徳尾浩司:「おっさんずラブ」脚本家の完全オリジナル「イタイケに恋して」 「舞台を見ているような作品に」

7月1日スタートの連続ドラマ「イタイケに恋して」のロゴ=読売テレビ提供
1 / 4
7月1日スタートの連続ドラマ「イタイケに恋して」のロゴ=読売テレビ提供

 人気グループ「Sexy Zone」の菊池風磨さん、渡辺大知さん、お笑いグループ「超新塾」のアイクぬわらさんがトリプル主演を務める連続ドラマ「イタイケに恋して」(読売テレビ・日本テレビ系、木曜午後11時59分)が、7月1日からスタートする。不器用でモテない男子3人が、恋のキューピッドとして奮闘する物語で、連続ドラマ「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)シリーズや「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)などを手掛けた徳尾浩司さんのオリジナル作品だ。「3人がやりとりをしているところがこのドラマのキモ。舞台を見ているような作品になればいいな」と話す徳尾さんに、脚本執筆の裏側や見どころを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇舞台会話劇のような3人のやりとり 「書いていてずっと面白かった」

 ドラマは、とにかくプライドだけが高い売れない若手俳優・飯塚将希(菊池さん)、とにかくネガティブな売れないシンガーソングライター・影山信博(渡辺さん)、とにかくピュアな売れない外国人少女マンガ家、マリック・ジョンソンJr(アイクさん)が、恋愛インフルエンサー・ブル美(石井杏奈さん)の助手として恋愛相談の解決に奮闘するストーリー。影山の元カノ・結花(石川恋さん)、謎の恋愛AIシミュレーター六郎さん(升毅さん)らも交え、「ちょっぴりイタくて、ちょっぴりカワイイ男子たちを見守らずにはいられない“イタきゅん”ラブコメディー」が展開される。

 今作を手がける福田浩之プロデューサーとは、2015年に放送されたドラマ「婚活刑事」(読売テレビ・日本テレビ系)でもタッグを組んだ徳尾さん。「福田さんとは、『また一緒にドラマできたらいいですね』という話をしていて」と振り返った徳尾さんは、「福田さんから、うだつの上がらない3人がルームシェアをしながら、人の恋愛相談に乗ることによって、それぞれの恋愛の悩みを乗り越えていけるようなドラマがあったらいいなという企画を聞いて。二人で話しながら膨らませていった感じですね」と明かす。

 第1話では、恋愛を研究する大学院生・佐知(石井さん)が運営する恋愛サイエンス総合研究所に大学生の果帆(大友花恋さん)が訪れる。果帆は毎朝乗る電車で東京から秋葉原に向かう間、ほんの12秒ぐらい同じスピードで並走する電車の窓際に立つ男性を見かけるようになった。しかし、ここ最近、彼の姿が見られず、果帆は気になって仕方ない。果帆は、彼に恋をしたようで、飯塚ら3人はその男性を捜すことに……と展開する。

 劇中では、3人が一緒に一つのことについて話したり、考えたりする場面が多く、3人のやりとりが大きな魅力となっている。そんな3人のキャラクターはどのように誕生したのだろうか。

 「たとえば『一目惚れするか、しないか?』に関しても、渡辺さん演じる影山は『僕はあんまり一目惚れしない』と言うけど、菊池くん演じる飯塚は『僕は一目惚れしかないね』と言いそうだな、ということをどんどん絡めていくと自然に3人が会話している感じで。どういう意見を言うのかな? と書いていくうちに、キャラクターが定まっていった」と明かす。

 「そういうのって今まで書いていてもあんまり経験がない」と続けた徳尾さんは、「今まで自分が書いてきたドラマは展開も多く、じっくりと話し合うシーンが少なかったので、今回はそれが新鮮な体験で、書いていてずっと面白かったです。舞台会話劇っぽくて、ワンシチュエーションのドラマを書いているような気分でした」と話す。

 ◇キャスティングは「お任せ」 こだわりは?

 キャスティングに関しては、普段から「こういう人がいい」といった注文はしないという徳尾さん。「どのドラマでも(制作サイドに)お任せするようにして。自分が思っているキャスティングと物語が一致しすぎていると、飛躍がなくて面白くなかったりするので、この台本を読んで、“プロデューサーが考えるキャスティング”というものに期待しています」と話す。

 菊池さん、渡辺さん、アイクさんの3人が決まったときには、わくわくしたといい、「3人が今まで歩んできた人生や、キャラクターが違うという設定なので、一堂に会したときに思いがかぶらず、ケンカしない感じが、書いていても楽しかったです」と明かす。

 そんな3人が暮らすのは、教会を改修したシェアハウスで、徳尾さんも足を運んだ。「すごくいいところで、共同生活をするのが楽しそう。自分もその場に加わりたいなと思うような空間でした」と表現。「『こんな小道具がある!』とか、『ここからここまで歩いて20秒くらいなので、こういう会話ができるな』と、距離感をつかむためにも、見に行ってよかったなと思いました」と続ける。

 シェアハウスでともに生活をして、間違いだらけの恋愛妄想トークをさく裂させながら“さまざまな恋の形”と向き合っていく3人。たとえば、「相手と一瞬しか会えていないけれど好きになってしまった人」や、「顔は見たことないけれど、好きになってしまった人」、「明日結婚するけれど、結婚式からは逃げたい人」など、変わった相談者たちが登場するといい、「いろいろな恋愛のパターンがあるところが、今回のこだわりかもしれないですね」とアピールする。

 ◇脚本家として大切にしていること

 今作のような完全オリジナル作品のほかにも、原作のある作品の脚本を手がけることもある徳尾さん。そんな徳尾さんが脚本家として大切にしていることを尋ねてみた。「毎回チームが違うと、挑み方が自分でも違うんです。このチームにおいて『僕ができるベストはなんだろう?』と考えたり、試行錯誤をします」と明かす。

 チームによって雰囲気も違い、求められることも違う。オリジナル作品だからといって、「徳尾さんのお好きにどうぞ」と言われることはない。「脚本家とプロデューサーは、マンガ家とマンガ編集者みたいな感じで(想像ですが(笑い))、膝をつき合わせて一緒に作っていくものなので、毎回パートナーによって作り方が違うんです。そのバランスを取るのが楽しくもあり、難しいところです」と続ける。

 コメディーを得意とする徳尾さんは、「自分に来たからにはコメディーの要素を大切にしています。そこはやっぱり一番こだわっている」と話す。ちなみに、今作はコメディーの要素が多いそうだ。

 最後に、視聴者に向けて、「男子3人の生活をのぞき見るような感じで、『ホント男ってバカなこと考えているなー』とか、『そういうことじゃないよ恋愛って』とか思いながら、優しく、生あたたかく見てほしい。リラックスして見れるドラマだと思いますので、ほっこり笑ってもらえたらいいなと思っています」と呼びかけた。

写真を見る全 4 枚

テレビ 最新記事