラリン スターライブ!」などの大久保政雄さんが監督を務め、「十二大戦」などのグラフィニカが制作する。

 同作は、伝説の強者がぶつかり合う血湧き肉躍るバトルが魅力だ。沢城さんも原作の熱量に圧倒されたという。

 「分かりやすいけど、浅いわけではなく、エンタメとしての派手さ、作品の深さが掛け算になっているのが最大の魅力ですね。絵を見るだけで、せりふが聞こえてくるような雄弁さがあり、ブリュンヒルデは一人の女の子なのかな?と思うくらいいろいろな表情を見せます。オーディションテープを録(と)ったのですが、その時に、大きな声を出さないといけないせりふもあり、自宅のアップライトのピアノに共鳴したんです。そんなことは、これまでなかったのですが。『ビビってるんですかぁ?』というせりふの時が一番、ピアノが共鳴しました(笑い)。熱量のある作品ですし、せりふ一つ一つがキャッチーで、声優として腕を振るえる作品になりそう!と楽しみでした」

 沢城さんが演じるブリュンヒルデは、戦乙女<ワルキューレ>13姉妹の長姉。半神半人の身で、人類との関係性も深いことから、終末を回避すべく神と人類の最終闘争<ラグナロク>を提案する。神々も恐れぬ物言いをする聡明で気丈なところがあり、たまに口も悪くなる。

 「見目麗しく、端正な顔立ちからびっくりするくらいゲスい発言が出てくる……。絵が美しいので、声としても上品さを損なわずにしないといけません。レンジが広く、真逆のことを同時にする面白さがあります」

 同作は、力強いせりふも魅力になっている。ブリュンヒルデは「ビビってるんですかぁ?」というせりふが印象的だ。沢城さんはブリュンヒルデを演じるにあたり、この「ビビってるんですかぁ?」に注力した。

 「原作はまだ続いていますし、ブリュンヒルデも描かれていないことがあるのでしょうが、『ビビってるんですかぁ?』というせりふを決めることができれば、何とかなるかも?というくらい、キーになるせりふと考えていました。そこに全力投球しました。アフレコでオッケーが出ていたのですが、(ゼウス役の高木)渉さんがもうちょっと熱量が高くくるかも?とも思い、『もうちょっと派手にやっていいですか?』とやらせていただきました。『イッツ・ア・パーリィー・タイム』というせりふも彼女の業の深さを感じられ、どうやったら面白いかな?と考えながら、大事にしました」

 ◇常に高血圧!?で臨んだアフレコ

 キャストが発表された際、沢城さんは「汗かきながら収録したら楽しいんだろうなと言う読後感でした」とコメントを寄せていた。アフレコでは「汗をだらだらかくわけではないけど常に高血圧(笑い)」だったという。

 「私の普段のテンションは(『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメ第6期で沢城さんが演じた)鬼太郎くらいなので、この作品に参戦するのは大変でした、作品のベースのテンションが高いので。それに、静かなまま熱量が高いというのが、難しいんです。この世界観の熱量に合わせて、血圧を保つのが大変でしたね」

 ブリュンヒルデは状況、キャラクターのバックグラウンドを説明するナレーターとしての役割も担っている。沢城さんはそこでも“熱量”を意識した。

 「ブリュンヒルデ≒ナレーションで、そこのバランスが難しいんです。ブリュンヒルデとしては知らないことを説明するわけで、教科書を朗読しているような案配がいいのかな?とまとまりました。石井(康嗣)さんがナレーションをされているので、スーパーナレーターの後でナレーションをするのがイヤだなあ……と思いながら(笑い)。ブリュンヒルデが立ちすぎてもいけないし、淡々としても熱量がなくなるし……」

 沢城さんはこれまでも数々の“強キャラ”を演じてきた。“強キャラ”を演じることで意識していることとは?

 「強い弱いにかかわらず、自分とは違う人間の人生を体感できるのが芝居の醍醐味(だいごみ)。ただ、強い人って弱いところもあると思うんです。強くならねば!という動機は、劣等感、使命感がガソリンになっていて、表向きは強く見えていても、燃やしているものが意外にネガティブだったりします。そこがすてきですよね。強くなろうとする姿勢にドラマがあるし、格好いい。私自身も応援しながら寄り添おうとしています。『終末のワルキューレ』は、いろいろな強さの人がいて、それぞれのガソリンが違うところが面白いです!」

 ◇黒沢ともよと奏でたハーモニー

 戦乙女<ワルキューレ>13姉妹の末妹・ゲル役の黒沢ともよさん、呂布奉先役の関智一さん、トール役の緑川光さん、ゼウス役の高木渉さんら豪華声優陣の出演も話題になっている。アフレコでは共演者から刺激を受けることも多かった。

 「コロナ禍なので全員そろってできたわけではないのですが、第1、2話は、黒沢ともよちゃんと収録できました。ブリュンヒルデの魅力はゲルと一緒にいる時に際立つところもあります。一般人代表のゲル、真逆のブリュンヒルデが会話することで、お互いの魅力を写し合うような……。音楽でいうと、ゲルが主メロを奏で、ブリュンヒルデが休符になるようにハーモニーを奏でる。ブリュンヒルデは、引き算なんですよね。熱くなっているところに水を掛ける。ともよちゃんにいろいろ仕掛けるのが楽しかったです。真っすぐに返してくれますしね。それに、ともよちゃんが『今のグッときました!』ともり立ててくれたことも本当にありがたかったです」

 「参加したみんなが楽しんでできた作品と自負しています。作品が大好きな人間が作っているので、らしさは損なわれていないと思います。期待して見てください。皆さん、素晴らしいです!」と語る沢城さん。声優陣の熱い思いがぶつかり合ったバトルに期待が高まる。

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